映画感想-ら行


ライラの冒険 黄金の羅針盤
     


~あらすじ~
パラレルワールドの英国。その世界では人々は、それぞれの心が動物の姿で具現化したダイモンと呼ばれる守護精霊と行動を共にしている。
12歳の少女ライラも“パンタライモン”というダイモンと常に一心同体。そんな彼女の周囲で子どもたちが行方不明になる事件が続発、親友ロジャーまでも姿を消してしまう。ライラは黄金に輝く“真理計”を手に、子どもたちが連れ去られた北の地を目指し危険な旅に出るのだが……。


~感想~
これはダメな映画だな……。
難点はいろいろあるが、人間につれそう目に見える魂・ダイモンという設定は面白いが、それが別段、物語に貢献していないのがまずひとつ。
子供向け作品ながら人が死にすぎるのも問題。撃たれてただ倒れるだけなら言い訳もできるが、ダイモン=魂が消滅しては明らかに死んでいるではないか。
またアクションシーンのほとんどが
やけに暗い所で行われるので、なにが起きているのかさっぱりわからないのも痛い。
主人公のライラがあまりかわいくないのは置いといて、なにかというと無為無策に突撃しては捕らえられる(それも3回も)のもいただけないし、そんな無鉄砲なライラを「あの子は選ばれた子」だの「すばらしい子だ」とこぞって褒め称えるのも意味が解らない。あいつほとんど役に立ってないだろ。
また、登場人物がそろって人の言うことを鵜呑みにする性格で、異常にだまされやすいのもネックで、しかも一番だまされないし、逆にひとをだましまくるのがライラというのもなにか間違っている気がしてならない。
とどめにラストは「俺たちの冒険は始まったばかりだ」と大々的に「次回につづく!」なので物足りないことこの上ない。
総じて出来の悪いファンタジーというしかないだろう。


評価:★ 2



ランボー 4 最後の戦場
     


~あらすじ~
アメリカを離れ、タイ北部で暮らしていたランボー。ある日、内戦の続く隣国ミャンマーへ向かう支援団を助けた彼だったが……。


~感想~
映画としては最悪の部類に入るだろうが、激しいアクションだけは観ていて爽快。ランボーってこんなシリーズだったっけ?
とにかくストーリーのどうでもよさが芸術の域に達していて、敵は民間人をゲーム感覚で虐殺するわかりやすすぎる悪党。
ヒロインはランボーを戦場に導くための単なる案内役で、なんら行動を起こしやしない。
肝心のアクションはと言えば、ランボーとともに戦う人々は銃弾の中に身をさらして決死の戦いをくり広げるのに、ランボーは巨大な弾除けの付いたガトリングガンをあやつり、安全圏から一方的に敵を撃ち殺すだけのガンシューティングゲーム状態。
その銃弾の威力がハンパなく、貫通するどころか次々と手足を吹っ飛ばし、腹に当たれば風穴を開け、頭に当たれば消し飛ぶほどの、ほとんどレーザー兵器ばり。
大量の兵員を積んだ装甲車や船もあっという間に木っ端微塵にし、このあたりになるとボーナスゲームの雰囲気まで漂ってしまう。
並のスプラッタ映画を上回るグロい死に様と、どう考えても敵味方関係なく、動くものを片っ端から肉塊に変えていくランボーの無敵っぷりにだんだんと笑いが込み上げてくる。
90分足らずの異様に短い上映時間もあり、あっという間に観終わるので、グロ描写が大丈夫な方は観ても損はしないのでは。


評価:★★ 4



霊 リョン
     


~あらすじ~
記憶をなくした女子大生ジウォンの前に、ある日高校時代の同級生だという女性ユジョンが現われ、共通の友人だったウンソが死んだと聞かされる。
数日後、大学を訪れた刑事からユジョンもまた死んだことを知らされる。ウンソとユジョンの2人の死に共通していたのは、どちらも“水のない場所”での溺死という点。事件の謎が失われた記憶の中にあると感じたジウォンは、自らの過去を調べ始めるのだが……。


~感想~
「どんでん返し映画が見たければ韓国ホラーを観ろ」という格言が(僕の中には)あるのだが、まさにその好例。
どんでん返し映画です。と書けばそれだけで感想になる作品である。
それにしても、日本に持ち込まれる韓流ホラーはほとんどがこういった映画なのだが、韓国では当たり前なのか、それとも仕入れる日本側の趣味なのかは興味あるところ。
結末を付けないことがホラーだと信じ込んだ、凝り固まった頭の和製ホラーとは一線を画した韓流ホラーに大ハズレなし。


評価:★★★ 6



輪廻
     


~あらすじ~
昭和45年、群馬県のホテルで11人が惨殺される事件が起きた。動機も不明のまま、犯人の教授・大森範久も謎の死を遂げる。
35年後。この事件を題材にした映画の製作に執念を燃やす映画監督の松村。「記憶」と名付けられた映画のヒロインには新人女優の杉浦渚が大抜擢された。しかし渚は撮影が近づくにつれ不思議な少女の幻覚に悩まされていく。


~感想~
『呪怨』の監督ということで視聴。さすがにホラーのツボは心得ている。
というか優香の意外な演技力の高さに驚いた。ドラマに出ている印象は少ないのだが、顔もセリフも雰囲気もばっちり。いい女優じゃん。
『呪怨』ばりの「関係者は皆殺し」テイストに、『呪怨』にはなかったどんでん返しとまずまず納得の出来。個人的には人形には無表情の怖さを貫いてほしかったので、終盤にチャイルドプレイになってしまったのは残念。だがホラー好きなら観ておいて損はないと思う。


評価:★★★ 6



レスラー
     


~あらすじ~
栄華を極めた全盛期を過ぎ去り、家族も、金も、名声をも失った元人気プロレスラー"ザ・ラム"ことランディ。
今はどさ回りの興行とスーパーのアルバイトでしのぐ生活だ。ある日心臓発作を起こして医師から引退を勧告された彼は、今の自分には行く場所もなければ頼る人もいないことに気づく。


~感想~
ただのプロレス好きではなく、控え室でのやりとりやネットに流れる無責任な噂の類を楽しむプロレスマニア向けの作品。
なんせ序盤からネクロ・ブッチャー vs ミッキー・ロークのハードコア・マッチという高熱の時に見る悪夢のようなカードが展開されるので、まず日本プロレスだけのファンはここでふるい落とされる。
その後もスーパーマーケットで試合で使う凶器を物色するロークとその対戦相手。控え室での試合内容の打ち合わせでは、脚責めしようとしたら別のカードで脚を責めるから、かぶってしまうので変更するという生々しさ。試合中に仕込んでいたカミソリで額を切るところなど、コアなファン以外を次々と置き去りにしていく。

またかつて頂点をきわめたが、現在は精肉売り場のバイトで生計を立てる主人公と、演じるミッキー・ロークの人生が重なりあい、ロークの自伝的な内容になっているのも見どころ。
イケメン俳優でブイブイ言わせたロークが、50の坂を越え、整形に失敗し容姿は崩れ、表舞台からも外れうらぶれて見る影もなかったのが、この「レスラー」でアカデミー賞候補に上がり、再起を果たしたのだから、事実は小説よりもなんとやらである。
投げっぱなしジャーマンのような結末は、未来を見据えずただ現在の輝きだけを追い求める、自業自得で全てに見捨てられたものの、生き甲斐と死に場所だけは見つけてしまった男の物語の着地としては正解だろう。

WWEバカとしてついでに付記しておくと、劇中でロークと最後に戦うのがアーネスト・ザ・キャット・ミラーだったことに吹いた。
突如スマックダウンの解説に就任し、数ヶ月後「あのザ・キャットがついにリングデビューする」と大プッシュの末にリングに上がったら素人同然のしょっぱさで光の速さで解雇され「じゃあなんであいつが偉そうに解説やってたんだよ」とファンの度肝を抜いたザ・キャットが、よりにもよってアラブ人レスラー役でなぜ出てくるのか。
プロレスは面白いなあ。


評価:★★★ 6



レッド・クリフ PartⅠ
     


~あらすじ~
ジョン・ウー監督が、三国志の"赤壁の戦い"を全2部作で描く。
西暦208年。帝国を支配する曹操は、80万の大軍で劉備、孫権の征討に動く。劉備は撤退が遅れ、曹操軍に追いつかれてしまい全滅の危機に。
軍師の孔明は、劉備に孫権との同盟を進言、自ら孫権のもとへと向かう。しかし、孫権軍では降伏論が大勢を占めており、孔明は若き皇帝孫権の説得に苦心する。
孫権が兄と慕う司令官・周瑜と面会する孔明だったが…。


~感想~
三国志ファンから見れば、雰囲気たっぷりの関羽・張飛・趙雲が真・三国無双な暴れっぷりを見せてくれるだけで満足なのだが、三国志を知らない人が見て楽しめるのかどうか。
「チーム・バチスタの栄光」でも思ったが(日本の医療エンタメ映画を引き合いに出すのもどうかと思うが)どうして原作にないシーンに尺を割いてしまうのかわからない。独自の展開を入れるのは当然だが、それが冗長なものばかりで、明らかにテンポを落としているのだ。
また、業績が史実とかけ離れているからと言って甘寧を甘興というオリジナル武将にしたが、せっかく別人にしたわりに水賊上がりの豪傑という甘寧とまるっきり同じ設定で、オリジナル要素が皆無(しかも甘寧の字は興覇だ)なのもいただけない。
たぶん史実と異なり戦死するから名前を変えたのだろうが、創作なのだから別に赤壁で甘寧が死のうがかまわないと思うのだが。吉川栄治なんか張郃ほどの大物を間違って3回も殺してるんだし。
タイトルは大嘘で赤壁の戦い前に物語は終わるが、配役でもめたわりにハマリ役の金城孔明(白いハトにエサをやり、濡れたハトを白羽扇で乾かす!)や、壮大なスケールの映像など内容よりも雰囲気を楽しめばいいのではなかろうか。


評価:★★☆ 5



レッド・クリフ PartⅡ
     


~あらすじ~
ジョン・ウー監督による三国志の映画化「レッド・クリフ」の後編。
孔明、周瑜の活躍で、80万の曹操軍をわずか5万で撃退することに成功した劉備・孫権連合軍。しかし、依然として圧倒的な勢力を誇る曹操は、2000隻の戦艦を率いて赤壁へと進軍する。そんな中、曹操軍には疫病が蔓延してしまうが、非情な曹操は死体を船に積み、連合軍のいる対岸へと流す。これにより連合軍にも疫病がひろがり、ついに劉備は自軍の兵と民のため撤退を決断する。孔明はただひとり戦地に残り、周瑜とともに戦う道を選ぶのだったが…。


~感想~
前作ではタイトルに偽りあって赤壁の戦いまでいたらなかったが、今回はきっちりと最後まで描ききり、満足のいくものとなっている。
前作では首をかしげたくなるような、端的に言って「いらなくね?」と思うものばかりだったオリジナル展開が、今作では要所要所でぴたりとはまっていき、三国志マニアにも納得のいく展開で、ようやく製作者サイドの三国志愛が感じられるようになった。
まあ、裏に思惑があるとはいえ、義を否定し参戦を拒絶し孔明を置き去りにする劉備とか、苦肉の計を一瞬で却下される黄蓋とか、奇襲作戦のはずが最終的には力攻めで城落としてね? とかおかしい描写は多々あるものの、ハリウッドの手にかかっても変に毒されることなく、赤壁の戦いを独自のアレンジで描いたことは、認めるべきだろう。

まったくの余談だが、ハリウッドのお偉いさんは撮影中に「キャラが多すぎるから何人か一人にまとめちゃえよ。劉備と関羽と曹操は同一人物にするとか」などと恐ろしすぎる三身悪魔合体を提案してきたとか。そんなの絶対合体事故起こして外道スライムしか生まれないよ……。


評価:★★★ 6



ローレライ
     


~あらすじ~
1945年8月。同盟国ドイツは降伏し、広島には最初の原爆が投下される。
窮地に立たされた日本軍はドイツから極秘裏に接収した戦利潜水艦・伊507に最後の望みを託す。
特殊兵器“ローレライ”を搭載する伊507に課せられた任務は、広島に続く本土への原爆投下を阻止するため、南太平洋上に浮かぶ発進基地を単独で奇襲すること。この無謀な作戦を遂行するため浅倉大佐によって招集された乗組員は、艦長に抜擢された絹見をはじめ、軍人としては一癖も二癖もあるまさに規格外品の男たちだった……。


~感想~
『終戦のローレライ』体験版といったところ。
原作は文庫4冊にもわたる長編であり、それを2時間強に縮めたわけだから窮屈になるのも当然。
「このセールスマン誰? 高須? なんで?」と戸惑っているうちにローレライが発動し、原作を読んでいないとさっぱり意味が解らないようなローレライの弱点が明かされ、あっさり裏切りあっさり和解し(高須あんまりだよ高須)、清永のあんまりな最期に唖然とし、あれよあれよという間にラストシーン。
原作を読んでいないとどこまで理解できるのだろうと心配になるが、映画を見て面白かったら原作をどうぞという体験版ととらえれば、それなりに楽しいSFアクションではなかろうか。
逆にいえばフリッツも小松も土谷も抜きに、たったの2時間でよくぞここまで日本映画が原作を再現して見せたと感心すべき。
もし映画を楽しめたのなら、100倍面白い原作をぜひ。


評価:★★☆ 5



ロッキー・ザ・ファイナル
     


~あらすじ~
現役を引退し、愛妻エイドリアンにも先立たれ、一人息子との関係もこじれて満たされない日々を送るロッキー・バルボアは、地元フィラデルフィアで小さなレストランを経営していた。もはやかつての栄光とエイドリアンとの思い出にすがって生きる日々だったが……。


~感想~
「無茶」という大前提にさえ目をつぶれば、普通に楽しめる映画ではある。
シリーズファン向けのなつかしいシーンやエピソードがちりばめられ、試合も普通に盛り上がり、ロッキーとして成立していることは間違いない。
だがわざわざ続編を撮る必要はあったのかなあ……という疑問は常に頭の端から去らないのもたしか。
「ダイハード」や「インディ・ジョーンズ」のような現実離れしたアドベンチャーではなくスポーツが題材だけに、今後もシリーズは続いていくという気配を見せず、一度っきりの復活、シリーズの後日談という位置づけは正解だと思う。
こんなこと言って続いたらどうしよう……。


評価:★★☆ 5



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