大倉 崇裕


三人目の幽霊
   


~収録作品~
三人目の幽霊
不機嫌なソムリエ
三鴬荘奇談
崩壊する喫茶店
患う時計

2001年このミス20位、本ミス6位、1997年創元推理短編賞佳作(※表題作)

~感想~
北村薫以来、一大勢力を築く「日常の謎」系列だが、昨今はただ殺人の起こらない些細な、しかし魅力的な謎を描くだけではなく、特殊な業界を舞台に、その業界ならではの日常の謎を描くものが増えている。
たとえば前にご紹介した剣持鷹士『あきらめのよい相談者』は弁護士の業界を、蒼井上鷹『ハンプティ・ダンプティは塀の中』は刑務所の中を描き、その業界でしか起こりえない特殊な事件・動機・トリックを楽しませてくれた。
これは全盛期の西澤保彦のSFミステリや、死者のよみがえる世界を描いた山口雅也『生ける屍の死』とも、一般的な読者の日常からかけ離れた異常な世界と、その世界でのみ通じる規則に応じた仕掛けを描く点において同じではないだろうか。
多彩な広がりを見せる「日常の謎」が単に「殺人を題材にしないミステリ」ではなく、「殺人を題材にしたミステリ」では到達できない高みへと登りつめてくれるのではないかと期待したいところだ。

閑話休題。で、今作は落語界を舞台にしているのだから、これも一般的な読者にとってはなじみの薄い世界のお話。その落語界の日常の謎だけではなく、落語を背景・主題に据えた物語もあり飽きさせない作りになっている。
一編挙げるなら『三鴬荘奇談』が最も落語と物語の融合が巧みでありながら、(ネタバレ→)
唯一「殺人を題材にしている」 のが面白いところ。
5編中3編で張り込みを行うなど食傷気味の粗い面もあるが、今後も見守っていきたいシリーズの幕開けとして納得の作品である。

※創元推理文庫版は解説で最悪のネタバレをやっているのでご注意。なんとわざわざゴシック体で警告する前にトリックのネタを割ってしまっているのだ。これを先に読んだばかりに『崩壊する喫茶店』はどこにも謎が見当たらなくなってしまった。


07.6.27
評価:★★★ 6



白戸修の事件簿
ツール&ストール 改題
   


未作成



七度狐
   


~あらすじ~
北海道出張中の牧編集長から電話を受け、間宮緑は単身、杵槌村へ取材に赴く。
ここで春華亭古秋の後継者を決める口演会が開かれるのである。
ところが村は豪雨で孤立無援になり、やがて後継者候補が見立て殺人の犠牲に……。

2004年本格ミステリ大賞候補、このミス14位、本ミス4位

~感想~
落語界の日常を描いた前作『三人目の幽霊』から一変して、どんどこ殺人の起きるいたって正統派の本格ミステリ。
一般感覚からずれた落語の世界を舞台にしながらも、過去の不思議な事件、見立て殺人、蘇る死者、遅れてきてもったいぶる名探偵ときわめてオーソドックスな展開をとり、名跡争いではなく富豪の遺産争いに見えてくる。
一から十まで真相に奉仕する、非常に本格ミステリとしておいしい作品なのだが、いまひとつ乗りきれなかったのは自分の問題だろう。それがド本格に対する飽きか年齢的な問題かはとりあえず措いといて。
とはいえ、誰も気づかないわけがない真犯人の正体とか、あまりに犯人の思惑通りに運ぶ展開とか、スムーズに行きすぎる連続殺人などは、初長編だけに(?)やはり造りは粗いと思うのだがどうか。


11.7.10
評価:★★★ 6



無法地帯 幻の?を捜せ!
   


未作成



やさしい死神
   


未作成



丑三つ時から夜明けまで
     


未作成



福家警部補の挨拶
   


~収録作品~
最後の一冊
オッカムの剃刀
愛情のシナリオ
月の雫

2006年本ミス8位

~感想~
「刑事コロンボ」のノベライズも手がけるコロンボマニアの作者が、倒叙形式(犯人の視点で犯行が描かれるもの。古畑任三郎でも有名)に挑んだ作品集。
さすがはミステリ作家界のコロンボ第一人者、巧みなトリックと大胆な伏線、刑事による気づきとねちっこい捜査と、倒叙――というよりコロンボ物――に必要なものがすべてそろっている。
白眉はドラマ化もされた『オッカムの剃刀』。上記の必要なものはもちろんのこと、倒叙ミステリになくてはならない「初めて会ったときから犯人だと思っていました」が炸裂する年間ベスト級の傑作である。
コロンボ代わりとなる福家警部補のキャラが童顔のドジっ娘(でも三十路)くらいしかないのがわずかに不満だが、シリーズが進むにつれ肉付けされて欠点は解消されることだろう。今後も実に楽しみなシリーズである。


08.12.22
評価:★★★☆ 7



警官倶楽部
   


~あらすじ~
2人の制服警官がカルト教団の裏金運搬車を襲撃! しかし、彼らは本物の警官ではなかった。
鑑識、盗聴、銃撃など、本職顔負けの技を持つ警察愛好家サークルの精鋭「警官倶楽部」の一員だったのだ。
ただ警察が好きなだけの善良な彼らがなぜ強盗を? 現金奪取は成功するが、仲間の息子が誘拐されてしまう。カルト教団の逆襲と闇金業者の暗躍、そして謎の誘拐犯。次々と現れる難敵に「警官倶楽部」も次々と新たなる刺客を送り込む!


~感想~
いわゆるクライム・アクション・コメディ。気鋭のミステリ作家の新作だがミステリ要素は味つけ程度。異能集団と、見るからに悪役たちの対決が物語の主眼である。
冷静に考えると「警官倶楽部」もやっていることは悪役といい勝負――などころか勧善懲悪の名のもとに、もっと酷いことをやっているのだが(石橋を止めるふりをしてよく見るともっと暴れている木梨のような)善vs悪の解りやすい構図は爽快感をもたらしてくれる。ところで(↓以下ややネタバレ↓)
リーダー格の森田の持つ異能がなんなのか楽しみにしていたが、最後まで全く明かされず。そもそも異能を持っていないのか、それとも次回作へ向けて温存したのか。ちょっと拍子抜けであるが、息つく間もなく次々と事態が急転していく物語には満足。どんでん返しこそないもののテンポ良くスピード感ある展開で最後まで読ませてくれる。
読了に丸一週間近くかかった重量級の「厭魅の如き憑くもの」の次に読むにはうってつけでした。


07.2.22
評価:★★★ 6



オチケン!
   


未作成



聖域
   


~あらすじ~
安西お前はなぜ死んだ? マッキンリーを極めたほどの男が、なぜ難易度の低い塩尻岳で滑落したのか。
三年前のある事故以来、山に背を向けて生きていた草庭は、好敵手であり親友でもあった安西の死の謎を解き明かすため、再び山と向き合う。

08年このミス19位

~感想~
ミステリという小説のジャンルの良い所として挙げられるのが、実に多様な題材を基に描かれるという点である。
山岳ミステリと銘打たれた今作では山に生きる登山家たちの日常や、彼らを取り巻く環境が細かに語られ、知識のない読者を引きつける。
全く知らない業界の話を聞くことは面白いものだが、こうしてミステリとして描かれなければ、山岳小説に縁は無かったろう。

本作の感想に戻ると冒険小説としても描けた筋書きから、作者はおそらく意図的に熱気を排し、抑えた筆致で丹念に描写を重ねた結果、物語に仕掛けられたいかにも本格ミステリ然とした、やや現実離れしたトリックを地に足を着け、現実に落とし込むことに成功している。
だがそうしたある種、派手なトリックを用いながら、淡々とした描写のせいでそれが劇的な効果をもたらさず、急ぎ足でほんの数ページだけ語られるエピローグとともに物足りなく思ったのも事実ではある。
ともあれ作者は他にもいくつか山岳ミステリをものしているので、それにも興味が湧いた。


14.1.21
評価:★★★ 6



生還
   


未作成



オチケン、ピンチ!!
   


未作成



福家警部補の再訪
     


未作成



白戸修の狼狽
     


未作成



小鳥を愛した容疑者
   


未作成



白虹
     


未作成



凍雨
     


未作成



夏雷
     


未作成



オチケン探偵の事件簿
     


未作成



福家警部補の報告
       


未作成



問題物件
     


~あらすじ~
大島不動産販売の次期社長に目される大島雅弘は難病と派閥争いに苦しめられていた。
彼の世話役の新入社員・若宮恵美子は雅弘を含め3人きりの部署へ異動させられ、無茶なクレーム処理を押し付けられる。
「居座られた部屋」「借りると必ず死ぬ部屋」「ゴミだらけの部屋」……失敗すれば雅弘も恵美子も社を追われてしまう。
数々の問題物件を相手に途方に暮れる恵美子の前に現れた自称探偵・犬頭光太郎は言う。
「おまえは人間にしては見所がある」「は? 人間?」「雅弘を頼むぞ」


~感想~
本格ミステリにおいて斬新なトリックや鋭いロジックとともに作者に求められるのは、いかにして事件を解決させるかという問題である。
多くの作家が頭を悩ませ、また腕の見せどころであるその問題に本作は明快かつ強引な回答をした。それが前代未聞(?)の探偵(?)犬頭だ。
この犬頭(いぬがしら)探偵、一言で言えば超人である。そのチートっぷりたるやかの榎木津礼二郎がかわいく見えるどころか、地上戦ならばスーパーマンともタイマン張れそうなスペックで(注:スーパーマンの眼球に当たった銃弾は粉々になります)神出鬼没に現れては腕力と気合と超能力で証拠を集め、強引に事件を解決してしまう。
珍妙な名前と表紙のイラストのせいで、読者の脳内ではアヌビス神が「犬と人間の境目を見せてあげよう」と暴れ回る光景が描かれてしまうこと請け合いだ。

設定はこのように本格でもミステリでも何でもない破綻ぶりだが、数々の問題物件を成立させる様相は意外とミステリしていて、ラストの「誰もいない部屋」などは泡坂妻夫の某傑作短編(見当のついた方だけネタバレ→)
紳士の園  を想起させる顛倒した論理が光る。
ほとんど出落ちのコントさながらの一発ネタながら、シリーズ物の多い作者だけにまさかの続編はあるのだろうか。


13.12.15
評価:★★★ 6



白戸修の逃亡
       


未作成



蜂に魅かれた容疑者
警視庁いきもの係
       


未作成



福家警部補の追及
       


未作成



BLOOD ARM
       


未作成



ペンギンを愛した容疑者
警視庁いきもの係
       


未作成



GEEKSTER
秋葉原署捜査一係 九重祐子
       


未作成



天使の棲む部屋 問題物件
       


未作成



スーツアクター探偵の事件簿
       


未作成



クジャクを愛した容疑者
警視庁いきもの係
       


未作成



秋霧
       


未作成



樹海警察
       


未作成



福家警部補の考察
       


未作成



琴乃木山荘の不思議事件簿
       


未作成



死神さん
死神刑事 改題
       


未作成



アロワナを愛した容疑者
警視庁いきもの係
       


未作成



冬華
       


未作成



ゾウに魅かれた容疑者
警視庁いきもの係
       


未作成



樹海警察(2)
       


未作成



死神さん 嫌われる刑事
       


未作成



殲滅特区の静寂 警察庁怪獣捜査官
       


未作成



一日署長
       


未作成



犬は知っている
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成

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