井沢 元彦


猿丸幻視行
 


~あらすじ~
折口信夫を敬愛する大学生の香坂明は、過去の人物の精神に乗り移れるという試薬の臨床試験に誘われる。
謎多き猿丸太夫の子孫でもある明は、家に「神宝を得て天下を制する」と伝わる暗号の謎を解くため、折口信夫の精神へと時間遡行する。

1980年文春1位、乱歩賞、東西ベスト(1985)58位、本格ベスト66位

~感想~
1980年刊行の異世界転生ミステリ!…というわけではなく、明は折口信夫の精神にお邪魔して人生を覗き見ることしかできない。あって無いような説明しかされない謎の試薬や、梅原猛「水底の歌」の内容にかなり依存した話には、牽強付会に過ぎる面もあるが、この設定でしかなしえない物語ではあり、要するにこまけぇこたぁいいんだよ!!

暗号・いろは歌・明治の偉人と、2016年にこのミス1位に輝き、そして全く口に合わなかった竹本健治「涙香迷宮」にかなり趣向は近く、これも楽しめないのではと読む前には危ぶんだが、全くそんなことはなく普通に面白く読めた。
暗号解読にももちろんかなりページを割かれるが、それだけではない「猿丸太夫とは誰だったのか?」という謎解きや、歴史の裏に隠された暗闘と壮大な大風呂敷を広げる歴史ロマン、そして謎を追う人々の不審死が、根深い因習の残る閉鎖された村で起こる。さらに折口信夫というこれも謎多き人物を掘り下げるのだからすごい。
現実パートの事件が極めてどうでもよかった「涙香迷宮」は、本作を目指しそして追いつけなかったのかなと今では思う。
折口信夫・万葉集・平安時代の歴史のいずれかに興味があればぜひ読んで欲しい、文春1位も納得の秀作である。

なお解説の中島河太郎は(珍しく)主にあらすじ面のネタバレしかしていないが、本編であるトリックが漫画でわかりやすく図示されているので、くれぐれもページをパラパラめくらないよう注意喚起しておく。


21.6.17
評価:★★★☆ 7



殺人ドライブ・ロード
   


~あらすじ~
大富豪の娘の大沢良江は、浮気症の夫との二度目のハネムーン中に非業の死を遂げた。
良江の妹の沙織はボーイフレンドの飛田雄介を相棒に、義兄の英夫のアリバイ崩しの旅に出る。


~感想~
まず冒頭から100ページ以上続く、英夫がむちゃくちゃアリバイ工作しているハネムーン旅行が笑いを誘う。
良江がヨル・フォージャーくらいアホ…騙されやすいから成立してるだけの強引さで、読者には仕掛けにだいたいの見当がつくだろう。
続く妹の沙織パートは姉のハネムーンをそのままたどる推理行で、名所めぐりもほどほどに次々とアリバイを破りつつボーイフレンドといちゃつきまくる。
そして英夫のアリバイ工作を破り、物語は解決パートへと移り…正直なところ本格ミステリファンにはその先にもだいたいの見当が付いてしまうのだが、しかしもしかしてこれはアレがああなっているのでは?と膨らませていた期待を裏切らない、予想通りながら俄然盛り上がらざるを得ない結末には、わかっていても感心しきり。
時刻表をどうこうしてのアリバイトリックこそないものの、名所めぐりをしつつ美男美女がいちゃつく典型的な昭和のトラベルミステリでこれだけのザ・本格ミステリを披露されては恐れ入るしかない。
こんな無名の作品がこんなに良くできているなら、我々が手に取ることはない昭和のトラベルミステリには、まだまだ驚嘆すべき未知の本格ミステリが眠っているのではと思わせる傑作である。


22.12.22
評価:★★★★ 8



隠された帝―天智天皇暗殺事件―
 


~あらすじ~
人気キャスターの五条広臣は極右テロリストを挑発したその日にバズーカで襲撃される。
五条は巻き添えで死んだアシスタントの無念を晴らすため、彼が研究していた「天智天皇は暗殺された」とする異説を立証しようと試みる。

1990年このミス4位

~感想~
わけのわからないあらすじから無理くり天智天皇につながるが、研究の方はガチで、丹念に状況証拠を積み重ねて暗殺説を立証していく。
いちおう襲撃事件に絡めて謎解きやちょっとしたトリックもあるものの、主眼はそこにはなく、暗殺説と密接なつながりを見せたりもしない。
歴史好きなら文句なく楽しめるだろうが、言うまでもなく歴史に興味がないならそもそも読むべきではない。
刊行から30年経ち、研究もさらに進んでいるだろうから、この暗殺説に現在はどの程度の信憑性があるのか興味も湧いた。


21.10.11
評価:★★★☆ 7



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