ESW 11年1月1週



すじこ、ベルト強奪


昨夜のPPVで世界王座戦に乱入し、ベルトを強奪したすじこが、新年最初のリングに
まるで自分が世界王者であるようにベルトを手に現れた。





「俺はランディ・マートンに何度となく言ってきた。俺を世界王座に挑ませろとな。
だがあいつは俺を恐れて挑戦を受けようとはしなかった。だから実力行使をしただけだ。
マートン、ベルトを返して欲しいか? それなら取りに来い。
俺が奪ってやったように、ベルトを奪い返しにな!」


すじこの挑発に応じ、ランディ・マートンが現れ……ず、オーナーのポール・ヘゴバンが出てきた。

「マートンは出てこないぞ。あいつは激怒している。
貴様と乱闘されたら番組がむちゃくちゃになるから、私がおとなしくしているよう命じたのだ。
それより重大な発表がある。今週からエクストリーム・ランキングを再開するのだ!
2月2週の終了時点でランキング1位の者に、2月PPVでの世界王座挑戦を認めるぞ!」

「何をくだらないことを言っている」すじこが舌打ちした。
「世界王座に挑むべきなのは俺だ。ベルトを持っているのも俺だ。
ヘゴバン、お前のするべきことは一つだけだ。マートンと俺の世界王座戦を決定しろ!」

「それは無理だ。1月PPV『KINGS ROAD』でマートンの世界王座に挑むのは……。
ジュニアだ! 貴様に妨害された世界王座戦のリマッチを行う!
どうしても世界王座に挑みたいならば、1月PPVで行われる『ROYAL RUMBLE』で優勝するのだな」

「……そうか、それがお前の選択か」


すじこはいきなりヘゴバンを抱え上げると、上手投げでマットに叩きつけてしまった。
観衆からは歓声とブーイングが半々に上がっていた……。





オーナー代理? ランディ・マートン


オーナー室のイスに世界王者のランディ・マートンがふんぞり返っていた。
そこに生活ライフとハバネロ三太夫が入ってきて、部屋の中を見回した。

「オーナーはどうした?」

「中継を見てなかったのか? オーナーはすじこにやられて病院に運ばれた。
俺は救急車に乗せられる寸前のオーナーに頼まれて、今夜はオーナー代理をすることになったんだ」

「……うさんくさい話だな」生活ライフは眉をひそめた。「まあいい、お前でもいいから話を聞け。
俺たちは昨夜のタッグ王座挑戦権争奪戦に出られなかった。
だから、俺たちにもチャンスが与えられるべきだと思わないか」

「ハバネロとお前が組むのか? 変わった組み合わせだな」

「相棒のぽこちん大魔王は負傷欠場中だからな、背に腹は代えられぬ」ハバネロは肩をすくめた。

「話は聞いたぜ!」

クリス・ジャレコがそこに駆けこんできた。

「チャンスを与えられるべき最高のタッグチームがもう一組いるぜ。
それはクリス・ジャレコ&ボンジュール・フォンデュだ!」

「ああ、面白いんじゃないか? じゃあライフ&ハバネロとお前たちで試合しろ」マートンは簡単に決定してしまった。

「いい判断だ! 『黄金の絆』をクソゲーだと潔く認めた社長くらいいい判断だ。
お前、オーナーの才能があるぜ!」

マートンはまんざらでもなさそうに笑うのだった……。





メインのタッグ戦は……


ジャレコにおだてられて気を良くしたマートンは、さらにメインに自分が出場するタッグ戦を決めた。
マートンとジュニアが組み、すじこと彼が選んだパートナーを戦わせるというのだ。

急遽、相棒を選ぶことになったすじこが迷っていると、そこになんと満月が現れた。

「オーナーをやっつけたせいで、相棒が見つからなくて困っているようだな」

「余計なお世話だ。それともお前が立候補してくれるのか?」

「そのとおりだ。お前と組んでやろう」

満月の意外な申し出に、すじこは目を白黒させた。

「どういう風の吹き回しだ? お前はマートンと組んでタッグ王者じゃないか」

「俺とマートンはなかよしこよしのタッグチームじゃあない。
お前と同じように、俺もマートンの世界王座を狙っている。相手がパートナーだろうと関係ない。
世界王者を倒し、実力を見せつけるチャンスがあるなら、いつでも飛びつく」

「……まあいい、相棒探しに困っていたのもたしかだ。手を貸してもらおうか」

と、マートンと戦うたためにすじこと満月が一夜限りのタッグを結成してしまった……。





1月1週対戦カード


<タッグマッチ>
ランディ・マートン&ジュニア vs すじこ&満月
ボンジュール・フォンデュ&クリス・ジャレコ vs 生活ライフ&ハバネロ三太夫

<シングル戦>
レイ・ラモステリオ vs ムハンマイドン・ベジナーザ
チョコレイト・ディス子 vs アントニオ踊り子ノゲイラ
シゲシゲ vs GMパンツ


試合結果へ



ESW 11年1月2週



契約不履行


先週、すじこに上手投げでマットに叩きつけられたオーナーのポール・ヘゴバンが、
首にギブスを巻いて現れた。

「知っての通り私はこの業界で最高の権力を持つ男だ。リスペクトを払われるべき男だ!
その私に対してすじこは暴挙に出た。私を襲ったのだぞ!

すじこよ、貴様には謹慎処分を命じ……はしない。
貴様にはこれから毎週、生き地獄を味わわせてやる! 謹慎処分のほうがよかったと後悔するほどのな!
そして――」

そこに処分を不服とするすじこ……ではなく、なぜか満月とチョコレイト・ディス子が現れた。
満月が小脇に抱えた書類を見ると、ヘゴバンは顔色を変えた。

「ヘゴバン、そろそろ俺も我慢の限界だ。かねてから水面下で交渉してきたが、
話が表に出ないのをいいことに、お前はとぼけ続けた。だからここで事を公にしてやる」

「依頼人の満月に代わって読み上げます」とディス子は書類を広げた。

「ポール・ヘゴバン、あなたは満月との契約の際に、満月のESW世界王座挑戦を認めています。
しかしあなたは一向に契約を履行しようとはしない。
このまま3月PPV・祭典『BATTLE MANIAY』までに世界王座戦を組まなければ、
しかるべき筋に訴えることとなる」

「な、なにを言うか! き、き、貴様は二度も世界王座に挑戦したではないか」
ヘゴバンが冷や汗をかきながら反論した。

「それは俺が自らつかんだチャンスだ。お前は俺と契約するために甘言を弄しておきながら、
それを平気で反故にしている。いまこそ約束を果たしてもらおう」

「し、しかし、次のPPVではジュニアが挑戦するし、なにより祭典で世界王座に挑むのは、
『ROYAL RUMBLE』の勝者だと決まっている」

「それなら2月PPVで挑戦させろ」

「そ、そんな簡単に決めるわけには……」

「……どうやらお前と次に会うのは裁判所のようだな」
満月は肩をすくめた。

「いいかヘゴバン、約束を守るなんてことは、幼稚園で習うことだ。
幼稚園児にもできることを、もしもお前ができなければ……。
お前は訴訟を起こされ、大損をするだけじゃない。それこそ、生き地獄を味わうことになるだろうな」

「……………………」

ヘゴバンは蒼白な顔で冷たい汗を流し続けていた……。





ROYAL RUMBLE


1月PPV『KINGS ROAD』では今年もROYAL RUMBLEが行われる!

ランブル戦を制した者には祭典でのESW世界王座戦が待っている!

過去にランブル戦を制した6人は、全員が挑戦を成功させ世界王座を手にしている!

世界王座への最短距離、ロイヤルランブル戦は目前!





すじこの野望


12月PPVで強奪した世界王座ベルトを肩にかけ、すじこがゲーム・ザ・マンと話している。

「今夜はwillのハードコア王座に4人が挑戦するそうだ。
挑戦者の中には俺も含まれていることから考えると、
どうやらこれは合法的に俺をリンチするための試合らしい。
他の連中は、ベルトを奪うことより俺を痛めつけるようオーナーから言われているだろうな」

「ふーん」
ゲーム・ザ・マンは興味なさそうにモンハンをやっている。

「それにしてもマートンには失望したな。誰だかわかるか? 元・世界王者のランディ・マートンだ。
ベルトを奪い返しに襲いかかってくるかと思いきや、なにもしてこない。
つまりあいつは俺を恐れてるんだ。俺に返り討ちにされるのが怖いんだ」

「へえー」
ゲーム・ザ・マンは興味なさそうにあくびをした。

「この分ではタッグ王座も俺の手に入るのは近いな。
俺はマートンから全てを奪ってやるぜ……」





マートンの思惑


世界王者のランディ・マートンがインタビューを受けている。

「よう、現・世界王者のランディ・マートンだ。ベルトはいまちょっと貸してやってるけどな。
なぜベルトを奪い返しに行かないのかって?
いいか、考えてもみろ。すじこは俺の世界王座戦をぶち壊した。PPVのメイン戦を台無しにしたんだ。
ベルトを奪い返すのは簡単だ。だが普通に取り返したんじゃ俺の気が済まない。
すじこには、俺のベルトに手を出したことを死ぬほど後悔させてやる」

マートンの眼は毒蛇の異名さながらにギラギラと輝いていた……。





1月2週対戦カード


<ハードコア王座戦>
will vs ランディ・マートン vs すじこ vs キャプテン・ザ・ネイノー vs クリス・ジャレコ

<シングル戦>
レイ・ラモステリオ vs あんにゅい竹
ボンジュール・フォンデュ vs ムハンマイドン・ベジナーザ
ジュニア vs ハバネロ三太夫
ゲーム・ザ・マン vs アントニオ踊り子ノゲイラ


試合結果へ



ESW 11年1月3週



ダブルタイトル戦(?)決定


先週、満月に契約不履行で訴訟を起こされることをほのめかされたオーナーのポール・ヘゴバンが、
弁護士と対応を協議するため欠場することが発表されると、観衆は歓声を上げた。

さらにオーナー不在のお詫びにタッグ王座戦が組まれたことが伝えられると、歓声はいっそう大きくなった。

しかしリングにランディ・マートンから盗んだ世界王座ベルトを手にすじこが現れると、
歓声は一転してブーイングに変わった。

「いよいよ世界王座に続きタッグ王座も俺の手に渡ることになった。
相棒のゲーム・ザ・マンに言っておく。お前はなにもするな。おとなしくしていれば、俺がタッグ王座を奪い取る。
タッグ王座には一人では挑戦できないから、お前と組んでやっているだけだ。
お前は俺の邪魔をしないことだけに全力を尽くせばいいんだ。
そしてランディ・マートンよ、お前は――」

マートンの名前が呼ばれるやいなや、当人が姿を現した。

「すじこ、もう十分に俺のベルトの感触を楽しんだだろう? やさしい俺のおかげで王者気分を満喫しただろ?
PPVで俺は世界王座戦をやるんだ。そのベルトがないとちょっと困っちまう。
だから今夜はベルトを賭けてもらうぜ。俺はタッグ王座を、お前は俺の世界王座をだ」

「そんなに"俺の"世界王座が欲しいか」すじこはせせら笑った。
「いいだろう、俺は誰の挑戦でも受ける、戦う王者だ。
本来そんな義理はひとつもないが、タッグ王座戦に世界王座を賭けてやろう!」

すじこはダブルタイトル戦(?)を快諾し、PPV直前に大一番が決定したのだった……。





フォンデュの相棒は……


前タッグ王者のレイ・ラモステリオが、元相棒のボンジュール・フォンデュと話している。

「フォンデュ、タッグ解消したお前にとやかく言う義理はないが、
クリス・ジャレコと組むのは考え直したほうがいいんじゃないのか?」

「僕も勝手にタッグ戦を組まれてとまどっているよ。しかも快勝したものだから、ジャレコは気を良くしてるんだ」

そこにクリス・ジャレコが現れ、なれなれしくフォンデュの肩を抱いた。

「おいラモステジュニア。『ゼルダの伝説』のように小さいお前なんてラモステジュニアで十分だ。
『バイオ戦士DAN』のように雄々しいフォンデュと比べてお前は小さすぎる!
ラモステジュニア、ひとのタッグパートナーを勧誘するのはやめてくれないか。
お前はフォンデュにふられたんだ。いまのフォンデュは俺とともに次期タッグ王者の一番手なんだからな!」

「おいおい、僕はそんなことを認めては……」フォンデュが否定しようとすると、ジャレコはそれをさえぎって、
「ラモステジュニア、文句があるならリングに上がれ!」と叫んだ。

「シングル戦ではすでにお前を倒してやった。今度は俺とフォンデュが史上最高のタッグチームだと証明してやる。
誰でもいいから相棒を探してくるんだな!」

ラモステリオは怒りで肩を震わせながら、無言でその場を去っていった……。





不遇の三人


ジュニアが言う。
「俺はESW世界王座の第一挑戦者なのに今週まで出番がなかった。酷い話だと思わないか?」

チョコレイト・ディス子が言う。
「私なんてタッグ王座挑戦権を獲得としたと間違えられた。相棒を探していた時間を返して欲しいよ」

シゲシゲが言う。
「お前らはまだいい。俺なんか試合を組み忘れられたんだ!」

「お前は出番があろうとなかろうと世界王座に挑めるからいいじゃないか」

「お前だってもう二度も世界王座に挑んだだろ」

「お前は満月の弁護士絡みでちょくちょく出てるだけいいじゃねえか」

お前がお前がと罵り合っていると、シゲシゲの肩をうしろから叩く者がいた。
今夜のタッグパートナーを探すレイ・ラモステリオだった。

「俺はかつてなく激怒している。そんな俺にふさわしいタッグパートナーを探していた。
シゲシゲ、俺と一緒にクリス・ジャレコの野郎を倒してくれ」

ラモステリオは強引にシゲシゲをつれていってしまった。
残されたジュニアとディス子は、やっぱり不遇だとそろって肩をすくめた……。





1月3週対戦カード


<タッグ王座戦>
ランディ・マートン&満月 vs すじこ&ゲーム・ザ・マン

<ハードコア王座戦>
will vs キャプテン・ザ・ネイノー

<タッグ戦>
レイ・ラモステリオ&シゲシゲ vs ボンジュール・フォンデュ&クリス・ジャレコ

<シングル戦>
ジュニア vs はな
あんにゅい竹 vs アントニオ踊り子ノゲイラ
チョコレイト・ディス子 vs サトシ・コジマ



試合結果へ



ESW 11年1月PPV



ロイヤルランブル目前!


SYW時代から数え通算6回目となるロイヤルランブルを目前に、会場は最高の盛り上がりを見せていた。
ロイヤルランブルとは今年は16人参加で行われる時間差バトルロイヤルで、
勝者には3月PPV『BATTLE MANIAY』でのESW世界王座挑戦権が与えられる。

同時優勝を含む過去6人の優勝者は、全員が挑戦権で得た王座戦で世界王座を獲得している。
世界王座への近道となる大一番を前に、参戦者たちはオーナー室で出場順を決める抽選に臨んでいた。

当然ながら後に出場できればチャンスは広がるだけに、誰もが真剣な表情だった。
早い出場順を引いてしまい肩を落とす者、遅い出場順を引き当て笑いを隠しきれない者とさまざまだったが、
先週の試合でタッグ王座を獲得したすじこは、いたって余裕の表情でインタビューに答えていた。

「ランブル戦を前に緊張しないのかだと? バカを言うなよ。
俺は昨年、5番手という絶望的な出場順をものともせずに優勝した。
しかも俺は先週、タッグ王座を奪いグランドスラム(全王座制覇)を達成した。
いまの俺に勝てるヤツなんてESWにはいない。俺に順番は関係ないんだ。
1番手を引こうが2番手を引こうが、俺のランブル戦二連覇は確実だ」





挑戦者ジュニア


今夜、ランディ・マートンの世界王座に挑戦するジュニアが、
すじことは対照的に神妙な表情でインタビューを受けている。

「前回の世界王座戦ではすじこに邪魔されたが、
今夜はあいつもランブル戦で忙しいから、出しゃばってこないだろう。
マートンと一度手を合わせてわかったことがある。マートンはたしかに強い。
ESW最強の男だと言ってもいいだろう。だが勝てない相手じゃない。
すじこが余計な真似をしなければ、いまごろは俺が世界王者だった。
今夜こそ、俺は正しい答えを出す。世界王座にふさわしい者の腰に、ベルトは巻かれるだろう」





世界王者ランディ・マートン


先週、タッグパートナーの満月の裏切りでタッグ王座を奪われたマートンが、
不機嫌さを隠さずにしぶしぶインタビューに応じている。

「俺には倒すべき相手が三人いる。まずは今夜の対戦相手のジュニアだ。
ジュニアを倒さなければ全ては始まらない。俺は世界王座を守り通して見せる。

そして次はすじこだ。あいつは俺の命より大切な世界王座ベルトをもてあそんだ。
すじこ、俺にベルトを返して、これで許してもらおうって魂胆か?
ふざけるな。俺は自力でベルトを奪い返すつもりだった。邪魔が入らなければな!
俺の王座戦を妨害し、ベルトを盗んだツケは必ず払わせてやる。

最後に満月だ。お前がなぜタッグ王座を手放してまで俺を裏切ったのかは聞かない。
理由を知りたいとも思わない。興味がないからな。
俺が興味があるのは、どうやってお前を後悔させてやるか、その方法についてだ。

ジュニア、すじこ、満月。俺を敵に回したことを後悔するがいい。
世界王者を愚弄した罪は重いぜ」





1月PPV対戦カード


<ESW世界王座戦>
ランディ・マートン vs ジュニア

<ロイヤルランブル戦>
※出場順は結果発表の際に明かされます



試合結果へ