井上 夢人


ダレカガナカニイル…
 


~あらすじ~
左遷された警備員の西岡は、新興宗教団体「解放の家」の警備を依頼される。
解放の家は居を構えた村の人々に反対運動を口実とした迫害を受けていたが、そのさなかに西岡の身体に異変が起こり、まるで別人格が心の中に現れたように語りかけられ…。

1992年このミス6位、文春6位、本格ベスト51位

~感想~
主人公で語り手の西岡は退屈しのぎに盗聴をやって左遷された超やべえキャラだが、なぜかその経歴以外はきわめて常識人で、ヒロインにもこのうえなく優しい人とぞっこん惚れられる。なら盗聴するな。
西岡に語りかける謎の声の主もきわめて常識人であり、従って話の要である主人公と謎の声の会話もきわめて常識的になってしまい、会話の妙や面白さがほとんど無く、冗長になっているのがまず難点。
だが声の正体に科学的・神秘的な両面のアプローチから迫る試みは(やはり冗長さは否めないが)真摯なもので、作品に深みをもたせることには成功している。

そしてこれは作品にも作者にも罪の無い巻き添え事故のようなものなのだが、本作はオウム事件が明るみに出る前に書かれたものながら(※92年刊行、地下鉄サリン事件が95年)数々の偶然の一致からオウム事件そのものが著しいノイズとなっている。
まず解放の家が悪いことに山梨にあり、現実のオウムさながらに地元住民とトラブルを起こし、しかも本作ではむしろ住民の方が頭の固い迫害者のように描かれる。そしてキーワードとしてよりによってポワ(ポア)が使われてしまっており、作者はオウム事件を題材にしたとする風評被害さえ受けたという。
自分もあまりに符合しすぎていて、オウムの存在を知り資料を集めたのではと疑うほどだった。(※作者は否定している)

魅力的ではない主人公と会話、勝手に見え隠れするオウム、何かと連呼されるポワのせいで、リアルタイムで読んでいない読者には余計なノイズが走るのだが、本作の真骨頂は結末にある。
終わってみれば全てが結末から逆算された、ここしかない一点へと収束して行く物語であり、納得と満足のいくものだった。
また繰り返し冗長と書いてきたが、正確にはミステリとして必要以上の冗長さであり、それを重視しない一般的な読者ならば、苦にはしないだろう。
このミス6位等とミステリ的に高評価を受けたが、どちらかというと一般的な本好きに(いちおうオウム事件との偶然の一致を念頭に置いた上で)読んで欲しい佳作である。


21.10.30
評価:★★★ 6



プラスティック
 


~あらすじ~
向井洵子はもう一人の自分の影に怯えていた。
図書館で洵子名義で会員になり、たびたび夫の職場へも電話を掛けているもうひとりの自分。
そして彼女の恐怖の日々をつづったフロッピィが隣人・奥村恭輔のもとへ届けられる。

1994年このミス11位、文春9位

~感想~
手記・独白・もうひとりの自分・記憶喪失・信用のできない記述者・頭を殴られ失神と、はじめは折原一を読んでいるような錯覚にとらわれるが、かなり早い段階で真相におおよその察しがつく。
中盤にはあっさりネタも割られ、さてこれからどう展開するかと期待していると……特に進展も反転も起きないまま、後半はほとんどが単なる説明に費やされ、あっけなく幕を閉じてしまった。
読み返してみればよく考え抜かれた構成で、余韻と印象を残すラストも素晴らしいのは認めるが、あまりにあんまりである。
ネットの感想などを見ると「まさか(ネタバレ→)
全員が同じ人物だったなんて!」とか書かれているが、いやいやこの流れで行けばむしろそれは必然かつ当然であろう。あと読書メーターという所はネタバレのネの字も考慮されていなくて、ぼくはとてもこわいところだなあとおもいました。
ネタバレ防止機能があっても使う側に防止する意志がなければ無意味。

それはともかく3冊読んで岡嶋二人はこれからも読むべき作家だと思ったが、3冊読んで井上夢人は当分読まなくてもいいかなと思った次第である。


14.11.20
評価:★★☆ 5



もつれっぱなし
 


~あらすじ~
「…あたしね」「うん」「宇宙人みつけたの」「…」。男女の会話だけで構成される6篇の連作編篇集。宇宙人、四十四年後、呪い、狼男、幽霊、嘘。厄介な話を証明しようとするものの、ことごとく男女の会話はもつれにもつれ?。エンタテインメントの新境地を拓きつづけた著者の、圧倒的小説世界の到達点。
※コピペ


~感想~
ああ、これは典型的な壁本ですね。

趣向は買うが、買えるのはそれだけで、中身があまりにも薄い。
それこそ義務教育を受けた人間なら誰でも考えられる程度の結末ばかりで、なんらの意外性も論理の冴えも会話の妙味もありゃしない。
結末が残念なだけではなく、内容も変な主張をするAと全否定するBとの掛け合いという、工夫のないワンパターンぶりで、内3編は「とりあえずセックスしよう」という流れに持っていくだけという安易さ。たったこれだけの内容に50ページもかける意味がどこにもなく、並のショートショート作家なら5ページで書けるレベル。という表現すらショートショート作家に失礼なほど。
こんなものを読むなら、渡辺浩弐や星新一の(星は読んだことないけど)ショートショートを読んだほうがはるかに経済的。短いし多いしひねりも利いてるし。
読むだけまったくの時間の無駄、と断じてかまわないだろう。


09.6.3
評価:問題外



メドゥサ、鏡をごらん
 


~あらすじ~
作家・藤井陽造は「メドゥサを見た」という言葉を遺し、コンクリートを満たした木枠の中に全身を塗り固めて絶命していた。
娘とその婚約者は、異様な死の謎を解くため、藤井が死ぬ直前に書いていた原稿を探し始める。


~感想~
結末が完全に失敗。魅力的な謎と怪異が、さんざん思わせぶりに語られ、なんらかの裏と決着をうかがわせておいて、ホラー小説らしく全てをなげうってあんまりな結末にたどりつく。
せっかくのストーリーが台無しになる、誰でも考えそうな、しかも脈絡もない終わり方を迎えてはあとに不満だけが残ってしまう。
岡嶋二人の片割れだからと期待しすぎたか。非常にいまいち。ホラー好きなら楽しめるのかも。


08.10.4
評価:★★ 4



オルファクトグラム


2000年このミス4位、文春8位



ラバー・ソウル
   


2012年このミス13位



未作成
       


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