夕木春央 - 楽園
~あらすじ~ 両親の急逝により多数の物件を受け継いだ康之。
居住者の海原が失踪し、手掛かりを求め恋人の沙織とともに向かった先には閉鎖された集落が。
そこから出るには、誰かを殺さなければならなかった。
~感想~
あまりに特異なシリーズの3作目とあり、もうネタバレなしでは何も言えないができるだけがんばって避けると、趣向は買うものの3作はさすがに多すぎた。
ミステリ馬鹿なら思い当たるだろう、同様の趣向を凝らした先行作品は1作限りであり、しかも長編の形式ではなかった。個人的にはあれがベストの形態であり、やって2作目までに留めておくべきだったと思う。
というのも3作目ともなると何が起きても全編にわたって「知ってた」になってしまい、予定調和感が半端ない。初読なのに二周目と同じ感覚で読めるのはなかなか新しい経験だが、それで予定調和感と既視感が消えるわけではない。
シリーズをまとめ上げる結末は良いが、まとめるために「殺さなければ出られない」あまりに強引すぎる思わず笑ってしまったありえねえ設定と、急に無から生えてきた動機を作らざるを得なかったのもネック。あとあの人はサイコパスだから気づいてないけど普通にこの後あの人に殺されると思うよ?
先行作品のスマートさとあまりに完璧な舞台設定、オーバーテクノロジーのような図抜けた発想がちらついてしまい、先行作品を読んでいないほうが楽しめただろう。
しかし先行作品のことは置いておくとしても、ここ数年でも屈指の傑作だった1作目「方舟」がシリーズの一つとして取り込まれてしまったことが、「方舟」にとってなんらプラスに働いていないのがなんとも惜しい。
あの1作だけで完璧だった「方舟」の価値を落としたとまでは言わないが、傑作に必要のない続編を付けてしまった感はどうしても否めない。「聖闘士星矢」とか「魁!!男塾」と同類。
先行作品と「方舟」がすごすぎた。それだけが不幸だった。
26.8.18 評価:★★★ 6
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