青山 文平


半席
     


~あらすじ~
御家人から旗本を目指し徒目付の職務に励む「半席」の片岡直人は、一方で出世とは縁遠い上役の内藤雅之から、頼まれ御用を依頼される。
すでに捕まり沙汰を待つだけの下手人から、なぜ犯行に至ったのかを聞き取るその仕事に、直人は次第に魅せられていく。

2016年このミス4位、2017年日本推理作家協会賞候補

~感想~
純然たる時代小説でありながら、このミス4位に相応しい連作短編ミステリとしても読める傑作。
しかもミステリ界でも作例の少ないホワイダニット縛りで、それぞれ「なぜ疾走して水に飛び込み溺死したのか」「なぜなごやかな宴会の最後に突如斬りつけたのか」「なぜ家族同然の主君を殺したのか」「なぜ親交のない隣人を斬ったのか」「なぜ老武士は面識のない剣豪を襲ったのか」等々の魅力的な謎ばかりで、それに納得の動機が付くのだからたまらない。
さらには名探偵の誕生・成長譚としても読むことができ、当初は地道に事情聴取をしていた直人が、全く関係ない雑談からヒントをつかみ出したり、後半にはほとんど鎧袖一触で謎を解いたりと腕を上げ、ラスト一編では名探偵ならではの煩悶に陥り……と、時代小説・ミステリ両面で楽しめる。作者について全く知らないが、相当にミステリ的な素養がある方と見受けられるのだが、もし全然無かったら天性の才能だけでホワイダニット連作を書いたことになり、これは恐ろしい事態である。
また時代小説には欠かせない(?)料理の描写がいちいち旨そうでそれも読みどころだろう。

雑誌連載のためか「半席」という制度や、直人の頼まれ御用や内藤の人となりについて毎回いちいち説明を繰り返すのが煩雑だしなによりページがもったいなく感じるが、瑕疵はそのくらいであり、今年の新作である「遠縁の女」ほどは江戸時代の予備知識も必要なく、多くの読者に受け入れられるだろう素晴らしい短編集である。

余談だが本作を読み、ガチ時代小説「遠縁の女」のこのミスランキング入りは、乙一が「GOTH」で本格ミステリ大賞を射止めたのに気を良くしたファンが、全然ミステリではない次作「ZOO」を「GOTHが行けたならこれも行けるやろ! Vやねん!」とランクインさせたパターンと完全に同じだという確信に至った。


17.12.27
評価:★★★★ 8



遠縁の女
     


~収録作品とあらすじ~
武士と後妻と前妻の母。血の繋がらない三人家族は禄を減らされ、後妻が得意としていた機織りを再開することに……機織る武家

減らされた禄の代わりに新田開発を許可され、調査に赴くが土地は名ばかりの砂地だった。ところが近くの黒松林で美しい女に会い……沼尻新田

父の命で五年の武者修行に出された若い武士。遠縁の女の面影を振り払い、得手ではなかった剣の腕を上げるが、国許に戻ると予期せぬ事態が起こっており……遠縁の女

2017年このミス7位

~感想~
面白いし個人的にはファンになったが全然このミスじゃねえeeeeeeeee!!

多少はかじっている自分でも初見の単語や時代背景が散見されるガチ時代小説で、このミス上位だからと手にした人や、一般的なミステリファンが楽しめるかどうかは甚だ疑問。
このガチ時代小説にこのミス上位なんて冠は本来読まれるべき読者を遠ざける、ただの枷ではなかろうか。去年このミス4位に入った「半席」はまだ未読だが、「半席」が行けたからこれも行けるだろという、乙一の「GOTH」に続く「ZOO」感を覚えずにはいられない。

しかしそうしたミステリファンとしての疑問を除けば、ただただ非常に面白い小説である。
とにかく文章が上手く、比喩は的確にして豊富で心理描写も巧み。難解な時代背景をすんなりと読ませるのみならず、時代小説をかじってきた程度の分際では思いもよらなかった当時の人々の心情や着想に終始驚かされ、感心し続けた。
3編中2編にオチは着かず、話は尻切れトンボに終わるし、このミス上位的なミステリらしさは皆無と言っていいほど見当たらないものの、おそらく江戸時代に興味のある人なら間違いなく楽しめるだろう傑作である。

このミス上位にならなければ自分が読むことはまず無かったわけで、そうした意味ではありがたかったが、やはりこれをこのミスで投票した連中は完全に頭おかしいし、次回は排除されてしかるべきだろう。
あとこの官能小説みたいな表紙もどうかと思うし、どうにも作者が外野のせいで損ばかりしているように思えてならない。


17.12.19
評価:★★★★ 8



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