ESW 11年10月1週



ポール・ヘゴバンの本音トーク


前回PPVでESW世界王者はなと悪夢の合体を果たしたGMのポール・ヘゴバンが登場した。
客席はとても最終回とは思えない険悪なムードで、ヘゴバンに容赦なく罵声が浴びせられた。

「黙れ黙れ黙れ! 最終回くらい私に敬意が払えんのか!
私はESWを築き上げ、4年間も運営し続けた偉大な男だ!
貴様らなど足元にも及ばない存在なのだぞ!

そして私にするように、もう一人の男にも敬意を払うのだ。そう、ESW世界王者はなにもな!
そうだ、世界王者は依然としてはなだ。はながいるのに、他の世界王者は必要ない。
満月はPPVで、挑戦権争奪戦を制したに過ぎないのだ。
だが慈悲深い私は、最終回で満月に最後のチャンスを与えてやろう。
ノーホールズバードではなと世界王座戦を行うのだ!
満月よ、泣いても笑ってもこれが貴様にとって最初で最後のチャンスだ。せいぜいがんばるのだな!

……さて、GMとしての仕事はここまでだ。
ここから先はESWの代表者として話をしようか」

ヘゴバンは一礼し帽子を脱ぐと、通路にしゃがみ込んで話しだした。





「ESWは今夜で終わりだ。4年の長きにわたって応援してくれてありがとう。
前身のSYWから数えれば計6年か。よくもまあ、こんな趣味丸出しの企画を長いこと続けられたもんだ。

ラマオのようにポイント制の企画にすればよかったのか、
それとも田端KOROのようにかっこいいバナーが作れればよかったのか。
はたまたSYWの頃に、気に食わない奴に面と向かって嫌いだと言ったのが原因なのか、
とにかく二度も団体を潰しちまって申し訳なく思う。

ベストを尽くしたとは言わないが、最低限の仕事はしてきたと自負している。
毎週毎週、アメリカンな会話を考えて、内容に沿っているようで沿ってない変な画像を探し、
アメプロのルールを大喜利に置き換えたんだ。
ロイヤルランブルと、マネー・イン・ザ・バンクのルールは我ながらすげえと思ったよ。
これだけは自信を持って言える。こんな企画は私にしかできないとな!

仕事帰りや入浴中に、ストーリーを考え対戦カードを組むのは楽しかった。
いまのWWEの糞みたいなライターどもより、よっぽどESWのほうがアメプロらしいだろ?

こうして最終回を迎えて満足感もあるが、無論、やり残したこともある。
ヘルインアセルやエリミネーション・チェンバーのルールはいまいちだったし、
キャラ付けに失敗して扱いづらくなってしまった参加者も多い。
参加者が万が一40人くらいに増えたら、RAWとSMACK DOWNの二番組に分けて、定期的にドラフトや対抗戦をやりたかった。
片方の番組代表として誰かを立てて、順番に欲しい選手を指名しあったら面白かっただろうな!

全ては私の責任だ。もっと宣伝に力を入れるべきだった。
私の全盛期なんて6年前くらいだからな。大喜利PHPはたぶん影も形もないぞ。
お題や管理人の好き嫌いをせずにメジャーサイトに投稿して名前を売るべきだったのかもな。
そうしたらそうしたで、お笑い小咄板なのに一個も面白いこと書かない連中に、有ること無いこと中傷されるんだろうがな。
私は裏でなんにも糸を引いていないってのに!

……話が逸れたが、とにかくESWは終わる。
だが近い将来、私は別の団体を立ち上げるだろう。アメプロはとりあえずやめる。
ただでさえ敷居の高い大喜利プロレスに、アメリカンを加えてはさらに参加者を選ぶからな。
それまでは簡易な企画で場をつなぐから、よかったら参加してくれたまえ。

長い話になってしまったな。とにかく、今夜は最後までショーを楽しんでくれたまえ」


ヘゴバンのぶっちゃけトークに会場はいったん静まり返ったが、
誰からともなく「ESW!」コールが沸き起こると、一斉にそれに全員が唱和しだした。

「ESW!」「ESW!」「ESW!」「ESW!」「ESW!」

ヘゴバンがそれに感慨深く聞き入っていると……そこに、オーナーのランディ・マートンが現れた。


ESWメモリアル


2011年最大の衝撃といえば、やはりランディ・マートンの電撃引退だろう。

3月PPVで7度目の世界王座防衛を果たし、そのまま引退表明してのオーナー就任で話題をさらった。

宙に浮いた世界王座をつかんだのは、はなだった。

ロイヤルランブルを制したものの、ランブル勝者としては初めて世界王座を奪取できず、

紆余曲折を経てようやく頂点にたどり着いた。はなはESW最後の王者として花道を飾れるのだろうか?





ランディ・マートン、最後の仕事


とたんに「ESW!」コールは「マートン!」コールに切り替わった。
マートンは胸に手を当てて一礼すると、マイクを手に取った。

「ヘゴバン、CMパンクを気取ったシュートトークはここまでだ。
終わり良ければ全て良しか? 最後に何を言ったってお前の今までの悪事が消えるわけじゃない。
お前はESWを我が物顔に牛耳り、ファンや俺たちを侮辱してきた。そのツケを払ってもらうぜ。
今夜、俺とお前とで対戦だ!」

ヘゴバンの顔が青ざめ、足が震えだした。
マートンは威嚇するようにゆっくりとヘゴバンに歩み寄ると、馴れ馴れしく肩を組んだ。

「それともうひとつ、今夜の試合の話をしよう。ESW世界王座戦のことだ。
俺はオーナー権限を用いて、この試合に一人の功労者を加えることにした。
世界王座戦に加わるのは……レイ・ラモステリオだ!
団体発足時からの古参で、投稿回数は間違いなくナンバーワンだ。
これまで世界王座には縁がなかったが、最後にもう一度、ヤツにチャンスを与えたい。誰にも異存はないだろう。

ESW最後の世界王座戦は、はな、満月、レイ・ラモステリオの三つ巴戦で行う!」

ヘゴバンはマートンの機嫌を伺うようにうなずくと、さっさとリングを降りようとした。
その肩をマートンは強くつかんで離さない。

「ああ、そうだ。言い忘れるところだった。ヘゴバン、お前と俺との試合なんだが……。
たったいま、ここで試合開始だ!」

言うやいなや、電光石火のRKMがヘゴバンに炸裂した。
マートンはぴくりとも動かないヘゴバンの胸に足を乗せ、観客と一緒に3カウントを数えるのだった……。





最終回対戦カード


<ESW世界王座三つ巴戦>
はな vs 満月 vs レイ・ラモステリオ

<シングル戦>
チョコレイト・ディス子 vs サモタン
あんにゅい竹 vs ゲーム・ザ・マン
アントニオ踊り子ノゲイラ vs ケニー・T・オメガ
サトシ・コジマ vs ムハンマイドン・ベジナーザ

<オーナー vs GM>
ランディ・マートン ○−× ポール・ヘゴバン



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