(超キモい)ニューダンガンロンパV3ネタバレ感想

第1章 私と僕の学級裁判
CV緑川光、才能??で絶対1人目には死にそうもない天海蘭太郎が真っ先に殺される展開に仰天。
「俺がコロシアイを止める」とか死亡フラグはいくつも立てていたがまさかまさかだ。
だがそのまさかをも上回るのが犯人の赤松楓と主人公交代だ。
3作目は女主人公というのはいかにもありそうだし、ポジティブなキャラも苗木誠や日向創とかぶる。またCV神田沙也加というのが絶妙過ぎる。
相棒の最原終一も1作目で脇役だった霧切響子と同じ超高校級の探偵で、CV林原めぐみで主人公を補佐し脇を固めるポジション感がすごい。シリーズファンであればあるほど掛かりやすい誤導だった。

トリックもシリーズ初(?)の叙述トリックで、地の文では犯行の様子がきっちり書かれているというフェアプレイぶり。
正直、事件が起こるまでも長ければ、起こってからの捜査も長すぎてだれてしまったが、このトリックを仕掛けるのならば長くなるのもしかたない。
標的と別人を殺してしまうという結末も皮肉が利き、叙述トリックかつ機械トリックかつ遠隔殺人かつ探偵=犯人かつ主人公交代という、ミステリ界広しといえどもなかなか類例を見ない何重もの仕掛けが凝らされた素晴らしい一編である。

まあ最終話で全部引っくり返されるんだけど。


第2章 限りなく地獄に近い天国
いきなり飛び道具をぶっ放してきた1章から打って変わり、オーソドックスな事件。
絶対誰か死ぬとわかりやすかったマジックショー中に殺されたのは星竜馬。CV大塚明夫はもっと長生きして欲しかった…。
トリックが前章に続き斜めにシャーだったのでまさかこれで縛るつもり? 御大リスペクト? と思ったが気のせいだった。…4章でも何かが斜めにシャーしていたが。
機械トリックは視覚的にわかりやすく、決定的証拠を残してしまったのも不可抗力と設定を上手く活かした。「体育館に数分しかいなかったので犯行は不可能」から「数分あれば仕掛けが用意できるのでむしろ犯人」へ移行するのも見事だった。

だがそれより何より動機だ。
超高校級と冠しておけばなんでも許されるシリーズの伝統からしても規格外の、実は日本を動かしていた存在の犯人。クロ確定させてしまってから発覚する、日本全部と自分達の命を秤にかけていた、どころか日本の未来を潰してしまったという最悪の結末。いやあ酷い酷い。裁判に勝っても勝てるとは限らない。

ところで作中の活躍ぶりを見る限り東条斬美は本当に超高校級のメイドだったとしか思えないのだが。


第3章 転校生オブザデッド
絶対中で死んでるとわかりやすかったアンジーに続き、絶対殺されるとわかりやすい状況で茶柱も殺される。密室殺人が2件、しかも捜査中に2件目が起こるという展開が熱い。
どちらも小説で書いたら文句しか出ないが、絵で見せれば納得できる力技で面白かった。
ただ2件目はあの方法で近づけば絶対に魔法陣は乱れるし、合唱の声も動くから実現は不可能だと思う。

そういえば2件目はシーソー形式とはいえ斜めにシャーしてると言えなくもないな…。


第4章 気だるき異世界を生かせ生きるだけ
異世界を舞台にした特殊設定ミステリをぶち込んでくる無理やりさに吹いた。ダンガンロンパなら許されるわ。
特殊設定ものにしてはトリックはかなりわかりやすいが、犯人の意外さはすごい。御本人のAIが自白するまで信じられなかったほど。ゴン太がケーブルを挿し違えるか、結果的にどんなバグが起こるか予測不能で、ものすごく粗い犯行ではあったが、犯人が自分の犯行だけを綺麗さっぱり記憶喪失しているのは本格ミステリではさほど珍しくないし、理由があるだけ許容範囲である。
なんといっても、主犯が明らかでもおしおきされるのは実行犯というコロシアイならではのルールが光った。
このあたりから王馬小吉が絶好調のルルーシュくらい有能になってしまうんだよな。


第5章 愛も青春も無い旅立ち
被害者・犯人ともに不明のまま始まる異例の裁判。
どう考えても百田解斗にこんなことができるわけがないのだが、そこは王馬小吉がゾーンに入ったルルーシュなので全部網羅した台本を渡してあったことで理由をつける。
…あんな完璧に対応した台本を書く暇絶対ないし、突発的な事件だったはずだし、百田にそんな演技力もアドリブ力も無さそうなんだけども、細かいことを気にしてはいけない。そもそも超高校級でもないしね!
あと百田が被害者でも犯人でも最原たちにとっては最悪の結末なのだが、なかなかそれに気づかないのは節穴過ぎると思う。


第6章 さよならダンガンロンパ
そしてちゃぶ台その他もろもろ全てをぶん投げる最終章。
事前に全く関係ないサイトで「結局ゲームだった」「自らシリーズを終わらせた」というネタバレを踏んでいたが、かえって誤導になっていて、こういう終わらせ方だったとは夢にも思わなんだ。
1話目の真相が捏造という逆転から、さりげなく張られていた伏線でとどめを刺したが、ゴミは片付けろ。
ここまでコスプレイヤーとしてのキャラを全く出せず、ツッコミ担当で自我を保っていた白銀つむぎが、コスプレイヤーの能力全開で暴れ回る。
真相が明かされてからは延々と、これが完結編だと煽って煽って煽りまくり、それを隠してただのシリーズ3作目としてリリースした制作陣の豪胆さには脱帽である。

江ノ島盾子53世ということはシリーズ53作全部の黒幕が江ノ島だったわけでそんなマンネリ作品が53作も続くわけないし、自分がガチで死んでしまうコロシアイに、凡人が喜び勇んで参加するわけもないのだが、こまけえこたぁいいんだよ!

ここまでむちゃくちゃにしてしまうと、もはや何をしても納得できるはずはなく、2度目の主人公交代・退場を経て、強引に話をまとめ上げてなんとなく良い話で幕を引いた。希望とか絶望で片のつく次元では無くなっており、誰も得をしないし、腑に落ちない決着だったが、最原ら登場人物だけではなく、プレイヤーにも容赦なく悪意を向けるやりたい放題で、公式がこれだけむちゃくちゃなことをやってのけただけでも、拍手を送るべきだろう。

過去編でも模倣犯編でもシリーズ再開の方法はいくらでもあり、ダンガンロンパ霧切を完結させた北山猛邦も手が空いたし、裏では何か動いているのではと期待してやまない。