島田荘司 / 伊根の龍神
~あらすじ~ 伊根湾に龍神が現れたと聞き、見物に行こうとした石岡和巳は御手洗潔に止められる。
「本当に危険なんだよ石岡君。近寄ってはいけない」 しかし石岡は行動力ある女子大生の藤浪麗羅に強引に連れ去られてしまう。
~感想~
本作がタイトルだけ告知されたのは何年前のことだろうか。
2016年刊行の「御手洗潔の追憶」で改めて言及されるとともにある趣向が明かされたが、それからも早や9年、まさか本当に発売されるとは思わなかった。
開始20ページで原発・奇想かと思ったらただの童話・新たなる語尾伸ばしギャルが現れ、もはや老境に差し掛かった石岡くんがほぼ初対面のギャルに伊根へと連れ去られる怒涛の展開。
その後も近年の作者らしい、秦の始皇帝はユダヤ人!徐福もユダヤ人!天皇家の祖先は徐福!あと砂糖は有害!と一線を踏み越える陰謀論その他をわめきちらす。石岡くんや御手洗の発言じゃなければセーフってわけじゃないんですよ?
展開もとにかく色々と粗く、ギャルと同室で普通に寝る石岡くんはまだしも、殺人犯かもしれない男の民宿で危機感なく普通にもう一泊したり、石岡くんの100倍目立ちそうな横浜のギャルを差し置き石岡くんが顔を隠したらなぜかついさっき会った男に気づかれなかったりと不自然な描写が散見される。
肝心のトリックも大掛かりだがだいたい知ってたもので、とにかく色々とアレな作品だったが、では楽しめないかというと我々古株の信者はラスト30ページで大満足できるからファンには安心しておすすめできるのは確か。それが「御手洗潔の追憶」で言及されていたことは完全に忘れていたので、同じく忘れている方は読み直さないほうがいいだろう。
「ローズマリーのあまき香り」の100倍は面白かったが比較対象があれなだけだし、2020年を舞台にしたのもちょっと無理があり、「ローズマリー」で「御手洗ワールドではコロナもウクライナも起こらないのだろう」と推理したのも完全に外れてしまったが(じゃあなんだったんだよあれは!?)個人的にはニコニコしながら読み終えられた。
25.3.28 評価:★★★ 6
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