逸木 裕


虹を待つ彼女
   


~あらすじ~
プログラミングしたゲームに偽装を施し、ドローンで自らを射殺させたことで一部でカルト的人気を博す水科晴。
AIプログラマーの工藤賢は、水科晴をAIとして蘇らせようと調査を進めるうちに、彼女自身に次第に心惹かれていく。

2016年このミス16位、横溝正史賞


~感想~
いろいろと粗いが新人賞らしい熱の籠もった力作。
まず主人公の工藤が魅力ゼロの月君みたいなキャラで、オール4くらいの器用貧乏なパラメーターなのに謎の自信に満ち溢れ、他者を利用することしか考えていないサイコパス気質。
そのくせこれといった目標もなく漫然と生きる半ニート気質で、劣勢になると相手を傷つけるためだけに捨て台詞を吐いていくDQN気質もありと、とことん感情移入を拒む。

だが物語の面白さは抜群で、美人コミュ障プログラマーの謎めいた半生とその最期に迫るうちに純愛ルートに入った工藤が、ストーカー気質も獲得して後先あまり考えずに卑怯な手で突き進み、ドツボにはまっていく過程は非常に読ませるもの。
中盤で早くも水科晴のパートナーの正体が明かされ、工藤のストーカーぶりが加速し、読者の望み通りに次々と酷い目に遭うのも痛快。終盤にかけての展開は膨らんだ期待値を超えることはなかったし、結末の意外性や目を見張るトリックなどは皆無だったが、抜群のストーリーテリングで一息に読ませる力はあり、全編にわたってデビュー作ならではの熱意が感じられ、この作者は今後さらに上達していくだろうと思わせるには十分だった。

今年メフィスト賞を受賞した「毎年、記憶を失う彼女の救いかた」のキャッチコピーである「すべての伏線が、愛」という言葉がよりふさわしい、たとえ歪んでいたとしても、愛しかない作品である。

余談だが工藤はプログラマーとしても自称一流の腕を持つはずなのに(以下ネタバレ→)
なぜゲームを解析しようとしなかったのか不思議でならない。あれか。自力で解かなければ気が済まないゲーマー気質なのか。


18.6.8
評価:★★★☆ 7



少女は夜を綴らない
   


未作成



星空の16進数
   


未作成



電気じかけのクジラは歌う
   


未作成



銀色の国
   


未作成



空想クラブ
     


未作成



五つの季節に探偵は
   


~あらすじ~
私立探偵の父を持つ榊原みどりは友人に頼み込まれ教師を尾行する。
見様見真似の探偵ごっこに彼女は意外な才能を見せ、そして自分の中の大きな欲求に気づく。

2022年日本推理作家協会賞(短編)(※スケーターズ・ワルツ)

~感想~
ミステリ界にはシリーズ物の主役を務める女探偵が何人もいるが、その中でも異彩を放つのがこの榊原/森田みどり(※途中で結婚し姓が変わる)である。
探偵が天職という意味では若竹七海の葉村晶に通じるが、葉村晶とはまた違う、探偵としてしか生きられない、高校デビューというやや遅咲きだが生まれながらの探偵気質で、基本的にモラルがない・ほぼ趣味で探偵をやっている・解決能力だけはある点ではメルカトル鮎や榎木津礼二郎に近い。
「うるせー!趣味だ!」で怪人ガロウもたぶんワンパンで倒せる。
しかしみどりは異能に片足突っ込んでいるメルカトルや榎木津とは比ぶべくもない一般人なので葉村晶くらい危なっかしい。みどりと同じ依頼を葉村晶が受けていたらと想像するとたぶん3回くらい死んでる。
あと怖い。犯人視点の倒叙形式で描かれる彼女の探偵ぶりはもうホラーである。
古畑任三郎やコロンボや福家警部補はあくまで仕事でやっているし、葉村晶だって報酬は受け取っているがみどりはほぼ趣味だし、仕事の範疇を平気で踏み越えてくるのだ。
そういう意味ではキャラ小説に近いが、ミステリとしても飛び抜けた良編こそないが安定感ある仕事ぶりで、本格ミステリ大賞を射止めた続編「彼女が探偵でなければ」の前にまずはここからお試しあれ。


25.5.29
評価:★★★☆ 7



風を彩る怪物
   


未作成



祝祭の子
     


未作成



世界の終わりのためのミステリ
     


未作成



四重奏
     


未作成



彼女が探偵でなければ
     


~あらすじ~
高校時代に天職の探偵業に目覚め、人の本性を暴くことに魅せられてきた森田みどり。
探偵社で上司となった現在も彼女はそれに囚われていく。そして5つの子供の関わる事件と出会い、自らの人生を見つめ直す。

2024年本格ミステリ大賞

~感想~
「わたしの調査に手加減はない」は葉村晶シリーズの短編のタイトルであり、葉村晶を一言で表す言葉でもあるが、森田みどりにもぴったり当てはまる。
いや厳密に言えば調査じゃないことも多いのに手加減しないみどりはもっと怖い。やばい。
そんなみどりが本作では子供達を相手に手加減しない。
原尞「天使たちの探偵」も同様に子供達を相手取った連作短編集だが、独身中年男性の沢崎より二児の母のみどりのほうが子供に関わったらやばい気がするのはなぜだろう。

結論から言うと面白かったけど、面白かったけども本格ミステリ大賞と言われてしまうと、これまでいくつもノミネートされていた、年間ランキングには全く引っ掛からなかったがなぜか大賞の候補に上がり、結局受賞できなかった諸作品と何が違ったのかは正直なところよくわからない。
森田みどりという稀有の探偵は前作「五つの季節に探偵は」含めこの2作で大ファンになったが、本格ミステリ大賞かぁ……。個人的には潮谷験「伯爵と三つの棺」に軍配を上げる。


25.6.2
評価:★★★☆ 7



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成

目次へ