映画感想-は行


パーフェクト・ストレンジャー
     


~あらすじ~
政財界の大物のスキャンダルを狙うロウィーナは、幼なじみのグレースが殺された事件の調査に乗り出す。
大物経済人のハリソン・ヒルに疑いの目を向けていたロウィーナだったが、調べが進むうち、ヒルばかりか、彼女の周囲の人物に次々と疑惑が浮上、混乱は深まるばかりとなってしまい……。
ラスト7分11秒まで、真犯人は絶対にわからない。あなたは絶対騙される!


~感想~
無駄に上げたハードルを全く越えられない凡作。
どんでん返しをうたっているが、普通に考えると犯人の候補は3人しかいない。だがラスト7分までにそのうち2人は否定されてしまい、残るたった1人がそのまんま真犯人なのだ。これでは騙されようがない。
ハードルさえ上げなければ、意外性はないがまあまあ普通のサスペンスとして成立していたのに。広報の罪は重い。


評価:★★ 4



バイオハザードⅢ
     


~あらすじ~
ラクーンシティでの惨劇から数年後、Tウィルスの感染は世界中へ広がり、人類はアンデッドへ、地上世界は砂漠へと化していた。
さらに、アンブレラ社では“アリス計画”が始動し、アリスのクローン実験がくり返されていく。
そんな中、ひとり世界をさまようアリスは、アラスカが感染の及んでいない安息の地だと記されたノートを手に入れる。


~感想~
もうバイオというか世紀末救世主伝説になってきた感があるが、普通に楽しめるアクション映画になっている。
が、そんなことよりも重要(?)なのは、観ていて『ワン・ミス・コール』よりよっぽど心拍数の上がる場面が多かったのはどういうことなのか。
そういえば前二作でもホラー映画の基礎をわきまえた驚かせ方を心得ていて、並のハリウッドホラーよりもぞっとすることが多々あった。
そのあたり、ホラーだと思って観ていないから驚くのか、それともホラー大国・日本のスタッフの手が入っているのか、ほんの少しだけ興味があるようなないような。


評価:★★★ 6



ハイキック・ガール!
     


~あらすじ~
必要なし。


~感想~
タイトルから想像されるとおり、制服姿のミニスカ女子高生がハイキックで次々と悪漢を蹴散らす――それだけ書くと悪夢のような映画を思い浮かべがちだが、今作はたったひとつの要素によりある種のマニアを満足させる作品へと変えてしまっている。
その要素とは「出演者が全員格闘技経験者」である。
たとえば主役の武田梨奈は現役女子高生ながら琉球空手で全国大会を制している。彼女と対戦する小林由佳は世界大会銅メダリスト、渡辺久江は格闘技団体DEEPのライト級王者――他にも合気道や空手の有段者は枚挙に暇がなく、本物による本物のアクションシーンがくり広げられる。
なんせ監督の西冬彦自ら半裸で(それなりに)鍛え抜かれた肉体を披露し、ヒロインにハイキックを浴びせるわ、顔面蹴りをやり返されるわという始末で、もちろん言うまでもなくストーリーなんてものは全くないに等しい。立ちふさがる敵をひたすら倒していくだけの、あえて説明するならファミコンの『スパルタンX』みたいなものである。
しかしそのアクションの激しさたるやかの『マッハ!!!!!!!』も真っ青で、遠慮なしに顔面や頭部に蹴りをめり込ませ、ぐらんぐらんと脳が揺れているさまを何度となく見せつけてくれるのだ。
後半にいたっては、もうハイキックでもガールでもなくなり日本空手協会師範の中達也が、群がる悪漢を次々と武骨にして実戦的な空手の型で一撃必殺していく勇姿を、長回しの一発撮りで存分に堪能させてくれる。……あれ? 主役はこっちだっけ?
というわけで、この作品は外見と反して、格闘技マニアによる格闘技マニアのための映画なので、くれぐれもパッケージに惑わされないようご注意を。
なお豪華版DVDには監督と格闘家による技解説や、負傷者続出の壮絶な撮影風景、そして中達也師範による実技指導と、普通の映画では考えられないラインナップになっているそうなので、格闘技マニアはそちらもぜひ。


評価:★★★ 6



ハイド・アンド・シーク
     


~あらすじ~
母の自殺で心を閉ざしてしまったエミリーの心の傷を癒そうと、心理学者である父・デイビッドは湖のほとりにある静かな町へと移り住む。
しかしエミリーは周囲と打ち解けようとせず、地下室で"見えない友達"チャーリーと遊ぶようになっていく。
だが、チャーリーはエミリーのただの遊び友達ではなかった。チャーリーの存在が、デイビッド親子の生活を脅かし始めていく。


~感想~
主要登場人物が二人だけで、この題材では「どんでん返しがすごい!」といくら言い張ってもオチはモロバレ状態。
しかしこの瀕死の脚本を補って余りある、ロバート・デ・ニーロとダコタ・ファニングの、壮絶なまでの顔芸合戦はすごい。
なんというか、どうしようもない脚本を天才二人が演じることでどこまでカバーできるか、ということに挑戦した実験映画のような様相で、妙な方向で一見の価値はあると言えよう。
っていうか、この二人はどうしてこんな映画に出ることを引き受けたんだろか……。


評価:★ 2



パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト
     


~あらすじ~
呪われた海賊バルボッサとの闘いを乗り越えたジャック・スパロウ。
しかし彼は、幽霊船フライング・ダッチマン号の船長デイヴィ・ジョーンズに魂を奪われようとしていた。
13年前、ブラックパール号を手に入れるためジョーンズと“血の契約”を交わしていて、その契約の刻限が迫り……。


~感想~
前作よりも磨きがかかったジャック・スパロウのキャラ立ちと、謎あり冒険ありモンスターありチャンバラありの怒涛の展開で最後まで引っぱってくれる。
思いっきり「次回へつづく!!」なラストはあんまりだが、三部作の真ん中を担う作品として文句のつけようのない出来であろう。


評価:★★★☆ 7



パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド
     


~あらすじ~
シリーズ3部作の完結編。


~感想~
説明無用の三部作の完結編。
それだけに、単純な娯楽映画だったシリーズが、もう子供はもちろん大人も把握できない複雑な展開を見せてしまい、絡み合った人間関係やストーリーを、理解するのも大変。
誰と誰が敵で、誰の目的はなにで、誰は誰の味方なのかもわからないまま、物語はどんどん進んでいくが、細けえことはいいんだよと、シリーズを重ねるごとに派手になっていく展開を見ているだけでも、とりあえず楽しめてしまうのはさすがディズニー映画。
ところでさんざん引っぱった●●は結局、巨大化しただけでなんにもしてなかったと思うんだけどどうか。


評価:★★★ 6



バタフライ・エフェクト
     


~あらすじ~
7歳のエヴァン少年は、記憶の一部が飛ぶ現象に悩まされていた。
やがて大学生になった彼は治療の一環としてつけていた日記を読み返すうちに時空を越えて、少年の頃の自分に立ち戻ってしまう。
抜け落ちた記憶を埋め直す取り組みを始めた途端、エヴァンとその周囲の人生が大きく狂い始めた……。


~感想~
これは時間SFとしては『バックトゥザフューチャー』に匹敵する大傑作ではなかろうか。
タイトルは「北半球で蝶が羽ばたくと南半球で竜巻が起きる」という、小さなきっかけが思いもよらない大きな現象を引き起こすというバタフライ理論からとられたもので、そのタイトルに恥じないストーリー展開が実に面白い。
主人公は現在の苦境を変えるべく、過去の一場面へと記憶をそのままに舞い戻り、未来を変える細工を施すのだが、その細工がほんの些細な一言であったり、小さな行動・選択であるにも関わらず、現在への大きな変化をもたらすのだ。
(以下あらすじとネタバレ)
そして今作が優れているのが「悲劇的な純愛映画」という側面であり、そもそものタイムスリップをする動機からして、初恋相手のトラウマを自分の不用意な一言で呼び起こし、自殺に追い込んでしまった――というそれ自体が「バタフライ・エフェクト」である。
主人公は見事に彼女のトラウマを退け、彼女と恋人になるという最高の現在を手に入れるのだが、そのトラウマをはねのけた行動が、別の破滅的な未来を招いてしまう。その後も試行錯誤を重ね、ついに「自分が両手足を失っている」以外は全てに破綻がない現在へとたどりつき、とうとう気づいてしまう。自分さえいなければ全てがうまくいっていたのだと。
ラストシーン、恋人を思うが故に、彼女と他人であることを選んだ彼は、街中で偶然彼女とすれ違う。彼女は振り向いて彼の後ろ姿を追うが、それに気づき彼もまた振り返ったとき、彼女は既に背を向け歩き出していた。もしほんの一瞬、振り返るのが早ければ、二人の目は合い、また別の未来が生まれていたのでは……と最後まで「バタフライ・エフェクト」に支配された展開、まさにSF映画でしかなしえない悲劇である。

僕の好みにど真ん中ストライクの、長く心に残る名作であった。


評価:★★★★★ 10



バックトゥザフューチャー
     


~あらすじ~
親友の科学者ドクの発明したタイムマシンで、30年前にタイムスリップしてしまった高校生のマーティ。
彼はそこで自分の両親になるはずのロレーンとジョージに出会う。だが、内気なジョージは彼女に告白できないまま、乱暴者のビフにこき使われる毎日。
しかも、ロレーンがマーティのほうに恋をしてしまい……。


~感想~
映画好きを名乗っている癖に実は初見なのだが、あまりの面白さにぶったまげた。時間SFの魅力にあふれ、考えうる限りのアイデアを詰め込んだ大傑作――などとこんな超有名作をいまさら持ち上げてもしかたない。
面白い映画とはこういうものだ!ということを堪能させていただいた。
さすがwikiに「感想サイトなどでナンバーワンに挙げる者も多い」と思いっきり主観で書かれているのに「要出典」と付されないだけはある。
今まで観た映画の中でも余裕で五本の指に入る逸品でした。


評価:★★★★★ 10



ハプニング
     


~あらすじ~
ある日、ニューヨークのセントラルパークで人々が突然時が止まったかのように立ちつくし、唐突に自らの命を絶つという事態が発生。この異常現象はアメリカ全土へ拡がりをみせ、多数の犠牲者を生んでいくが……。


~感想~
『シックス・センス』で斯界の度肝を抜き、『アンブレイカブル』『サイン』『ヴィレッジ』と新作を出すたびに評価を落とし『レディインザウォーター』で興行成績もどん底に沈んだが、僕の中では映画で叙述トリックを仕掛ける異才として、毎回楽しみにしてきたM・ナイト・シャマラン監督の新作がこの『ハプニング』である。
さすがのシャマランも自身の監督生命を危ぶんだのか、それとも前作の大コケでふところがさみしくなったのか、手堅くいたって普通のホラー映画に仕上がっていて、これまでのような一種キワモノと呼べる要素(霊、宇宙人、怪物など)を封印し、アインシュタインの言葉とされる「ミツバチがいなくなれば人類は四年で滅びる」を軸にした、起承転結の整った、非常にまとまりのある映画になっている。
シャマラン作品に否定的だった向きも、この『ハプニング』に限っては評価しているようなのだが……。ファンから言わせてもらえば、こんなのゴミみたいな映画である。
なぜなら『ハプニング』にはどんでん返しが一切ない。僕はシャマラン作品に整合性や完成度なんて求めてはいない。キワモノでも強引でもこじつけでもバカ映画でも、あっと驚くどんでん返しがなければそれはシャマラン映画ではない。
展開になんら裏切りがなく、ホラーらしく因果を置き去りにしたまま物語が終わるや、僕は呆然とした。
どんでん返しがないシャマラン映画なんて、牛肉の乗ってない牛丼のようなものではないか。米丼ではないか。最高級の米に極上のタレがかかっていてもせいぜいタレ丼だ。
僕にとって『ハプニング』は救いようのないクソ映画である。小さくまとまりやがって……。


評価:なし 0



ハムナプトラ/失われた砂漠の都
     


~あらすじ~
紀元前1290年、国王の愛人と禁断の恋に落ちた高僧イムホテップは、死者の都ハムナプトラで生きたままミイラ化されるという究極の刑"ホムダイ"に処される。彼の怨念は再びその棺が開けられる時まで、神殿の地中深く眠ることになったのだ……。それから3000年の月日が流れた今、伝説と化したハムナプトラを目指す人々の姿があった。ある者は古代エジプトの秘宝のため、ある者は学術的調査のために、この失われた砂漠の都に向かっていたのだ。だが彼らは知らない。そこに悪鬼と化したイムホテップが眠る事を。そして3000年の呪いが解き放たれた時、エジプトは10の災いと共に魔都と化すのであった……。


~感想~
なにげに初見。『インディ・ジョーンズ』の影響がそこかしこに見受けられる、砂漠+秘宝+呪いから想像されるとおりの冒険アクション。
もう本当にそれ以上なにも付け足すことのない、感想の書きづらい作品である。
こんなの面白くないわけがないので、興味があるなら迷わず観るべきだが、わざわざレンタルするくらいならケーブルテレビなどで放送されるのを待ってもいいくらいだろう。


評価:★★★★ 8



ハムナプトラ 2
     


~あらすじ~
死者の都ハムナプトラから生還したリックとイヴリンはめでたく結婚し、ふたりの間に生まれた息子アレックスと共にエジプトを訪れた。
そこでアレックスは謎の黄金の腕輪を見つけたが、それをはめたまま何者かに誘拐されてしまう。


~感想~
前作から8年後、主人公とヒロインの間に子供も生まれた続編。
アヌビスの腕輪を軸に、たいへんわかりやすいストーリーが展開され、なにも考える必要なく観られる、いたって正しい娯楽作品。
展開の先の先まで予想でき、一つも裏切らない有様だが、こういうエンタテインメントはいつ観ても楽しいし、いくらあっても困るものではない。
あえて借りたり買ったりしてまで観る必要はないが、放送していれば観て損はするはずがない作品である。ロック様の扱いはあんまりだけど。


評価:★★☆ 5



パラノーマル・アクティビティ
     


~あらすじ~
平凡な一軒家で幸せに暮らす若いカップル。しかし毎晩寝付いた後に家の様子がいつもと変わっていることに気づく。
幼い頃から不可思議なことが起こり続けているケイティは、その原因が自分にあるのではないかと感じていた。
彼女の恋人ミカは自分たちの家に起こっている"何か"を突き止めるため、寝静まったあとの寝室をビデオカメラで撮影することに……。


~感想~
キャスト・スタッフあわせて5人、撮影期間はたったの7日、ロケ地は監督の自宅、制作費135万円で興行収入90億円という驚異の省エネホラー作品。
ちなみに制作費のうち4万円はピザ代だそうで、アメリカ人のピザにかける愛情をまざまざと思い知らせてくれる。
というかアメリカのピザはLサイズにドリンクとサラダをつけても1500円くらいと聞いたが、一人頭8000円って7日間で何回ピザ食ってんだお前ら。

ピザの話題はこれくらいとして内容はと言えば、当然ながらアメリカンホラーのため心拍数が上がる場面は一つもない。
しかし日本人とは決定的に異なる、アメリカ人のホラー観を感じさせるモチーフや、低予算なりに工夫を凝らした様々な怪奇現象、もちろん馬鹿な主人公と、見どころはそれなりに多い。
「怖いか怖くないか」で言えば全く怖くないのでホラーとしては失敗かもしれないが、「低予算でいかにホラーを作ったか」というひねくれた目線で見ればすこしは楽しめるだろう。


評価:☆ 1



ハリー・ポッターとアズカバンの囚人
     


~あらすじ~
ホグワーツ魔法学校の新学期。街は脱獄囚シリウス・ブラックの話題で持ちきりだった。
噂によると、ブラックはハリーの両親をヴォルデモードに引き渡し、死に追いやった張本人。
今度はハリーの行方を追っているらしい。
学校の周囲にはブラックへの備えとして危険なディメンターがうろつき回り、そしてついにハリーに魔の手が……。


~感想~
「しばらく見ない間にすっかり大きくなっちゃって~」と親戚のおばさん気分で見られるシリーズ第三弾。
この作品から監督が替わり、ずいぶんと強引な筋だと思っていたら、意外な仕掛けが用意されていた。
ストーリーに絡まない、細かな魔法世界の描き方があいかわらずうまい。
大人も子供も楽しめるとは、まさにこのシリーズのためにある言葉。
前作・前々作も観ていないと、話の流れは解らないが、気軽に楽しめる娯楽作品です。
食わず嫌いはイクナイ!(・А・)


評価:★★★★ 8



ハリー・ポッターと炎のゴブレット
     


~あらすじ~
シリーズ第4作。
ハリーたちが4年生に進級した新学期の初日、ダンブルドア校長から、伝説の"三大魔法学校対抗試合"が復活するという重大発表がなされる。
それは、各校から1名ずつ選ばれた代表選手が競い合う交流戦。そして"炎のゴブレット"によって各校の代表3名が選ばれた直後、なぜか4人目の選手としてハリーの名が告げられるのだった。


~感想~
安定感あるシリーズの安定感ある第四弾。
いままで当然起こってしかるべきだった「特別扱いに嫉妬されてはぶられるハリー」と「どうして死人が出なかったのか不思議な競技でついに出た犠牲者」の2つが描かれる。
人権というものが一切無視されている学園からようやく(?)死者が出てしまい、そこで幕となるので後味はすこぶる悪い。子供じゃなくなってきたハリーたちにつれ、物語も子供向けから脱却を図ったのかもしれないが、失敗ではなかろうか。
あいかわらず普通に楽しめる作品だが、事故の可能性とか考えない能天気な明るさが好きだっただけに、今後の展開はすこし不安に思えてしまう。
どうでもいいがタイトルにまでされている炎のゴブレットはただの抽選機なのだが、なんでこんなのがタイトルなのだろう。


評価:★★☆ 5



ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
     


~あらすじ~
ハリー・ポッターシリーズ第5弾。
ホグワーツ魔法学校の5年生に進級したハリーは、ヴォルデモート卿の復活に深い懸念を示していた。そんな中、魔法省は直属の女教師を学校全体の監視役として送り込んでくる。一方、ヴォルデモートは仲間を集め、ハリーたちを陥れようと暗躍し……。


~感想~
シリーズ最駄作。
メインストーリーの収拾にかかったようで、これまでの魅力だった魔法学園のわくわくする日常ドラマが皆無。
ファンタジーあふれる行事や授業もろくに描かれず、前半1時間にいたってはひたすら「はぶられるハリー」と「イヤキャラなピンクハウス婆あが大暴れ」という胸がむかつくだけの展開。
ヴォルデモートとの戦いは着実に進むが脇を固めるストーリーが甘く、いてもいなくても変わらないアジアンヒロイン、反省しないピンク婆あ、タイトルにしか登場しない不死鳥の騎士団、半人半獣になぶり殺しにされるピンク婆あ、肉体改造で得たマッチョさを感じさせるハリーの肩幅、前作で道がついてしまったように続く人死にと、まったく子供向けではない有様。
2011年までにあと3作出すそうだが、さすがに無茶じゃないかなあ……。


評価:★☆ 3



ハリー・ポッターと謎のプリンス
     


~あらすじ~
シリーズ第6作目。魔法学校の6年生となったハリー・ポッターたちが、史上最悪の魔法使いと恐れられるヴォルデモートとの対決に備え、ヴォルデモートの過去と弱点に迫る一年間を描く。


~感想~
回を重ねるごとにつまらなくなっていくシリーズだが、これは退屈さではナンバーワンだろう。
広げた風呂敷をたたむことだけに懸命で、初期の頃のようなファンタジックな魅力や、魔法世界の楽しさはどこにも見当たらず、善と悪の単純な戦いに落ちてしまい、見どころが少ない。
物語が佳境になるにつれ主要キャラもばんばん死んでいき、雰囲気が暗くなるのも困ったもので、もうこのシリーズを、本来のターゲットであるはずの子供は純粋に楽しめないんじゃなかろうか。
またこのシリーズの副題はストーリー的にどうでもいいものが選ばれがちだが、今回の謎のプリンスは一見重要そうに見えて、実は炎のゴブレット並にどうでもいいものであったりする。
ここまで観てしまったからには最後まで付き合うが、もう期待は全く持てないな……。


評価:☆ 1



パリより愛をこめて
     


~あらすじ~
若き駐仏アメリカ大使館員リースは、エージェントとしての華やかな活躍を夢見ながら地道な諜報活動に従事していた。
しかしそんな彼の生活は、麻薬捜査のためにパリに乗り込んできたCIAの超凄腕諜報員ワックスとタッグを組まされたことで一変する。


~感想~
チート性能を誇る主人公属性のヒーローに振り回される生真面目な男――という図式は珍しくないが、そのヒーローが覚醒剤を吸いながら出会った 敵は皆殺しの、とりあえず暴れて結果オーライで突き進む、カオスヒーローを通り越した単なる無法者というのは、さすがに珍しい。
バディ・アクションでありながら、生真面目が無法者の実力を認めるのはまだしも、無法者の方が生真面目を認める契機となる、生真面目が活躍す るシーンがほぼないので、バディ・ムービーとしてあまり成立していないのも厳しいところ。
若い頃はブイブイ言わせてた(死語)ジョン・トラボルタが、恐ろしく強面のスキンヘッドで乱暴狼藉を働くのはなかなか痛快なのだが。


評価:★★☆ 5



ハンコック
     


~あらすじ~
超人パワーで悪を退治するハンコック。不死身のスーパーヒーローの彼だが、コントロールのきかない超人パワーのせいで事件解決の度に街を破壊、いつしか嫌われ者になっていた。
しかし本人は全く反省する気もなく、酒臭い息を吐きながら市民に悪態をついている。
そんな時に出会ったPR会社で働くレイとその家族がハンコックを変えていく。


~感想~
やさぐれた風体で超人パワーを持て余し、人々に嫌われている飲んだくれのスーパーヒーローという、十二分においしい設定だけで満足できなかったのか、暴走した(?)脚本が中盤から期待しない方角へと向かってしまうのがなんとも惜しい作品。
酒ビン片手に普段着で空を飛ぶ冴えないヒーローという絵面、ふとしたはずみに得た協力者の手を借り更生の道へと進むというストーリーが面白かっただけに、ぶっ飛んだ話の転換がどうしても失策、蛇足に思えてならなかった。


評価:★☆ 3



バンテージ・ポイント
     


~あらすじ~
一発の凶弾がめぐる真実に8人の異なる視点から迫る画期的な作品。
テロ撲滅の国際サミットが開催されるスペインのサラマンカ。大観衆を集めた広場では、アシュトン米大統領によるスピーチが行なわれようとしていた。
だが演説が始まろうとした瞬間、一発の銃弾が大統領を狙撃した。つづけて爆発も起こり、一瞬にして広場は混乱に陥る。


~感想~
一つの事件を8つの視点でくり返し描き、真実を浮き彫りにするという形式で、早い話がサウンドノベルの歴史的傑作『街』のような仕掛けである。
だが異なった視点から見ることにより生まれるトリックのようなものはなく、純粋なアクション映画に仕上がっている。また8回同じことがくり返されても、捜査側や犯人、報道、一般人までさまざまな視点から描かれるため、まったくだれることがなく、スピード感あふれる作品になっているのは非常に評価が高い。
不屈の追跡者、無敵の暗殺者、立ち上がる一般人、戦う大統領、そして大団円と、これぞ娯楽映画といった完成度なので、万人におすすめしたい良作である。


評価:★★★★ 8



ヒックとドラゴン
     


~あらすじ~
バイキングの少年ヒックが出会った思いがけない友達、それは傷ついて飛べなくなったドラゴンのトゥースだった。
バイキングとドラゴンは昔から敵同士。しかしヒックとトゥースの間にはいつしか友情が芽生えていく。
それは、バイキングの世界をも変えてしまう奇跡の幕開けだった……。

~感想~
なにが優れているのかと問われれば悩んでしまうほど、取り立てて優れた面はない。
しかし欠点が一つでもあるかと問われれば、文化の違いによる「キャラがかわいくない」という一点さえ除けば、ただの一つも欠点はないと言い切れる。
話によると、人間は吉事が多いことよりも、凶事が少ないことをより幸福に思うそうで、欠点を決定的に排除していったことが、好印象につながったのだろうか。
などと小難しく考える必要はないほどに、王道を往くストーリーは単純明快にして、要所を押さえたものであり、子供から大人まで全年齢を満足させることうけあい。
躍動感あふれるバトル、魅力的なキャラ、卓越した世界観と全てがそろっており、全く飽きさせない。
すこしも話題になっていない、シリーズ物でもない海外CGアニメのため、よほどのことがなければ自発的に鑑賞することはないだろうが、一見の価値のある良作である。

~余談~
日本で流されたCMは、ドラゴンの名前にちなんでオードリーの春日が「トゥース!」を連呼するだけという、広報担当に焼き土下座を強いたくなるほど絶望的なもので、作品の宣伝に逆ベクトルで貢献したことは間違いない。いっぺん○んだほうがいいんじゃないだろうか。


評価:★★★★☆ 9



ビューティフル・マインド
     


~あらすじ~
94年ノーベル経済学賞を受賞した実在の人物、ジョン・ナッシュの半生を描く。
47年、ジョンは「非協力ゲーム理論」を発表。その才能に国防省が目をつけ、彼の周囲には怪しげな人物が出没し始める。


~感想~
まずはこれが実話だということに驚かされる。もちろん多少の脚色はされているものの、ノーベル賞を獲った天才学者にこんな波乱万丈の人生があったとは、まさに事実は小説よりも奇なりといったところ。
多少のベタな展開や予定調和な流れも、実話という重みの前ではかすんでしまい、むしろベタで予定調和であるほど、悲劇性をいやましているのだ。
また実話であるにもかかわらず、どんでん返し映画としても非常に優秀で、序盤からあからさまに張られた伏線の妙と、まさかの急展開により何重にも驚かされる、サスペンスとしても良質の佳作でした。

ちなみに映画では固い絆で結ばれたこの夫婦だがwikiなどによると、美談としてふさわしくなかったため削られた、映画の何倍も数奇な変遷をたどっているので、鑑賞後にはぜひ調べてみることをおすすめする。


評価:★★★☆ 7



ファイナルデスティネーション
     


~あらすじ~
自分が乗った飛行機が爆発する夢を見たアレックス。はたして夢の通り飛行機は爆発し乗客は全員死亡した。
それ以来、生き残った彼とクラスメイト6人の身に次々と理不尽な“死”が襲いかかる。


~感想~
「深夜に目が覚め、なんとなくテレビを点けたら最後まで観ちまったぜ」とうちの親父が興奮気味におすすめしてくれたこの映画、分類するならばホラーなのだが、何ホラーかと言われると実に説明しづらい作品である。
というのも、主人公たちが立ち向かうのは殺人鬼やモンスターではなく「運命」であり、小さな偶然が積もり積もって訪れる、必然的な死が敵なのだ。
この死を招く仕掛けが秀逸で、早い話がピタゴラスイッチさながらに、部屋中の小物が連鎖反応を起こして大事故を招くというもので、「次はどんなピタゴラ装置で死ぬんだろう」とだんだん楽しくなってくる。
オチもきれいに決まり、親父が興奮するのも納得の良作である。
……が、かなりグロい描写も多々あるので、人によっては要注意。


評価:★★★★ 8



ファイナルデッドコースター
     


~あらすじ~
ハイスクールの卒業イベントが行われる遊園地で、ウェンディはジェットコースターに乗ったとき、コースターが大クラッシュして死者が出るという予知夢を見た。
彼女は錯乱し、友人数人と降りたが、予知夢は現実となり、事故が起きて多勢の人間が死んだ。
友人たちは生き残ったが、ウェンディは遊園地で友人と撮影した写真に不吉な死の影を見てしまう。


~感想~
ファイナルデスティネーションシリーズ第三弾。
三作目ともなるとどうしても予想通りな部分が出てきてしまうが、今回は写真に死に様が暗示されるという新要素を加えて、もはやお家芸の仕掛けのタイミングのずらし方、画面中に這い回る仕掛けの影、写真に隠された手がかりと、シリーズに期待するものを十分に用意できてはいる。
個人的には、SAWシリーズのように延々と続いて欲しいのだが。


評価:★★★ 6



ファイナルデッドサーキット
     


~あらすじ~
カーレースのサーキット場で、観客を巻き込む壮絶な大クラッシュが発生。スタンド席にいた若者ニックが見た予知夢のおかげで9人の男女が奇跡的に難を逃れるが、死の運命は彼らを見逃してはくれなかった……。


~感想~
ファイナルデスティネーションシリーズ第四弾。
いやーグロいグロい。もともと死に様のグロさに定評のあるシリーズだが、今回は特に拍車がかかっている。
しかも流行りの3D映画のため、劇場ではちぎれた四肢やあふれた臓器がゲドババァ!と襲いかかってきたそうだからたまらない。
臓器や四肢以外にも、やたらと物が画面のこちら側に飛んでくる演出が多いので、3Dならいっそう楽しめたことだろう。
内容的にはいつものシリーズ通りで、期待は外さない。この調子で末永く続いて欲しいものだ。


評価:★★★ 6



フィフス・エレメント
     


~あらすじ~
2214年、巨大なエネルギー体が地球に接近しつつあった。
一方、タクシー運転手のコーベンはひょんなことから赤い髪の少女を救う。
コーベンは彼女リールーを神父の元へ届けるが、そこでリールーこそ地球存亡のカギを握ると知らされる。


~感想~
初見。観る前にはSFの傑作らしいと思っていたが、ただのB級三文映画だった。

リュック・ベッソン監督が16歳の時に構想したもの、と言われれば実に納得の雑なストーリーと、日本人には厳しいアメリカンな笑いの数々に終始引きっぱなし。
正直なところ、見どころはミラ・ジョヴォヴィッチの脱ぎっぷりの良さくらい。
制作費が足りず、金稼ぎのために2日で脚本を書いた『レオン』が大ヒットしたとか、いったんはオーディションに落選したジョヴォヴィッチ姐さんが監督に直談判するや突如ヒロインに抜擢されたとか、公開直後にジョヴォヴィッチ姐さんがなぜか監督と結婚したとか、映画自体よりも背景のほうがよっぽど面白い、脱力必至のダメ映画でした。


評価:問題外



フォーンブース
     


~あらすじ~
自称一流パブリストのスチュは、汚い手管で他人を出し抜き騙す毎日。
いつものように公衆電話から浮気相手に電話をかけていると、突然見知らぬ男からの電話が。
男はスチュの私生活を熟知し「電話ボックスから出たら殺す」と脅し……。


~感想~
うーむ。あっと驚く仕掛けが皆無だったのが厳しい。
駆け引きに緊張感はあったが、突き抜けるところまでは行かず、すべての要素が予想の範疇に収まった。
の手の作品は、アクションや映像で見せられない分、ストーリーがとんでもない所まで転がって行かなくてはいけないのに、目に見える範囲で止まってしまった。
極端な話、舞台劇や短編小説で語るにも十分な内容で、わざわざ映画にした意図が不明である。
まあ、スチュ役のコリン・ファレルの顔の演技が抜群で、80分という短軸を退屈せずに最後まで見られたんですけども。


評価:★★☆ 5



ブラインドネス
     


~あらすじ~
ある日、車を運転していた日本人の男が突然視力を失う事態に見舞われる。しかし、彼を診た医者によれば、眼球に異常はなく原因は不明だった。その後、同様の患者が各地で続出、混乱が広がっていく。感染症の疑いが濃厚となり、政府は緊急隔離政策を発動し、発症者を片っ端から隔離病棟へと強制収容していくが……。


~感想~
設定自体は悪くないのに脚本が台無しにしている印象。人間のエゴ・欲望・醜さを克明に描くのもいいが、ただ淡々とそれが描かれるだけではなにも訴えかけるものがない。
徐々に汚れていく屋内の様子とか、歪んでいく人間関係の描写、すべての人物が「最初に発症した男」「医師の妻」など固有名詞が与えられず記号化されている、などの設定は細かいのに、肝心のところで「もともと盲目の鑑定士(??)でした」という強引すぎるキャラや、この極限状況の中で貴重品を集めてどうするの? いくら銃を持っていても盲目だったらいくらでも対処法なくね? という根源的な疑問、なげやりすぎるラストと、あちこちで破綻が起きてしまっている。
ただ後味が悪いだけの、得るものの少ない作品である。


評価:★ 2



プリンス・オブ・ペルシャ
     


~あらすじ~
ペルシャのライオンと呼ばれるほどの勇者に成長した第3王子ダスタンは、兄や叔父のニザムと共に聖なる都アラムートを征服する。
ダスタンは戦利品として父のペルシャ王に法衣を贈るが、そこに仕込まれた毒により王は絶命してしまう。
身に覚えのない父殺しの疑いをかけられたダスタンは、捕虜となっていたアラムートの王女タミーナの先導で、城から逃走し……。


~感想~
原作のゲームは未プレイなので、どの程度ゲームの世界を再現しているのかはわからないが、ペルシャの雰囲気をなかなかうまく表現した、痛快なアクション・ファンタジーに仕上がっている。
時間の砂という面白いアイテムを、主にアクションよりもストーリーを転がすために使うのはちょっともったいないが、使いすぎるとニコラス・ケイジの残念映画『NEXT』になってしまうので、しかたのないところか。
大きな見どころとして『マッハ!』さながらに、どんな地形もものともせず駆けまわる超人アクションが楽しく、この質を保てるなら(物語はきれいに着地してしまったが)続編にも期待したい。


評価:★★★ 6



プレステージ
     


~あらすじ~
19世紀末のロンドン。2人の天才マジシャン、ロバート・アンジャーとアルフレッド・ボーデンは、イリュージョンの腕を競い合っていた。
しかしある日、アンジャーの妻が脱出マジックに失敗して命を落とす。彼女の縄を縛ったのがボーデンだったことから、アンジャーはボーデンへの復讐を誓う。
やがて、驚異的な瞬間移動のイリュージョンを編み出したボーデンに対し、アンジャーはその秘密を盗み出そうと助手のオリヴィアをボーデンのもとへ差し向けるのだが……。


~感想~
中盤までは二人の天才マジシャンがくり広げる虚々実々の駆け引きがメインだが、とある装置が登場するや一気に、「世界幻想小説大賞」を受賞した作品らしいSFでファンタジーな物語へ様変わりする。
純粋なトリック映画を期待していた向きは憤慨するかもしれないが、そういう装置を利用したトリック映画であると了解すれば、非常に楽しめる仕掛けである。
特に冒頭のシーンの意味が明かされると、思わず膝を打つことうけあい。
最後には(ミステリ好きには自明だろうが)もうひとつのトリックも炸裂し、しっかりと物語を締めてくれる。
SF的なトリックさえ許せれば、万人に勧められる佳作と言えるだろう。


評価:★★★★ 8



プレデターズ
     


~あらすじ~
それぞれ異なる戦術を兼ね備えた戦闘のエリートたちが、どこともわからぬジャングルに“気がつけば落下していた”。
その顔ぶれは傭兵、死刑囚、特殊工作員とさまざまだが、なぜ今ここに自分がいるのかを理解できない。
実は彼らは、プレデターの獲物として集められたのだった……。


~感想~
アクション、SF、サバイバル、ホラーとあらゆる要素が詰め込まれた第一作と比ぶべくもないほど脚本は破綻しているが、『プレデター3』と冠さなかった英断、あるいは配慮を評価して、『プレデター外伝』として見るなら許せるレベルの映画ではある。
登場人物たちは特殊部隊、暗殺者、傭兵、囚人、医者、ヤクザと様々な肩書きを持ちながら、個性は持っている武器の種類くらいしかないほどキャラ付けが弱いため、誰がやられてもモブキャラが死んだ程度の印象しか受けない。
チームワークは皆無でなにかと衝突しているのに、突然ヤクザの人が「ここは俺に任せて先に行け」と犠牲精神を出すのはもしかして「日本人だから」という理由で片付けられてはいないだろうか。(どうでもいいがこいつの斬りかかる時の掛け声はおかしすぎる)
対するプレデターもいちおう4種類いて、それぞれ違う特色を持っているのだが、外見がほとんど変わらないため区別が付かないのも痛い。というか犬使いはどうして一度しか犬を使わなかったんだろうか。鳥使いもせっかくの鳥を戦いに使わないし。
と、キャラ設定だけに限っても細かい瑕疵をあげれば切りが無いが、激しいアクションとテンポの良さだけは評価できるため、プレデターシリーズだと変に気構えなければ、いちおう楽しめることだろう。

ちなみに予告編では12人以上のプレデターが登場することを示唆するシーンが流れていたが、どうも予告編制作会社の方で勝手に映像をいじったようである。予告編詐欺ってレベルじゃねーぞ!


評価:★★☆ 5



ベオウルフ 呪われし勇者
     


~あらすじ~
古代デンマーク。戦士ベオウルフは、王命によって、人々を襲い続ける呪われし巨人グレンデルの討伐に立ち上がる。
激戦の末、グレンデルを見事に打ち負すが、その冷酷で妖艶な母の魅惑に引き込まれ……。


~感想~
全編CGで描かれた大作。なのだが「CGもここまで来たか!」と驚くよりも「これがCGの限界だよなあ」と眉をひそめたくなる場面のほうが多い。
見どころは前半、なぜか全裸で戦うベオウルフの股間を巧みに隠す「オースチン・パワーズ」なカメラワークが無駄に力が入っていて、スタッフはどこまで真剣なのかと頭を抱えて悩みながらもバカ楽しい。
そこを除けば極めてまっとうなヒロイック・ファンタジーなので、「アニメか実写でもよかったのでは?」という疑念は最後までつきまとうものの、普通に観られる映画ではある。


評価:★★☆ 5



ベッドタイム・ストーリー
     


~あらすじ~
独身中年のスキーターは、幼い甥と姪を寝かしつけるためにオリジナルのおとぎ話を語って聞かせる。もちろん主人公は自分自身。気に入った子供たちが話に割り込み、ストーリーを引っかき回すと、おとぎ話が不思議なかたちで現実に起こり始めた。


~感想~
実にディズニー映画らしい作品。荒唐無稽な設定をうまく活かし、童話ならばただ純粋で真面目なだけな性格に描くだろう主人公に、お調子者の軽い男を配し、きわめてテンポの良い物語に仕上げて見せた。
問答無用のハッピーエンドになるのは当然ながらも、ほとんど無敵の万能な魔法でたどり着けるのは夢の一歩手前まで、結局最後に夢をかなえるのは自分の力だという教育的な(?)配慮も示し、隙が見当たらない。
まさしく大人から子供まで万人が楽しめる娯楽作品である。


評価:★★★ 6



ヘルボーイ
     


~あらすじ~
第二次大戦末期。敗色濃厚のナチスドイツは、怪僧ラスプーチンの力で魔界の扉を開こうとする。
だが米軍の奇襲で企ては失敗。ラスプーチンは魔界に消え、後には悪魔の赤ん坊が残された。
米軍に同行した学者に“ヘルボーイ”と名づけられた赤ん坊は、やがてエージェントとして育ち、魔界の者と戦うのだった。


~感想~
キャラは魅力的。CGも及第点。なのに凡作になっているのは脚本のせいだろう。
主人公の力が、パワータイプにしては中途半端なのは原作のせいとしても、アクションシーンの貧弱さや、悪魔と人間の狭間で苦悩に揺れる(べき)ヘルボーイの心に、葛藤がなさすぎるのは脚本を責めるべき。
敵モンスターも数が多いだけで終始同じキャラが出ずっぱり。しかも噛みつくくらいしか能がないから、アクションを広げられない。
短所を補強して続編を出せれば、そこそこ面白くなりそうなのだが……。
ところでスポーンといいヘルボーイといい、並はずれたパワーがあるのに、わざわざ銃を使うあたりお国柄が見えたり。


評価:★★ 4



ヘルボーイ ゴールデン・アーミー
     


~あらすじ~
超常現象捜査防衛局(BPRD)の凄腕エージェントとして魔物退治にあたる地獄生まれのヘルボーイ。目下、同僚であり恋人でもあるリズとの関係に頭を悩ませる日々。そんなある夜、マンハッタンのオークション会場が何者かに襲撃される事件が発生、すぐさまヘルボーイたちBPRDチームが駆けつけ事態は収拾したかに思われたが…。


~感想~
前作は力自慢のわりに拳銃が武器という強いんだか弱いんだかわからない主人公が、見飽きるくらい大量の同じ敵とワンパターンに戦うだけの退屈な映画だったが、反省を踏まえてさまざまな解決策(ちゃんとパワータイプな面を見せる主人公、多彩な敵キャラ、工夫をこらしたバトル)を取り入れ、ファンタジィ味あふれる痛快なアクションに仕上がった。
しかしながら制作費は前作よりも少ないそうで、節約とやりくりで数倍のボリュームを演出したというのだから、製作陣にはGJと言うしかない。
低予算を感じさせない、気軽にスカッと観られるそれなりの作品なので、前作は無視してこちらを先に観ることをおすすめする。


評価:★★☆ 5



ボーン・アイデンティティー
     


~あらすじ~
嵐の夜、イタリアの漁船が洋上に漂う意識不明の男を発見する。
彼の背中には弾痕があり、皮下にはマイクロカプセルが埋め込まれていた。
息を吹き返した男は記憶を失っており、唯一の手掛かりであるスイスの銀行に向かう。その貸金庫にはジェイソン・ボーン名義を含め6ヵ国のパスポートや大金、そして拳銃が入っていた。


~感想~
記憶喪失だが体に刻み込まれたスパイの才能だけは失っていない男という、中二テイスト全開な設定だけでもううれしくなってくる。
迫り来る敵を反射的に叩き伏せ、どんな窮地に陥ってもとっさの判断で頭脳的に切り抜けるボーンがとにかくかっこいい。
その性能がチート気味で、ほとんどの敵を苦もなく倒してしまうのはご愛嬌だが、失われた記憶を追うストーリーはこれ以上ない大団円にたどりつき、娯楽作品として満点の出来である。


評価:★★★☆ 7



ボーン・スプレマシー
     


~あらすじ~
CIAの諜報員パメラ・ランディは、内部で起きた公金横領事件を調べていた。
しかし何者かに襲撃され、重要資料を奪われてしまう。
採取した指紋を照合し犯人を特定、そこには新生活を送るボーンの名が浮上するのだが……。


~感想~
雑誌TUEEEEEEEEEEEEEEEE!!!

大団円で幕を閉じた前作を引きついだ、最悪の幕開けから一気に引き込まれる。
ボーンのチート全開な能力はもちろん健在で、あらゆる強敵やピンチを、卓越した状況判断力ではねのけていく、ただ肉体的に強いだけではないスパイ像が斬新かつ面白い。
幕開けが幕開けだけに、終始暗い雰囲気が立ち込めるが、やはり大団円に落ち着くストーリーもいい。前作を超えた正統な続編である。


評価:★★★★ 8



ボーン・アルティメイタム
     


~あらすじ~
ある日、イギリスの大手新聞に記憶を失ったスパイ、ジェイソン・ボーンの記事が載る。そしてその担当記者ロスから、CIAの極秘計画トレッドストーンをアップデートした“ブラックブライアー”という計画の存在を知らされるのだが……。


~感想~
最近のシリーズ物の映画は、前作を観ていることが前提のものが多いが、これもその類で、冒頭から説明無用の展開なのでどうか第一作から観てほしい。
ボーンの新しさは、スパイ映画にありがちの超人的な戦闘能力やハイテク機器を排し、その場その場の状況に応じた作戦を瞬時に組み立て、身の回りの物を活用して窮地を突破していくことにある。
危機に陥ったボーンが周囲に目を走らせ、なんの変哲もないタオルや雑誌を手に取っただけで、いったいそれをどう使うのかと期待を持たせ、しかも予想だにしない活用法を見せてくれるのが醍醐味である。
前二作をふまえた展開に、映画史に残るド派手なカーチェイス、最高に後味のいい結末と、申し分のない傑作で、シリーズを重ねるごとに完成度が高まっているのもさすが。
当初は三部作と予定されていたが、続編の製作も決まったそうで、非常に楽しみである。


評価:★★★★ 8



放送禁止
     


~あらすじ~
幽霊が出ると噂の廃ビルに侵入した大学生4人だが、突然ひとりがいなくなったことに気づく。残された3人もひとりまたひとりと失踪し……。


~感想~
本作はフジテレビ深夜枠で、フェイク・ドキュメンタリーとして放送され、真相を明示しない破格の構成で話題を呼んだドラマである。
以前に紹介した『ノロイ』とは異なり、番組の最後にフィクションだと断っているものの、一般的な注意力を持たない視聴者から問い合わせが殺到したそうだが、問い合わせるまでもなく、演技も展開も見るからにドラマ的で、真相も期待していたような意外性はなく、普通に観ていれば普通に気づくようなレベルである。
ただし真相につながる伏線はなかなか豊富で、鑑賞後に検証サイトを調べると、改めて確かめたくなることだろう。1時間にも満たない短尺の作品なので、一見の価値はあるかも。


評価:★★☆ 5



放送禁止 2 ある呪われた大家族
     


~あらすじ~
ごく普通の大家族に、怪我や事故が相次ぐという奇妙な出来事が起こる。謎めいた心霊写真がすべての原因と考えられるが……。


~感想~
前作の真相にたどりついた視聴者が思ったよりも少なかったため、難易度を落として制作した第二弾。
なんでも8割の視聴者が真相を見抜けるように作ったそうなのだが、もう馬鹿にしているとしか思えないほどわかりやすい仕様で、わかりやすいどころかラストシーンで不自然極まりないカットで真相そのものを明示しているのだが、これで8割とは視聴者をなめすぎではなかろうか。
……と言ってみたものの、ここからは余談になるが、以前にmixiニュースで、いいともにも出演していた書道家の森先生がブログで、読者から投稿された習字に朱を入れるという企画をやっていたのだが、そこに悪戯で別の著名な書道家の作品を投稿したバカがおり、森先生は気づかずに朱を入れてダメ出ししてしまった……というものが紹介されたのだが、その記事に対するコメントのおよそ8割が「同じ書道家の作品を批判するなんて酷い」という全く的はずれなもので、一般層の読解力のなさに唖然とさせられたものだが、もしかしてこの作品の真相にたどりつけるのも(こんだけわかりやすくしているにも関わらず)本当に8割なのかもしれない、と思ったり。

あ、作品自体の感想としては、糞ほどわかりやす過ぎて、もうシリーズを追う意欲もなくしてしまったが、豊富な伏線と過剰な演出はなかなか面白かった。
ラストの答え合わせさえなければ、随分印象は変わったと思う。


評価:★★ 4



ホットファズ 俺たちスーパーポリスメン!
     


~あらすじ~
あまりにも優秀すぎるがゆえに同僚たちの反感を買い、のどかな田舎町サンドフォードに左遷されたニコラス・エンジェル。
殺人事件は20年間も起こらず、毎年のように表彰される平和な町で正義感をもてあまし、相棒のダニーは警察映画オタクのダメ警官で、すっかり途方に暮れるニコラス。
だが、悲劇的な事件が起きたとき、彼はふと疑念を抱く。この町は、実は少しものどかでも牧歌的でもないのではと……。


~感想~
どこから褒めればいいんだこの映画は。

全編にわたって張りめぐらされた伏線と、それを残らず回収する神がかり的な手腕。
空回りする堅物デカでコメディ映画としてきっちり笑わせ、まさに「静から動」と言うべき展開でアクション映画として満足させる物語。
並の映画なら解決編に持ってくるだろう過不足ないサスペンスと、「邑ホラー」としての不穏な空気。
それらが驚異的な完成度でまとめられ、120分間まったく飽きさせないのだから恐ろしい。
なんといっても伏線大好き人間にはたまらない、伏線じゃないものまで伏線として次々と回収していく様にはほぼイキかけた。
アクション、コメディ、パロディ、サスペンス、そしてバディ・ムービーとありとあらゆるジャンルを内包した、まさに完璧な映画である。
水野晴郎が生涯最期に見た映画が「ホットファズ」だったことは、映画の神様からの贈り物だったのかもしれない。

それにしてもこれだけの大傑作が署名活動でやっとこさ劇場公開にこぎつけ、DVD化にあたっては足を引っ張るとしか思えない副題を付けられるのだから日本はどうかしている。


評価:★★★★★ 10



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