鮎川 哲也


ペトロフ事件
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未作成



黒いトランク
 


~あらすじ~
1949年12月10日、東京・汐留駅に届いた大型トランクのなかから、男の腐乱死体が転がり落ちた。
容疑は当然、九州からトランクを発送した近松千鶴夫にかかったが彼もまた、瀬戸内海上に漂う死体として発見される。
最高傑作の呼び声高い作品を、初刊当時の形で文庫化、トリック詳解を付す。

日本推理作家協会賞候補


~感想~
マニアを自認していればいるほど評価しづらい一品。
絶賛するのも面はゆく、けなすには余りにも精緻にすぎる。
あちこちで「ミステリ史上最高傑作」と呼ばれるのも納得の、とにかく堅牢な完全無欠のプロット。
しかし……これがとにかく地味。昨今の刺激に満ちたミステリに慣れきった身には、いささか退屈。
読むのならばじっくりと腰を据え、手帳の一つも用意して鬼貫とともに苦吟すべし。


03.11.4
評価:★★☆ 5



りら荘事件
     


~あらすじ~
秩父の山荘に7人の芸術大学生が滞在した日から、次々発生する恐怖の殺人劇。
最初の被害者の死体のそばにトランプのスペードのAが意味ありげに置かれる。
第2の犠牲者のそば当然の如くスペードの2が…。奇怪な連続殺人を、名探偵星影竜三はどう解く?


~感想~
“おもちゃ箱をひっくり返したような”という形容詞がよく似合う、にぎやかなミステリ。
こうした「嵐の山荘もの」の全ての規範となったプロットは、実に見事。
……だが、今日的に見れば、この作品を基としてもっと豪華な、もっと大胆な作品が数多くものされてしまい、受ける衝撃は小さい。しかし何事においても、元祖というのは偉大。
この『りら荘事件』なくしては、誕生しなかったミステリは十指どころか百指に余るだろう。


評価:★★★☆ 7



憎悪の化石
 


未作成



白の恐怖
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未作成



黒い白鳥
 


未作成



人それを情死と呼ぶ
   


未作成



翳ある墓標
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未作成



砂の城
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未作成



偽りの墳墓
   


未作成



死者を笞打て
   


~あらすじ~
鮎川哲也の作品「死者を笞打て」に盗作の嫌疑がかかる。10年前に謎の女流作家が書いた作品そっくり、というのだ。
世間の非難にあい仕事が途絶えた鮎川は身の潔白を証明するためその女流作家を探し出し、対決しようとする。


~感想~
氏の諧謔味が存分に発揮された快作。トリック云々などどうでもいい。(暴言)
どこまで真実か解らない、逸話の数々がまっこと愉快愉快。
竹本健治の『ウロボロス』はこれの模倣にしかすぎないのやも。


02.10.4
評価:★★★ 6



死のある風景
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未作成



宛先不明
   


未作成



準急ながら
   


未作成



積木の塔
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未作成



鍵孔のない扉
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未作成



風の証言
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未作成



戌神はなにを見たか
   


未作成



朱の絶筆
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~あらすじ~
文壇の巨匠・篠崎豪輔は軽井沢の別荘に作家や編集者らを招きひと夏を過ごすのを習慣としていた。
だが頑固で偏屈な篠崎はほうぼうで恨みを買い、この夏に集まった面子もそれぞれの理由で彼を憎んでおり、予想通りについに事件が起こった。

本格ミステリベスト99位

~感想~
絶対話にオチのつくミステリ最高や! 純文学なんていらんかったんや!
直前に読んだオチなし「残虐記」も文春ミステリランキングに入ってたけどな。

冒頭で名を伏せられた登場人物たちの、それぞれの篠崎を恨むに至った経緯が描かれ、そのエピソードが多彩でまず面白い。
その覆面キャラと来客の誰が同一人物なのか次第に明かされていき、この経緯のおかげでそれぞれの背景と思惑がすっきりと理解でき、キャラ立ちと各人の把握にも一役買って実に上手い趣向である。
内容は古色蒼然たる山荘の連続殺人で、警察は普通に介入するもののなすすべもなく凶行を許し続け、最後には安楽椅子探偵が謎を一刀両断するのだが、400ページにわたり丹念に連続殺人を描いておいて、解決は星影龍三のRTAで30ページで解かれてて笑った。
この推理の手法がRTA過ぎる。

星影龍三「まず本筋に関係ない謎を解いて信頼度を上げます。第1の殺人のトリックを解けば犯人のアリバイが崩れ動機も明らかになるのでここは丁寧に解いていきます。
第3~4の殺人の伏線は後出しですが第1の解決で犯人は詰んでますし信頼度が最低ラインに達してるのでクリアできます。まだ抵抗された時の為に犯人の自白も先に取っておきます。これで最速です」

結末も「推理して解決するけど後は知らん」というRTAらしく星影探偵らしい投げっぱなしで、伏線の後出しや詰み切れていない推理の粗もあるのだが、解決に必要なフラグだけはきっちり立てられていて、必要最低限にして十分。
オーソドックスな昭和の本格ミステリが読みたい時にはうってつけの佳作である。


22.7.16
評価:★★★☆ 7



沈黙の函
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~あらすじ~
落水周吉と茨木辰二は、掘り出し物の中古品も商うレコード店を共同経営している。
仕入れ担当の落水は、函館の製菓会社副社長宅で珍しい初期の蝋管レコードを見つけた。
蝋管レコードには古い手紙がついていたが解読不能、なにが吹き込まれているのかわからなかった。
引き取りのため再度出向いた落水は、函館駅からレコードを発送したまま行方不明に。
無事上野駅に到着した梱包をほどいてみると、中には落水の生首が。

文春 5位


~感想~
とにかく読みやすい文体。見習いたい見習わせたい筆力。
トリックは小粒だが、丁寧な造りに感服。いい仕事してます。


02.9.29
評価:★★★ 6



王を探せ
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~あらすじ~
だから、どの亀取二郎が犯人なんだ!?
亀取二郎は、二年前の犯罪をネタに恐喝されていた。耐えきれず、彼は憎き強請屋を撲殺する。
警察が被害者のメモから掴んだのは、犯人が「亀取二郎」という名前であること。
だが、東京都近郊だけで同姓同名が四十名。
やっと絞りだした数人は、みなアリバイを持つ、一筋縄でいかない亀取二郎ばかりだった。


~感想~
これも本当に読みやすい。軽妙かつ平易な筆致は、時代を超えて色あせず、卓抜の冴え。
本筋とは外れるが、あとがきがいい。今まで目にした1000を越えるあとがきの中でも最高峰。
作者の人柄がしのばれる。
肝心の物語も、趣向・構成ともに丹念に磨かれた良作。さすが本格の父。


02.10.2
評価:★★★ 6



死びとの座


~あらすじ~
照明のいたずらで座った人が死人のように青ざめて見えることから「死びとの座」と名付けられた公園のベンチ。
そのベンチに座ったまま撃たれたと思われる死体が発見され、鬼貫警部らが捜査に当たる。

1984年文春7位

~感想~
鬼貫警部シリーズだが、鬼貫は随所に鋭い推理を見せるものの端緒と解決に関わるだけで、主人公は本作限りの登場となるある人物であり、彼が足を使って捜査し、関係者の女と良い雰囲気になったりと大活躍するので、シリーズ物を期待していた読者は少し注意。
被害者は今で言うものまねタレントなのだが、1984年の出版当時は珍しい存在で、その説明だけで数ページがあてられたりと、昭和ミステリならではの楽しみがあちこちにある。
もちろんそれだけではなく流石は鮎川御大で、解決したかと思われた事件が些細な手掛かりから崩れ、きっちりと意外な真相を現し、意味ありげながら「ただの公園のベンチかよ」とずっこけたタイトルが再び脚光を浴びる、堅実かつ丁寧な仕事ぶりで、古さを感じさせない不変のものがある。シンプルかつわりと力ずくのトリックも笑った。
2冊続けて読んだ久々の鮎川哲也は文章自体も面白く、やはり出色の存在だと思った次第である。


22.7.23
評価:★★★ 6



太鼓叩きはなぜ笑う
   


~収録作品~
春の驟雨
新ファントム・レディ
竜王氏の不吉な旅
白い手黒い手
太鼓叩きはなぜ笑う


~感想~
『春の驟雨』
(ネタバレ→)
共犯者の存在 はあまり好みではないが、長編なみのアイデアが惜しげもなく詰め込まれた佳作。
最後の一言が切れる切れる。

『新ファントム・レディ』
まさかあんなのが伏線だったとは。読者には解きようのない謎だが、見事。

『竜王氏の不吉な旅』
そうかそうか。そういう仕掛けか。一部、妙な気がするところもあるが(ネタバレ→)来客が鍵を閉めるのは不自然では? 突如こんな手を使われては脱帽するしかない。

『白い手黒い手』
なるほど。解決にあ然。そして感嘆。1度目の三番館来訪から180度反転する展開。すごい。

『太鼓叩きはなぜ笑う』
短編なみの分量になり、切れ味がさらに増した。太鼓叩きはなぜ笑ったのか――いやはや。


~総括~
本当にこの作家はすごい。傑作がいくつあるのだろうか。
謎解きはもちろん物語でも楽しませてくれる作家だと、この一冊だけでも明らか。


03.6.26
評価:★★★★ 8



サムソンの犯罪
   


~収録作品~
中国屏風
割れた電球
菊香る
屍衣を着たドンホァン
走れ俊平
分身
サムソンの犯罪


~感想~
『中国屏風』
プロットの細かさが長編なみ。しかし謎の設定をいま一歩、明確にできなかったか。

『割れた電球』
逆転が冴える。さすが。

『菊香る』
(ネタバレ→)
造花だった  はちょっと安易では。

『屍衣を着たドンホァン』
細かい細かい。隙のない構成。

『走れ俊平』
(ネタバレ→)
服  に無頓着すぎはしまいか。

『分身』
この犯人はいったいどうやって言い逃れしようと思っていたのだろう。(ネタバレ→)ドッペルゲンガーだと言い張られても……

『サムソンの犯罪』
斬新な犯人の指摘は、逆に淡泊に終わった感も。末尾の2編に同じ匂いがただよう。


~総括~
いろいろいちゃもんをつけたが、重箱の隅をつつくようなもの。
お口直しに三番館。絶対安定、三番館。つまらないミステリを読んだら三番館で目を洗おう。


04.7.15
評価:★★★☆ 7



ブロンズの使者
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~収録作品~
ブロンズの使者
夜の冒険
百足
相似の部屋
マーキュリーの靴
塔の女


~感想~
※メモ紛失のため評価だけ書いておきます。


評価:★★★ 6



材木座の殺人
   


~収録作品~
棄てられた男
人を呑む家
同期の桜
青嵐荘事件
停電にご注意
材木座の殺人


~感想~
※メモ紛失のため評価だけ書いておきます。


評価:★★★ 6



クイーンの色紙
   


~収録作品~
秋色軽井沢
X・X
クイーンの色紙
タウン・ドレスは赤い色
鎌倉ミステリーガイド


~感想~
『秋色軽井沢』
ただの雑学トリックに終わらず、簡単ながらも気の利いたトリックを忍ばせるのがさすが。

『X・X』
なにげない伏線が実に巧み。うまいなあ。

『クイーンの色紙』
どこかで見たトリックの気がするが、これまたうまさに唸る。

『タウン・ドレスは赤い色』
細工は面白いが、ちょっとアンフェアというか絵として浮かべづらいというか。いまいち。

『鎌倉ミステリーガイド』
時は流れ、いつしかこういったトリックが主流に。感慨深い。


~総括~
実に面白かった。トリック自体は単純だが、それを必ず2つ以上織り交ぜるのが氏の巧みさ。
軽妙な描写は読み進めることがただただ楽しい。
こういった作家、いまは本当に少なくなってしまった。


評価:★★★★ 8



モーツァルトの子守歌
   


~収録作品~
クライン氏の肖像
ジャスミンの匂う部屋
写楽昇天
人形の館
死にゆく者の……
風見氏の受難
モーツァルトの子守歌


~感想~
三番館シリーズ最終巻。
鮎川哲也の描く安楽椅子探偵もとうとう見納め。
作者にとっても最後の新作短編集となった感慨深い一作。
腕はいささかも衰えず、トリックのキレ、プロットの冴えは健在。
一編挙げるなら『ジャスミンの匂う部屋』が秀作。


評価:★★★ 6



五つの時計
     


~収録作品~
鮎川哲也傑作選-1。
旧「宝石」誌掲載時に江戸川乱歩が筆を執ったルーブリック(作品紹介)、「薔薇荘殺人事件」問題篇に寄せられた花森安治の解答を附す。
解説・北村薫 有栖川有栖、北村薫、山口雅也による鼎談も収録。

五つの時計
白い密室
早春に死す
愛に朽ちなん
道化師の檻
薔薇荘殺人事件
二宮心中
悪魔はここに
不完全犯罪
急行出雲

日本推理作家協会賞 候補 ――五つの時計、白い密室


~感想~
『五つの時計』
有栖川有栖『三つの日付』があまりに稚拙に見える、元祖の威力。

『白い密室』
本格の王道を行くプロット。不可能状況を構築する恐ろしく単純なトリック。ミステリ史上最高峰の短編。

『早春に死す』
個人的に苦手な時刻表ものだが、逆転が秀逸。

『愛に朽ちなん』
うん、曲尺がわからん。

『道化師の檻』
『白い密室』に匹敵する最強短編ミステリ。

『薔薇荘殺人事件』
回答者が実に鼻持ちならないが、これまた傑作。パズラーとしての頂点。

『二宮心中』
時刻表や地形図なしで理解できるのだろうか。

『悪魔はここに』
あいも変わらずこの少ない分量に詰め込まれたアイデアの山。

『不完全犯罪』
なんでもトリックにしてみせる豪腕。

『急行出雲』
これも豪腕。“アリバイ探し”という趣向も面白い。

~総括~
日本ミステリ史上最高短編集。
ある程度ミステリを読み、ちょっと飽きを感じたらこれを読むべし。
ミステリの面白さ・すごさを再認識できます。黙って買え!


99.3.27
評価:★★★★★ 10



下り“はつかり”
     


~収録作品~
鮎川哲也傑作選-2。

地虫
赤い密室
碑文谷事件
達也が嗤う
絵のない絵本
誰の屍体か
他殺にしてくれ
金魚の寝言
暗い河
下り“はつかり”
死が二人を別つまで

日本推理作家協会賞 候補 ――赤い密室


~感想~
『地虫』
シンデレラを下敷きにした幻想メルヘン。

『赤い密室』
短編ミステリ史上最高傑作の1つ。

『碑文谷事件』
優れた作品だが……。

『達也が嗤う』
かの『薔薇荘殺人事件』をも越える純粋パズラー再び。企みに満ちた構成にも刮目!

『絵のない絵本』
残酷本格メルヘン。

『誰の屍体か』
純粋論理が達したひとつの頂点。

『他殺にしてくれ』
二転三転する展開はいいが(ネタバレ→)
タバコの件はアンフェア、刺殺と射殺が意味もなく混乱している。

『金魚の寝言』
タイトルで落ちてしまった感。出落ち。

『暗い河』
雑学。

『下り“はつかり”』
鉄壁のアリバイ。切れるトリック。不可能状況。

『死が二人を別つまで』
作者自身が認める複雑なプロット。しかしそれに見合った練り込み具合。


~総括~
前作とは異なり、幅広く作品を集めた。好みは分かれるだろうが、いずれも傑作ぞろい。
いいから買え!


99.5.1
評価:★★★★★ 10



鮎川哲也名作選
     


~収録作品~
鮎川哲也の最初期の短編を集めた傑作選。
著者みずから自作を振り返る作品ノートや、藤雪夫・狩久と合作した中編『ジュピター殺人事件』を収録。

月魄
蛇と猪
地虫
雪姫
影法師
山荘の一夜
ダイヤルMを廻せ
朝めしご用心
アトランタ姫甌
絵のない絵本
他殺にしてくれ
怪虫
冷凍人間
マガーロフ氏の日記
ジュピター殺人事件


~感想~
『月魄』
幻想譚。印象深い。

『蛇と猪』
いかにも初期作品といったあら削りさが新鮮。

『地虫』
シンデレラを下敷きにした幻想メルヘン。

『雪姫』
オチに想像はつくものの。

『影法師』
オチがいらない。(おい

『山荘の一夜』
これが装飾されて後の傑作が生まれてゆくのだろう。

『ダイヤルMを廻せ』
ヒッチコックの映画をノベライズしたもの。ごちゃついて読みづらい。

『朝めしご用心』
ユーモアミステリ。

『アトランタ姫』
トリックが実に氏らしい。

『甌』
ノーコメント。オチはいい。

『絵のない絵本』
残酷本格メルヘン。

『他殺にしてくれ』
二転三転する展開はいいが(ネタバレ→)
タバコの件はアンフェア、刺殺と射殺が意味もなく混乱している。

『怪虫』
まさかのモンスターパニック。

『冷凍人間』
モンスターパニック第二弾+ミステリ風味。

『マガーロフ氏の日記』
まさかの秘境小説。

『ジュピター殺人事件』
合作。鮎川氏は中盤を担当。
正直、結末が食い足りなかっただけに解決を担当してほしかった。


~総括~
鮎川哲也初心者には絶対おすすめできない。
鮎川ファンは氏の多彩さを知るためにぜひ。


評価:★★★ 6



企画殺人
     


~収録作品~
錯誤
偽りの過去

墓穴
憎い風
尾のないねずみ
てんてこてん


~感想~
最初の6作品がおなじパターンばかりで食傷ぎみ。
と思ったところで末尾の「てんてこてん」に足をすくわれる。


00.2.4
評価:★★☆ 5



密室殺人
     


~収録作品~
赤い密室
白い密室
青い密室
矛盾する足跡
海辺の悲劇

日本推理作家協会賞候補 ――赤い密室、白い密室


~感想~
赤・白・青の3大密室がそろい踏み。それだけでも価値がある。ありすぎる。


03.12.11
評価:★★★ 6



ヴィーナスの心臓
   


~収録作品~
達也が嗤う
ファラオの壺
ヴィーナスの心臓
実験室の悲劇
薔薇荘殺人事件
山荘の死
悪魔はここに


~感想~
とんでもない作品群が夢の競演。
先に『五つの時計』や『下り“はつかり”』を読んでいなければ最強の短編集だったやも。


00.10.4
評価:★★★☆ 7



葬送行進曲
     


~収録作品~
葬送行進曲
尾行
ポルノ作家殺人事件
詩人の死
赤は死の色
ドン・ホァンの死
死人を起こす
新赤髪連盟


~感想~
トリックが似たようなものばかりで飽きてしまう。もちろん悪くはないのだが。


01.4.2
評価:★★★ 6



貨客船殺人事件
     


~収録作品~
夜の散歩者
二つの標的
白馬館九号室
貨客船殺人事件
伯父を殺す
殺意の餌
花と星
ふり向かぬ冴子
砂の時計


~感想~
出版芸術社から相次いで刊行されている「挑戦篇」シリーズに収録された作品が多数入った絶版本。
作品は問題篇と解答篇に分けられ、解答は巻末にまとめてある。が、もともと分割を想定して書かれていない作品がほとんどのため、純粋に推理だけでは解けないものも混ざっている。
ストーリーやプロットには凝らず、トリック一本勝負の作品ばかりだが、肩の力を抜いて楽しめる佳作ぞろい。
なによりも高額で再刊行された「挑戦篇」シリーズの作品を読めるのは、貧乏性にとって実にありがたかった。


06.11.11
評価:★★★ 6



消えた奇術師
     


~収録作品~
赤い密室
白い密室
青い密室
黄色い悪魔
消えた奇術師
妖塔記


~感想~
「赤い密室」を読むのは5回目くらいだと思うが、読むたびに感嘆してしまう。
5回目ともなると読み進めるごとに伏線が次々と目にとまり、その的確さにうなるばかり。
毎度のようにプロレスにたとえると、職人レスラーが放つチョップ一発、ストンピング一発の全てに意味があるような、無駄のない試合展開である。
密室三部作は何度読んでもいい。特に今回、初読では印象の薄かった「青い密室」が、記憶よりもはるかに切れ味鋭かったことを付記したい。


08.2.4
評価:★★★ 6



西南西に進路をとれ
     


~収録作品~
ワインと版画
MF計画
濡れた花びら
猪喰った報い
地階ボイラー室
水難の相あり
西南西に進路をとれ

~感想~
鮎川御大の絶版短編集。
最後の(?)倒叙ミステリとなった『ワインと版画』をはじめとする倒叙ものと、異色の短編『猪喰った報い』、そして本格ものとバラエティ豊かなラインナップがそろっている。
ほとんどがこの文庫にしか収録されていない希少な作品ばかりなので、マニアをうらやましがらせるために(マニアはこんなブログ読まねえよ)あえて内容には触れないが、本格もの3編はトリックこそ単純ながら、いかにも鮎川短編らしい不可能状況をきっちり作り上げているのがお見事。
でも表題作は、鮎川哲也は茅ヶ崎在住だったから思いついたんだろうけど、あのトリックは地元の人間にはかなり無理があると思えてならないw


09.11.15
評価:★★☆ 5



金貨の首飾りをした女
     


~収録作品~
井上教授の殺人計画
扉を叩く
非常口
ブロンズの使者
北の女
金貨の首飾りをした女
夜を創る
夜の散歩者


~感想~
倒叙ものが大半で、一部は読者には解きようが無い、後出しジャンケンのような結末の作品もあるのが残念。
良質の作品を挙げれば、のちに三番館シリーズとして書き直された『ブロンズの使者』、中編並の分量の『北の女』、鬼貫警部が登場する『金貨の首飾りをした女』が秀逸。
あとは懸賞つきパズル小説として書かれたものもあり、倒叙ものばかりとはいえ、バラエティには富んでいる。
今となってはコレクターズアイテムに過ぎないが、読んで損はしない短編集であった。


10.3.8
評価:★★☆ 5



完璧な犯罪
     


~収録作品~
小さな孔
或る誤算
錯誤
憎い風
わらべは見たり
自負のアリバイ
ライバル
夜の演出


~感想~
倒叙物ばかりを集めた短編集の第二弾。
すでに一冊を刊行しているにもかかわらず、まだまだ倒叙物の佳作があるわあるわ。氏のファンなら既読の作品も多いだろうが、死ぬほど読みやすく負担がなく、また読むたびに新たな発見があり、意外と飽きることはない。
文庫初収録の「ライバル」と「夜の演出」は尺が短すぎて推理をする余地がなく、謎がひとりでに解けてしまうが、初収録に意義があるボーナストラックなので文句は言えない。
一編挙げるなら「憎い風」は二度目か三度目の読了だが、さすがに伏線が次々と目に止まり、その的確さに唸らされた。
鮎川哲也マニア向けの一冊ではあるが、本格ファンなら読んで損はないことだろう。


15.10.25
評価:★★☆ 5



鮎川哲也探偵小説選
     


2017年このミス15位


~感想~
単行本未収録作品を集めた全集の第一巻。
なんといっても未完の遺稿「白樺荘事件」と、その原型である短めの長編「白の恐怖」を収録したのが最大の売りで、多数収録されたショートショートや、探偵小説史上に残るんじゃないかというほど簡単な推理クイズも物珍しい。

簡単に触れていくと、冒頭の「白の恐怖」がなかなか秀逸な雪の山荘物で、犯人こそ丸わかりなものの、大胆なトリックやテンポ良く起こる事件は大いに楽しめるだろう。
ショートショートは本当にあっさり風味ながらも、なにがしかのトリックを配し、質はともかく数はあるので当たり外れもさほど気にならず、どんどん読み進めて行ける。

笑ったのが読者への挑戦を付けた3編で、ミステリ史上最もシンプルかもしれないトリック(しかも答えみたいなヒント付き)の「青いネッカチーフ」を皮切りに、20人中3人しか正解できなかったのがとても信じられないラジオドラマ「お年玉を探しましょう」、さらに超露骨なヒントというか答えそのものがほとんど書かれた穴埋め形式なのに、6430人中39人しか正解していない「海彦山彦」と、いずれも仰天するほどの低難易度。
いやマジで何をどうしたら「海彦山彦」の正解率が0.6%になっちゃうの!? と不思議でならなかったが、もしかして一字一句間違いなく正解文と一致してる回答だけ正解にしてる…? それなら9割の読者が犯人を苗字ではなく名前で回答してるはずなので納得だが。

そして遺稿「白樺荘事件」は単に「白の恐怖」を水増ししただけではない意欲作で、最晩年でもいささかも衰えないどころか磨きの掛かった軽快な描写はもちろん、急に弁護士の助手が出てきて即いなくなったりと未完成らしく混乱しており、普段は見られない創作過程が実に面白い。
肝心の事件の方も、前提条件がいくつも崩れて「白の恐怖」のトリックが成立しなくなってしまう驚きの展開で、はたしてここからどうなって行くのか、永遠にわからなくなってしまったのが実に惜しい。

またボーナストラックとしてオカルト趣味のエッセイ(?)も2編あり、鮎川哲也のこれまで見られなかった様々な魅力の詰まった貴重な一冊である。

全くの余談だが編者の日下三蔵はツイッターでホームラン級の馬鹿に、他人の作品の寄生虫のように蔑まれていたが、本作を読むだけでも編者の仕事の深さ・難しさはわかるし、出版をしぶる作者の説得も行っており、その労力は測り知れないんだよなぁ。


20.2.17
評価:★★★☆ 7



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成

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