伊坂 幸太郎


オーデュボンの祈り
   


未作成



ラッシュライフ
   


~あらすじ~
富豪の画商に引き抜かれた画家の志奈子。独特の美学を持つ泥棒の黒澤。父を自殺で失い、神のような男に憧れる河原崎。不倫相手の妻を殺そうと企む京子。職を失い、なぜか野良犬に懐かれた豊田。
歩くバラバラ死体の噂が街には流れ、彼らの人生が奇妙な連関を見せる。

2002年このミス11位

~感想~
信者がほうぼうで絶賛しているが要するに街。セガサターンの街。
伊坂が書いた街なんて面白いに決まっているが、デビュー2作目とあって河原崎の章と京子の章がただ状況に沿うためだけに無茶苦茶な心理と行動を繰り返しており、都合が良いにも程があるのが難。
そこを除けば登場人物たちの意外な連関や、霧が晴れるように全体の構造が明らかになる筆運びには目をみはらせるものがあるが、やはり後の超傑作「ゴールデンスランバー」などと比べれば伏線は足りず、河原崎らの章は論外としても、いろいろと粗いのは確か。
しかしこのミス11位は若干謎だがエンタメとしては及第点以上で、伊坂幸太郎の名が広く知られるきっかけとなったのも納得の佳作ではある。


18.8.6
評価:★★★ 6



陽気なギャングが地球を回す
 


~あらすじ~
嘘を見抜く成瀬、演説とでまかせの達人響野、天才的なスリの久遠、正確無比な体内時計を持つ雪子。
4人は陽気でスマートな銀行強盗グループ。いつものように首尾よく現金を奪った矢先、思わぬトラブルに巻き込まれてしまう。

2003年このミス6位

~感想~
初読時、あまりの会話のうすら寒さと滑りっぱなしのギャグに鳥肌が立ち、人生でたった2冊の途中で読むのを断念した本(※もう一冊はアンソロジーの21世紀本格)だった。
その後伊坂幸太郎が大好きな作家の一人となってなおトラウマで読めなかったが、意を決し約20年ぶりに開いたら実にすんなり読めた。
もしかしたらこの世には嫌いな文章などというものはなく、ただ作者への好感度で印象が左右されるだけなのかもしれないと思った次第である。
それはともかく内容は全くもっていつもの伊坂幸太郎であり、終盤に怒涛の伏線回収で読者を唸らせるのもいつものことで、特筆すべきことはない。
なお「21世紀本格」は克服すべき、好感度を上げるべき作家が多すぎてまだ当分は読めそうもない。


23.12.6
評価:★★★☆ 7



重力ピエロ
   


~あらすじ~
兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。
家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。
連続放火と、火事を予見するような謎の落書き。謎解きに乗り出した家族が直面する真実とは。

2003年このミス3位、文春4位、日本推理作家協会賞候補

~感想~
よく勘違いされるがこれは「書評」ではなくただの「感想」なので今回は特に個人的な話をするが、大傑作「ゴールデンスランバー」をオールタイム・ベスト10に選んでもなお、人生で読むのを途中で挫折したたった2冊の本の片割れである「陽気なギャングが地球を回す」で受けたトラウマが強烈で(※もう一冊はアンソロジーの21世紀本格)、「面白い本を教えてくれ」系スレ等でどこからともなく沸いてくる信者の糞ウザさとあいまってどうしても伊坂幸太郎は敬遠しがちだった。
本作も「
スタイリッシュ・ファミリー小説」などと恐ろしい冠を付けられており、読むのにだいぶ二の足を踏んだ。スタイリッシュ◯◯なんて他に「デビル・メイ・クライ」か「彼岸島」しか知らないぞ。

だが読み始めるや恐怖はたちまち氷解した。あの頃は怖気しか感じなかった文体が軽妙に響き、実に心地よい。膨大な参考文献から引用した名言や小気味よい比喩の数々は的確で、物語に関係あるようで絶妙にさほど関係ない過去の逸話がいちいち面白く、とにかく読み進めるのが楽しくてしかたない。これは信者が生まれるのも納得だ。
しかし後半になるにつれ、静かに進行していた物語の裏が明かされていくにつれ、どんどん期待が尻すぼみしていく。なんせ全てが予定調和なのだ。どこまで隠す気があるのか知らないが、なにもかも全く隠し切れておらず、伏線も「ゴールデンスランバー」のように連鎖爆発するところまでは行かなかった。結末もそれでいいのかそれでと苦言を呈する他ないあんまりな着地で、単純にまだデビューから4作目のこの時点の作者にはそこまでの力量がなかっただけの話だろうか。

ともあれ伊坂トラウマはほとんど払拭できた。「陽気なギャングが地球を回す」に再挑戦する勇気はまだないが、伊坂作品をもう少し読んでみようと思う。


14.10.13
評価:★★★ 6



アヒルと鴨のコインロッカー
   


~あらすじ~
遠方の大学に受かり一人暮らしを始めた僕は、悪魔めいた隣人の河崎に「本屋を襲い広辞苑を奪おう」と誘われる。
初対面の男からの無茶な誘いに応じるはずもなかったが、しかし2日後、僕はモデルガンを手に本屋の裏口に立っていた。

2年前、ペットショップに勤める琴美は同棲相手でブータン人のドルジとともに、ペット殺しの犯人と思われる三人組に遭遇。
彼らに執拗に付け狙われるかたわら、女たらしの元カレの河崎は何か悩みを抱えているようで……。

2003年吉川英治文学新人賞、04年このミス2位、文春4位、東西ベスト(2012)73位

~感想~
期待の新鋭として注目を集めていた作者が、各種ランキングで上位を席巻し評価を確固たるものとした出世作。
現在の本屋襲撃の謎と、2年前のペット殺しの事件が交互に語られ、双方に関わる河崎というジゴロ(死語)のろくでなし(死語)だが奇妙な魅力を持つ色男(死語)を軸に、無数のワードが意味深な連関を見せ、現在と2年前の変化をうかがわせる。
そして終盤、意外な事実から2年前の事件の顛末と、現代の謎の裏に潜んでいた真相が融合し……といったあたりは正直に言えば、このミス2位、文春4位などと熱狂気味に迎えられたほど、ミステリとして卓越した面は無い。
しかしここまで物語としての面白さに最後まで牽引されてきたものの、実は本領を発揮するのは再読から。
初読時には読み飛ばしていたが、全編に散りばめられていた伏線が次々と目に止まり、その本当の意味が理解できて行くにつれ、浮き彫りにされていき、強く胸を打つのは現在と2年前の間にあった「語られなかった2年間」なのである。なるほどこれは売れる。

伏線のつながりや量、個々のエピソードの面白さ、会話の妙味などは後の作品群と比べると流石に見劣る所も多々あるが、ファンならずとも十分な満足を得られるだろう(※ただし二度読み必須の)良作である。


17.2.19
評価:★★★☆ 7



チルドレン
   


~あらすじ~
人質にお面を着けさせる銀行強盗、長年の確執から謎の和解を遂げた父子、2時間まったく動かない公園の人々、夫婦の離婚問題と父子の確執をまとめて解決する方法、不審な様子の友人……。
音楽青年と家庭裁判所の相談員、盲目の青年と彼女と盲導犬。彼らを取り巻く5つの謎。

2004年このミス16位、文春5位、日本推理作家協会賞(短編)候補、直木賞候補、山本周五郎賞候補

~感想~
連作短編集で、言うほど読んでないが伊坂幸太郎がここまで明確に日常の謎系ミステリを志したのは珍しいのではなかろうか。
1~2話目の段階では油断していたこともあり、予想よりも遥かにミステリミステリしたトリックに足元をすくわれ驚かされたものの、注意深く読み始めた3話目以降は、謎の提示どころか問題が出されるより先に真相が見えることもしばしば。
ミステリとして驚きたければ何も考えずに読むのが吉だが、癖の強い作者にしてはきわめて平易に物語を描き、政治臭も全くと言っていいほど感じさせないほど薄めた、非常に取っ付きやすい万人向けの作品なので、わざわざミステリとしてのサプライズを期待するまでもない。
以前「死神の精度」を伊坂初心者向けと勧めたが、本作はより伊坂ビギナー向けで、しかも伊坂アンチでも高確率で楽しめるだろう良質な短編集である。


16.5.3
評価:★★★★ 8



グラスホッパー
   


~あらすじ~
殺された妻の復讐のため悪徳会社に入った鈴木。
面と向かった相手を自殺に追い込む特殊能力を持つ自殺屋・鯨。
子供も女も依頼されれば構わず殺す蝉。
車道や線路に標的を押して殺す「押し屋」をめぐり3人の運命が交錯する。

2004年このミス8位、直木賞候補

~感想~
「陽気なギャングが地球を回す」や「重力ピエロ」を経て「死神の精度」や「魔王」にいたる過渡期に書かれ、鈴木と鯨に共通する亡霊の囁きや、意味がわかると怖いコピペみたいなラストシーンなど考察しがいのある要素が多々あるが、まあそれは好事家に任せるとして、ミステリ味はほとんどない文学作品で、冒頭からしてキャッチセールスで麻薬を売りさばきヤク漬けで監禁した女に子供を産ませて臓器売買という時はまさに世紀末な悪徳会社の社長の息子に妻を殺されたがパパが偉いから無罪放免、という中学生が考えたのかな?と思うくらい厨二な設定の中を厨二キャラたちが、警察機構が存在しないのかな?と思うくらいの犯罪天国を闊歩するいろいろと無茶な内容ながら、ミステリ馬鹿にも単純に面白く読めた。

もうあまりに現実離れしていてリアリティのかけらも無い世界だからこそ成立しうる、偶然ばかりに支配された都合の良すぎる展開の中、じゃかすか人が死んでいるのにやたらとほのぼのしたキャラたちが軽妙なトークを繰り広げ、作者らしい伏線回収で盛り上げるという、数作しか読んでいないが実に伊坂幸太郎らしいと言いたくなる作品で、頭から受け付けない読者もいるだろうが、波長が合えば一気読み必至の佳作であろう。


15.12.10
評価:★★★☆ 7



死神の精度
 


~あらすじ~
死神の私が対象者に接触し、7日間の調査の末に「可」と報告すればその翌日に対象者は死ぬ。
人間に仕事上の付き合い以外で興味はないが、彼らの産み出したミュージックは素晴らしい。
ミュージックを堪能する傍ら、私は彼ら彼女らが死ぬべきか否か調査をする。

2005年このミス12位、文春4位、日本推理作家協会賞・短編(表題作)、直木賞候補

~感想~
人間とはピントのずれた感性を持つ死神を視点人物に据えたおかげで、人によっては嫌悪すら覚える作者独特の会話や描写がぴたりと文体にはまり込んだ。人外と伊坂作品がここまで相性が良いとは。
後の大傑作「ゴールデンスランバー」のような伏線連鎖爆発とまでは行かないが、語り手を統一した連作短編集という形式を巧みに活かしており、各編に簡単に触れると表題作「死神の精度」は何がどう日本推理作家協会賞なのかは微塵も理解できない(ユニバーサルメルカトル図法よりはわかるが)ものの、展開・結末・タイトルが見事に絡み合い、本作の設定の説明回としても成立しているという秀作。
「死神と藤田」は言ってしまえばショートショート的な一発ネタながら逆説的なオチが面白い。
「吹雪に死神」は典型的な吹雪の山荘ミステリに「死神」という異分子を当てはめたパロディ風の一作で、本格ミステリにありがちな仕掛けと死神が思わぬ化学反応を見せ、表題作よりよほど日本推理作家協会賞している。
「恋愛で死神」と「旅路を死神」はミステリ的興味は薄いが単純に物語として秀逸で、「死神対老女」は掉尾を飾るにふさわしく、本作の素晴らしい締めくくりとなった。

アンチ伊坂幸太郎でも高確率で楽しめるだろう好短編集で、伊坂初心者はまず本作から入るのが良いのではなかろうか。


15.7.1
評価:★★★★ 8



魔王
 


~あらすじ~
「考えろ考えろマクガイバー」が口癖で思索を趣味とする安藤は、目視した人物に思い通りの言葉をしゃべらせる「腹話術」の能力に気づく。
過激な言説を弄し人気を博す野党党首・犬養を話題の的に国政選挙が迫る中、安藤は「腹話術」で何かをなせるのではと思索する。

2005年文春8位

~感想~
純文学。それも個人的に大嫌いな純文学要素を全部乗せしたような作品で、読書好きを名乗る人に本作の評価を聞き、もし好きだと言われればもう以後そいつの評価は一切聞く必要が無いと断定して構わないと思うほど、肌に合わなかった。
「ゴールデンスランバー」は歴代でベスト20に挙げるほど高評価しているが、もしこれが初めて読んだ伊坂作品ならば間違いなく作者が嫌いになったことだろう。(陽気なギャングが…? クッ頭が痛い…)
文庫版の解説では(自分はフェミニストだと予防線を張ってから言うが)典型的な「女の解説」で死ぬほどネタバレされており、そもそもミステリでも無いのだからいちいち断る必要はないだろうが念のため↓以下
ネタバレ注意

何が嫌かってまずはもう本当に何も起こらないところだ。
「魔王」と「呼吸」の前後編のように分かれているが、どちらも物語のプロローグ部分で幕を閉じてしまう。
「魔王」は現在ならば模範的な意識高い系に分類されるだろう主人公が「考えろ考えろ」と繰り返し言いながら、結局は考えなしに行動した末に宮沢賢治にうっとりしながら野垂れ死ぬ、という全く意味不明の前衛芸術さながらの展開。
「呼吸」はバカップルがいちゃいちゃし続け、ようやく不穏な空気が流れ面白くなりそうになったところで終幕。ありとあらゆる謎や展開に伏線、はては物語の結末までもがことごとく置き去りにされ、文庫版後書きでは「つづきはモダンタイムスで」とちゃっかり自著の宣伝までかます始末。

むせ返るほどの政治臭と説教臭さも尋常ではなく、民衆は絵に描いて判を押しJISマークを付けて出荷したように愚昧で凡俗。「魔王」で日本人を刺したアメリカ人のクソほど直截的な発言や、それに反発しマクドナルドや在日アメリカ人の家を燃やすクソほど短絡的で脊髄反射的な日本人などは(別の伊坂作品の感想で誰かが言っていたが)もはや作者の見ている世界と僕の知る世界ははたして同じなのかと疑いたくなる。
中心人物である犬養はただただ挑発的なだけで内容に具体性が乏しく、言ってることは政権を取る前の民主党と大差ないのも厳しい。
伊坂作品の魅力である伏線は足らず、安藤の簡易ギアスもただ数人で遊んだだけで、それに対するギアスを掛けられた側の反応もいちいち腑に落ちない。細かいあげつらいになるが特に満智子はあの発言をしておいて無反応なんてそんな馬鹿な話があるものか。

幸いなことに(?)このミスでは20位以下に沈んだが文春ランキングでは8位に輝いた本作、投票した連中を吊し上げそのミステリ観について小一時間問い詰めたくなるような、文庫版で355ページも付き合わされた挙句に何も起きず何も解決せず何もかも投げ出しただけの(あくまで個人的には)「読みやすい」以外に評価できる点の何一つとてない、これこそ「重力ピエロ」よりずっと「スタイリッシュ・ファミリー小説」と冠すべき、単なる雰囲気小説である。


15.10.9
評価:なし 0



砂漠
 
   


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終末のフール
   


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陽気なギャングの日常と襲撃
 


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フィッシュストーリー
   


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ゴールデンスランバー
   


~あらすじ~
仙台で行われた金田首相の凱旋パレード。
青柳雅春は、旧友の森田森吾に数年ぶりに呼び出された。
昔話をしたいわけでもないようで、森田の様子はどこかおかしい。訝る青柳に、森田は訴える。
「おまえは、陥れられている。今も、その最中だ」「金田はパレード中に暗殺される」「逃げろ!オズワルドにされるぞ」
と、遠くで爆音がし、折しも現れた警官は、青柳に向かって拳銃を構えた……。

2008年このミス1位、文春2位、山本周五郎賞、本屋大賞、直木賞候補辞退

~感想~
読み始めた本を投げ出すことはそうそうない僕だが、過去に一冊だけ例外がある。それがこの伊坂幸太郎の『陽気なギャングが地球を回す』である。
だが今作のあまりの評判の良さにひかれ、思わず手にとってみたのだが――ご承知のとおり、いまさら僕がどうこう言う必要もないほどの大傑作であった。

このミスの1位に輝いたが、ミステリと冠するようなトリックもロジックもなく、それどころか確固たる真相や解決すらない。
しかしトリックもロジックも解決もなくても、伏線の回収だけで傑作はものせるのだと教えてくれる稀有の作品である。
その伏線を張る技術は恐ろしいほどで、回収されたとたんに、どの場面で張られていたか瞬時に思い出させるのはもちろん、伏線ではないものすら次々と伏線として回収していく様はまさに神業としか言いようがない。
特に物語の後半にかけて、張りに張った伏線がまとめて連鎖爆発していき、読者に息もつかせない。
さらに後日談と前半に仕掛けていたある趣向(もちろんそこでも伏線は炸裂する)で、物語を見事に締めくくって見せるのだから恐れ入る。

ネットで最もアンチと信者の多い作家の一人、異様に濃い政治色、独特の(ぶっちゃけ下手な)読点の付け方、(今作はまるで感じなかったが)寒気しか感じない自分では軽妙だと思っている会話、などなど欠点の多い作家だが、こと『ゴールデンスランバー』に限っては史上屈指の大傑作であると太鼓判を押せる。
間違いなく映画化されるだろうが、いまから怖くもあり楽しみでもある。


08.12.3
評価:★★★★★ 10



実験4号
     


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モダンタイムス
   


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あるキング
 


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SOSの猿
   


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オー!ファーザー
   


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バイバイ、ブラックバード
 


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マリアビートル
   


~あらすじ~
裏稼業の元締めの息子を、誘拐犯から奪回した蜜柑と檸檬。
その身代金の奪取を依頼された七尾。
息子に重傷を負わせた中学生への復讐を狙う木村。
東北新幹線に乗り合わせた殺し屋たちの意志と目的が交錯する。

2010年このミス6位、文春3位

~感想~
「グラスホッパー」の続編と銘打たれるが、どちらかというと後日談。だが前作を読んでいればより楽しめる趣向なので、できれば先に「グラスホッパー」に当たっていただきたい。

一癖も二癖もある殺し屋たちの立場や目的が次第に明らかになっていき、延々とトラブルが起こり続け、作者らしい伏線回収の手練手管が凝らされる。こんなの面白いに決まっている。
登場人物はいずれも漫画的に個性豊かだが、特に良い味出してるのが●●●で、その正体が明かされるとともに始まる逆転劇は痛快の一言。読者全員好きでしょあの●●●。
「伊坂幸太郎が描く殺し屋だらけの密室劇」から想像する全てが期待通りに詰まった快作であり、他に説明はいらないだろう。

余談だが途中であるキャラが「僕はただみんなに絶望して欲しいだけなんだ」とかモノクマみたいなことを言い出したため、大山のぶ代の声に変換されて困った。
あとネタバレ要注意だが「グラスホッパー」のwikiのあらすじが、中学生が夏休みの宿題で書いたのかと疑うくらい低クオリティで笑ったので、既読の方にはぜひ見てもらいたい。


21.4.24
評価:★★★★ 8



PK
 


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夜の国のクーパー
 


2012年このミス19位



残り全部バケーション
   


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ガソリン生活
   


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死神の浮力
 


~あらすじ~
娘を殺した犯人が証拠不十分により無罪となり、復讐を狙う作家の山野辺遼と妻の美樹。
だが山野辺のもとに7日間の調査のため死神の千葉が訪れ、飄々とした彼のおかげで復讐計画に次々とズレが生じる。

2013年このミス5位、文春5位

~感想~
傑作短編集「死神の精度」に続く第二弾で今回は長編。
夫婦のとりあえずやっちまえ感が満載のずさんな復讐計画が、ただでさえ浮世離れした死神の中でも、さらに異端児(らしい)の千葉にかき回されていく様が単純に楽しい。
絵に描いたようなサイコパスの犯人による、やはりずさんだけどサイコ感に満ち満ちた残虐ファイトと、それを意図せずに破っていく千葉の活躍も見どころで、結末の死神とサイコパスの対決(?)は手に汗握らせるもの。
この作者に期待する伏線回収も申し分なく、回収しなくてもいいような伏線をいちいち拾い上げ、伏線大好き人間を喜ばせてくれる。
エピローグの後日談も完璧な着地を決め、前作よりもミステリ味はだいぶ薄まっているが、そんなことは全く問題にならない、死神シリーズの長編としてはもう文句の付けようもない良作である。


16.7.26
評価:★★★★☆ 9



首折り男のための協奏曲
   


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アイネクライネナハトムジーク
   


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キャプテンサンダーボルト


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火星に住むつもりかい?
   


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ジャイロスコープ
     


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陽気なギャングは三つ数えろ
   


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サブマリン
   


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AX
   


~あらすじ~
兜はフェアプレイを重んじる優れた殺し屋であり、並外れた恐妻家であった。
息子の親子面談の日に殺しの仕事を入れられ、スズメバチと呼ばれる殺し屋に狙われる日にスズメバチの巣を駆除する羽目になる、兜が紡ぐかけがえのない家族との日々。

2017年文春7位、本屋大賞候補

~感想~
「グラスホッパー」「マリアビートル」に続く殺し屋シリーズ三作目。前シリーズの殺し屋の生死が明かされてしまうのでなるべく順番に読んだほうがいい。
これまでの浮世離れした殺し屋とは異なり、兜は妻と息子をこよなく愛する家庭人でもあり、日常と殺しが地続きになっていて、それらを両立させる四苦八苦ぶりや、なろう小説のような殺し屋の日常が実に面白い。
シリーズ初の連作短編集で、多彩な殺し屋との戦いや、意表を突く仕掛けも各編で描かれるが、白眉はもちろん最終章。
一気に時系列が飛び、10年後の現在と10年前の過去が並列に語られ、その時何が起こり、今何が起きつつあるのかが作者得意の伏線の連鎖とともに、殺し屋であり夫であり父である兜の選択とその結末が描かれる。これも作者の得意とする家族小説と殺し屋シリーズの融合は最高の形で結実し、もし映像化されラストシーンで宇多田ヒカルの「One Last Kiss」が流れ出したら絶対泣いてしまうだろう。ラストシーンで「One Last Kiss」流したら大抵の作品は泣けるそれはそう。


22.6.23
評価:★★★★ 8



ホワイトラビット
   


~あらすじ~
誰も「白兎事件」と呼びはしない立てこもり事件。
誘拐を生業とする男、オリオン座を愛するコンサルタント、独自のポリシーを持つ泥棒、息子思いの母親、心を失った刑事、間の抜けた泥棒師弟……。
様々な人々の思惑が複雑に絡み合った「白兎事件」の全貌は、読者にしかわからない。

2017年このミス2位、文春3位、本ミス8位

~感想~
どうせ今回も面白いんでしょ? と思って読んだら、はいはい面白い、面白いくせに…と無意味に冷やかしたくなるいつもながらの伊坂幸太郎の群像劇。
話が進むにつれ要所要所で今まで見えていた光景が一変し、丁寧にまかれた伏線がここぞという場所で回収される、本当にいつもながらのクオリティで、期待に違わない。
作中でたびたび引き合いに出される「レ・ミゼラブル」さながらの、作者による「これが後の伏線である」という注意喚起や「それについては後で説明する」といった注釈がどこかとぼけた味わいにマッチしているのも面白い。

年末ランキングで「ゴールデン・スランバー」に次ぐ評価と聞くと、個人的にはそこまでではなく「マリアビートル」や「死神の精度」のほうがはるかに上とは思うものの、伊坂幸太郎の群像劇への期待値は当然のように超えており、つまりどうせ面白いんだからファンは黙って読めばいいと思う。

全くの余談だが文庫版カバー袖に書いてあるタイトル歴「マリアビートルで大学読書人大賞」「AXで静岡書店大賞」がどうでもよさすぎて笑った。ここに書くべきもっとすごいタイトルいくらでも獲ってるだろ。


21.2.3
評価:★★★☆ 7



クリスマスを探偵と
     


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フーガはユーガ
   


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シーソーモンスター
   


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クジラアタマの王様
   


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逆ソクラテス
   


2020年このミス15位



ペッパーズ・ゴースト
   


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マイクロスパイ・アンサンブル
     


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777 トリプルセブン
     


~あらすじ~
業界一ツキのない殺し屋の七尾は、ある男に絵を届ける仕事を依頼される。
仲介者の真莉亜がいつものように「簡単」と称する仕事だったが、男のいるホテルにはなぜか殺し屋が何人もうろついていた。

2023年このミス15位

~感想~
殺し屋シリーズ第4作。前作までの顛末がいくつか語られるので順番通りに読むことを勧める。
「マリアビートル」では新幹線から降りられなかった七尾が今度はホテルから出られない。
個性豊かな殺し屋たちとの戦い、何人もの殺し屋たちの思惑、豊富な伏線に支えられた意外な結末と、このシリーズに期待するものが全部ある。特に6人組のうぬぼれた美男美女の殺し屋が現れたからには当然そうなって欲しい(?)展開には笑った。
他にも元女バスで小柄でコンプレックスの強い同級生コンビという誰かの性癖の塊みたいな殺し屋や「+チック姉さん」の市長と秘書を思い出さずにいられない二人など、新キャラはいずれも濃く、特に後者は作者らしく倫理観がぶっ壊れてて最高だった。
ページ数は意外と少なくその分、前3作と比べてちょっと物足りなく思えてしまうものの、シリーズファンなら黙って買いの快作である。


23.11.1
評価:★★★☆ 7



楽園の楽園
     


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パズルと天気
     


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