歌野 晶午


長い家の殺人
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~あらすじ~
現れては消える死体。夜歩く死者。宙を舞う人魂。見えるはずのないものが写った写真。
怪事件がロックグループに続発した。
死者が残した曲の暗号が解読されたとき、彼らを襲う驚愕の真実とは?


~感想~
歌野氏のデビュー作。『家シリーズ(?)第一弾』。
島田荘司氏の激賞するほどのトリックとは思えないが、のちに開花する才能の片鱗は見せる。
文章も展開もまだまだ修行途上。
とはいえ、今となっては貴重な、歌野氏唯一のシリーズ探偵の活躍を見逃すべからず。


評価:★☆ 3



白い家の殺人
 


~あらすじ~
真冬の山荘で、深夜、女子高校生の死体が発見される。
現場は密室状態で、不可能犯罪に思える。
青年探偵が調査を開始したとき、あざ笑うかのようにまたもや惨劇が……。


~感想~
『家シリーズ(?)第二弾』。
前作よりは洗練されたものの、トリック自体はややインパクトの薄れた印象。
作者自身がまだ自分のスタンスを計りかねているような……。探偵ともども試行錯誤を重ねる、初々しい作品。


評価:★☆ 3



動く家の殺人
 


~あらすじ~
あの信濃譲二が劇団『神技』に参加したとき、殺人者の計画が動き出す。
劇中で3人を殺すために用意されたナイフが、公演初日、本物にすり替わっていた。
巧妙なダイイングメッセージが解読されたとき、思いも寄らない真実が白昼の下にさらされる。


~感想~
『家シリーズ(?)完結編(?)』。
前二作とはくらぶべくもない、企みに満ちた構成。
荒削りだが、才人・歌野氏らしい仕掛けが読者を驚かせること請け合い。
また、信濃譲二最後の(?)長編としても見過ごせない。


評価:★★★ 6



ガラス張りの誘拐
 


~あらすじ~
「要求を言います。現金で一億円用意してください」
さえない中年刑事佐原の娘が誘拐された。犯人は話題の連続殺人犯か?
衆人環視の中で身代金を運べと要求する犯人。刑事を待ち受ける信じがたい結末とは?


~感想~
シリーズ物とたもとを分かち、氏ならではの路線を歩み始めた記念碑的作品。
トリックはやや解りやすく弱いが、構成は巧み。
魅力的な登場人物、奇抜な誘拐トリックと、のちの飛躍へとつづく助走ととらえれば十分及第点。


99.11.10
評価:★★ 4



死体を買う男
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~あらすじ~
『白骨鬼』と題する江戸川乱歩の未発表小説が発見された。
奇行を重ねていた学生が異様な首吊り自殺を遂げる。だが、本当に自殺なのか。
真相を追い、乱歩と詩人・萩原朔太郎が捜査に乗り出す。
雑誌に連載され、好評を博す『白骨鬼』。しかし、そこには驚くべきからくりが……。

本格ベスト79位

~感想~
断筆覚悟で臨んだという決死の作品。
氏の実力が過不足なく発揮され、日本ミステリは稀な才能を失うことを逃れた。
どんでん返しを連発し、王道を往くと見せて裏道をつく。
乱歩へのオマージュ、本格魂と、この一作をもって氏の才能は開花した。


99.7.27
評価:★★★★ 8



さらわれたい女
 


~あらすじ~
「私を誘拐してください」美しい人妻は、便利屋にそう依頼した。
夫の愛を確かめるための『狂言誘拐』だと彼女は言うのだが……。
完璧なシナリオを練り脅迫を実行、身代金も手に入れたものの、そこには思わぬ落し穴が待っていた。
映画『カオス』原作。


~感想~
良作。スピーディかつ清冽な展開は二転三転も心地よく、見事。伏線やトリックも冴え、脂がのってきた感。
中谷美紀、萩原聖人主演の映画は未見。


00.5.23
評価:★★★ 6



ROMMY
越境者の夢
 


~あらすじ~
時代を疾走して早逝した天才シンガーROMMY。
録音スタジオの仮眠室で彼女は息絶えていた。
犯人はスタッフの中に? 孤高の天才歌手に隠された真実とは。
才人歌野晶午の本領発揮! 革命的野心作。


~感想~
間違いなく日本ミステリ史上に残る傑作。
解決を境に、すべての構図が違う色を見せ、すべての歌詞が真の輝きを現す。
人々の想念の交錯から生まれる誤解や混沌の描写は、氏の最も得意とするところ。
危うくもろく、それでいて堅牢な物語。遊び心に満ち満ちた趣向の数々。
ミステリに新たなる地平が拓かれた。


99.10.14
評価:★★★★☆ 9



正月十一日、鏡殺し
 


~収録作品~
盗聴
逃亡者 大河内清秀
猫部屋の亡者
記憶の囚人
美神崩壊
プラットホームのカオス
正月十一日、鏡殺し


~感想~
普通の短編ではないクセモノぞろい。幻想・怪奇味を帯びつつも、本格臭のただよう良作ばかり。
虚実入りまじった幻想的本格『逃亡者』。前代未聞(?)のミステリ『記憶の囚人』。
まさにカオスまさに傑作『プラットホーム』。はんぱなホラーの100倍怖い『鏡殺し』。
珠玉の短編集。


99.3.11
評価:★★★☆ 7



ブードゥー・チャイルド
   


~あらすじ~
僕の名前はチャーリー。
ある雨の晩、真っ黒な悪魔バロム・サムディにお腹をえぐられ殺されました。
前世の僕は、こうして死んだのです。
けれど、それはあくまでも前世の話で、まさか今、本当にバロム・サムディが僕の前に現れるなんて!

1998年本ミス5位

~感想~
唖然でも呆然でもない、納・得の真相。
実に無駄のない、整った構成と巧緻な意匠にはただ感服するばかり。
得意の誤解と混沌は主人公が一手に引き受けた感で、すこし残念だが……これは傑作。


01.12.25
評価:★★★★☆ 9



放浪探偵と七つの殺人
 


~収録作品~
ドア↔ドア
幽霊病棟
烏勧請
有罪としての不在
水難の夜
W=mgh
阿闍梨天空死譚
※増補版には マルムシ を追加収録


~感想~
結末がすべて「袋とじ」にされた、奇抜な短編集。それだけに、考えれば解けるトリックばかり。
管理人実証済み(解けたのは『ドア↔ドア』と『病棟』だけなのは秘密だ)。ぜひぜひ一度挑戦を!


99.8.31
評価:★★★★ 8



安達ヶ原の鬼密室
 


~あらすじ~
奇妙な屋敷に住む老婆に助けられた少年。
その夜、彼は窓から忍び入ろうとする鬼に出くわす。
次々と起きる奇怪な事件。真相は五十年の時を経て『推理嫌いの探偵』の手により明らかになる……。


~感想~
子供向け絵本。アメリカで暮らす日本人留学生。終戦直後に起きた連続殺人事件。
雰囲気のまるで異なるこれら3つの話をつなぐたった一つの真相。
この構成には賛否両論あるが、稚気に富んだプロットは手放しで褒めるべき。物理トリック好きは必見。


00.4.17
評価:★★★☆ 7



生存者、一名
     


~あらすじ~
孤島に降り立った6人の男女。
彼らは都内で爆弾テロを行なった四人の実行犯と二人の幹部だった。
翌日、幹部の一人が船とともに姿を消し、残りの五人は絶海の孤島に置き去りにされた。
疑心と暗鬼が渦巻く中、一人また一人と殺されていく……。
犯人は、そして最後に生き残るのは誰なのか?


~感想~
拍手。実によくできたオチ話……といっては失礼か。最後の一行には唖然かつ苦笑。
氏は「本当は長編でやりたかった仕掛け」と語るが、これは中編でこそのトリック。
結末に怒る方も多いだろうが……ファンならずとも必読!


01.5.13
評価:★★★★ 8



世界の終わり、あるいは始まり
   


~あらすじ~
東京近郊で発生した小学生誘拐事件。
父親のもとに身代金の要求が届けられた。要求金額はわずかに200万円。
そんな中、事件が起こった町内に住む男は小学6年生の息子が事件に関わっているのではという疑惑に取りつかれる。
そのとき、父のとった行動とは……? 崩壊と再生を描く、衝撃の問題作。


~感想~
評価の非常に難しい作品。だが、読前・読中と期待が大きかっただけに、僕としては『断罪』といきたい。
(以下ネタバレ→)
解決放棄としか言いようのない結末。500ページ付き合わされていまさらながらのパンドラの箱講義。そんなものに感慨はわかない。趣向は解る。しかし僕は容認できない。氏には、この物語を完璧に解決させられる実力があると信じているだけに、裏切られた感は強い。これはただの純文学くずれではないのか?


02.10.16
評価:なし 0



館という名の楽園で
     


~あらすじ~
「奇妙な殺人事件は、奇妙な構造の館で起こるのが定説です」
西洋館の主は、四人の招待客に、それぞれが殺人者、被害者、探偵役になって行う
『殺人トリック・ゲーム』の開催を提案する。
時空を超えて幽霊のごとく現れる奇怪な現象、謎、そして最後に待ち受ける悲劇とは?


~感想~
こんな細工、こんな設定以外では使いようがない。『生存者、一名』程の切れ味はないが、よくできた佳作。
中編ならではのトリックを仕掛けてくれる。


02.8.17
評価:★★☆ 5



葉桜の季節に君を想うということ
   


~あらすじ~
ひょんなことから霊感商法事件に巻き込まれた自称『なんでもやってやろう屋』成瀬将虎。
恋愛あり、活劇ありの物語が行き着く先とは? 03年度クチコミ最強ミステリここに見参!!

2003年日本推理作家協会賞、本格ミステリ大賞、このミス1位、文春2位、本ミス1位、東西ベスト(2012)36位

~感想~
これを待っていた! これぞ才人・歌野晶午の本領発揮・面目躍如!!
ひさびさに頭がくらくらした大仕掛け。巧みな誤導(ミスディレクション)と流麗な展開。
これぞ、これでこそ歌野晶午! 氏の名を一躍世間に広めた、話題作にして大傑作!


03.7.16
評価:★★★★★ 10



家守
 


~収録作品とあらすじ~
ピグマリオンの神話を信じ、人間に生まれ変わる人形を造り続ける人形師。幼い頃、彼の家を訪れそして消えた友人と不可解な父の死……人形師の家で
密室で窒息死した妻。夫は事故死だと主張するが、彼の発見時の様子には不自然な点が多く……家守
認知症で過去と現実の境目を見失った父。息子は亡き弟にそっくりな男を使い、荒療治を施そうとするが……埴生の宿
山里深い離村に保養に訪れた兄弟。東京帰りの村の出身者が突如として自殺を遂げるが、そんな様子も動機もなく不審に感じる……鄙
誰かに見られていると主張する妻。気のせいだと一笑に付した夫は驚くべき事実を知る……転居先不明


~感想~
『人形師の家で』
これぞ奇想。

『家守』
冴えわたるトリック。

『埴生の宿』
03年度ベスト短編。

『鄙』
この分量で“むら”を描ききるとはさすが。

『転居先不明』
歌野氏の新旧お家芸がそろいぶみ。


~総括~
ひさびさに「面白かったな~」と声を大にして言える傑作短編集。本格ファンには太鼓判を押してオススメします!


04.3.8


~再読感想~
私的オールタイムベスト短編の作成のため、傑作だったという記憶しか残ってない短編集を再読中。
傑作云々よりもとにかく巧い。設定だけである程度の真相が見えてしまう作品が多いが、作中でいくつも起こる事件や事象を巧みに織り合わせ、一つの大きな流れにつなげる技術がとにかく見事。
ベストはやはり初読時と同じく「鄙」。長編でも全くおかしくない完成度に唸らされた。


15.11.25再読
評価:★★★★☆ 9



ジェシカが駆け抜けた七年間について
   


~感想~
使われるトリックは、ただの雑学トリック。
だがその処理にさすがの冴えを見せ、楽しませてくれる。
氏得意の二重構造のトリックは、今回は不発。
「ハラダアユミを名乗る女」のパートはただ物語をふくらませ、ページを増やすためだけにものされた感も。
マラソン界の内情描写も薄く、なんといってもアユミに魅力が希薄なので、物語としての面白さはない。
前作「葉桜の季節に君を想うということ」があまりに完成度が高かったので、その影響は確実に受けているが。
気になるのは、ハードカバーにする程の分量ではないのに、わざわざ値段を跳ね上げていること。
最近は好きな作家の新刊が次々とハードカバーにされてしまい、手を出しにくくて困る。
これも出版不況でしょうか。


評価:★★★☆ 7



魔王城殺人事件
 


未作成



女王様と私
   


~あらすじ~
冴えないオタク真藤数馬は無職で独身。
でも「引きこもり」じゃない。毎日コンビニに行くし、週1でビデオ屋、月1で秋葉原にも出かける。
今日もかわいい妹と楽しいデートの予定だった。あの「女王様」に出逢うまでは……。


~感想~
中盤のどんでん返しには「これは『世界の終わり、あるいは始まり』のリベンジだ!」と快哉を上げたものの、どんどん尻すぼみ。
K点を大きく越える大ジャンプと見せて、ありがちな地点に着地してしまった。
ここから盛り上がるぞと見せかけて、一気にしぼむしぼむ。
そこら中で言われているが、このトリックはミステリマニアならば容易に気づく。
傑作になるか否かはそれ以降の展開にかかっていたのだが、どうにも想定の範囲内。
動機も真相も結末にも、衝撃を受けるまでには至らず。
作者としては、このトリック一本に勝負を賭けたわけではなく、全体の丁寧な構成が肝なのだろうが……。
『葉桜の季節に君を想うということ』を放ってしまった氏は、そう簡単には及第点をもらえない。
それが不幸なのか、それとも作家冥利に尽きるのか。読者としてはただ、次なる傑作を切望するのみ。
どうでもいいが、多くの読者が指摘する妹の口調に、別段の違和感を覚えなかった僕は、もうネット中毒だろうか。


06.01.07
評価:★★☆ 5



そして名探偵は生まれた
   


~あらすじ~
実在する名探偵・影浦逸水の助手を務める武邑は、事件を離れた影浦の世俗的な本性に辟易していた。慰労会に招かれた先の保養地で起きた殺人にも、影浦は全く無関心で…そして名探偵は生まれた
絶海の孤島に置き去りにされたテログループ。一人、また一人と殺されていき…生存者、一名
ミステリ好きが嵩じて館を建てた旧友に招かれた四人。曰くありげな館を舞台にした推理ゲームが催され…館という名の楽園で
外国人が多く住む老朽化したアパートで、男は大量の札束に埋もれ殺されていた。住人の証言を突き合わせると現場は雪の密室になっていた…夏の雪、冬のサンバ


~感想~
中編ばかり4作を集めた作品集。1作のみの単品で文庫化されているものもあり、形態を変えるごとに収録作が増えているので参考までに記すと、

「生存者、一名」祥伝社文庫…単品
「館という名の楽園で」祥伝社文庫…単品
「そして名探偵は生まれた」祥伝社単行本…上記2作と表題作の計3作を収録
「そして名探偵は生まれた」祥伝社文庫…単行本の3作に加え「夏の雪、冬のサンバ」を収録

と大変ややこしいことになっており、あわよくば騙して何度も買わせるつもりかと言いたくもなる。
それはともかく各編について簡単に感想を。

「そして名探偵は生まれた」
パロディ味の濃い一作で、いかにも名探偵らしい影浦の推理力とキャラが強烈で、助手の武邑との関係性は麻耶雄嵩のアレを思い出させる一面も。だが結末はタイトルからそのまま逆算で導かれる展開をなぞるだけで、いまいち物足りなかった気もする。

「生存者、一名」
単品ですでに読んでおり、そのすさまじいトリックは嫌でも覚えていたためわざわざ再読しなかったが、もしまだならば一読の価値は十分である。

「館という名の楽園で」
これも単品で読んだがオチしか覚えていなかったので再読。THE・館ミステリと呼びたくなるトリックと、それを成立させるための豊富な伏線に静かな余韻を残す結末と、大いに評価を改めた。図解があればなお良かったが。

「夏の雪、冬のサンバ」
このトリックのためだけに作られた珍妙な舞台設定を活かした一作。きわめてありきたりなトリックだけには終わらず、様々な要素をぶち込んだごった煮のような魅力がある。「安達ヶ原の鬼密室」以来となる八神一彦の再登場もファンには貴重なもの。

どれも一定以上の質を保った佳作揃いで、4編中2編以上を未読ならば、手に取る価値はあると言えるのではなかろうか。


17.4.9
評価:★★★ 6



密室殺人ゲーム王手飛車取り
   


~あらすじ~
密室、アリバイ崩し、ミッシングリンク……ネット上でさまざまな謎に挑む5人。
しかしその事件は全て、彼らが実際に起こした殺人事件だった。
犯人=出題者のくり出す難問奇問の果てに、彼らがたどり着いた地平とは――。

2007年このミス12位、本ミス6位、本格ミステリ大賞候補

~感想~
「犯人当て」というミステリの肝を無くしながら、トリックだけでここまで面白く描けるものとは。
いわゆる「縛り」を自らに課したことで、「犯人当て」以外のミステリの魅力を研ぎすますことができたのだろう。
で。問題はラストである。なんだってラストがこうなるのか。これでは個人的に大不満だった『世界の終わり、あるいは始まり』の二の舞だ。読了後には思わず「里見の謎……」とつぶやいたし。(スルー推奨)
結末に関してはあるかないか解らないメッセージ性(?)なんかよりも、本格ミステリとしての結末を描いて欲しかった。
ラスト前までは本当に面白かった。ラストだけで評価が5点は下落した。
策士、策におぼれ、才人、才におぼれる。


07.1.16
評価:★☆ 3



ハッピーエンドにさよならを
   


~収録作品~
おねえちゃん
サクラチル
天国の兄に一筆啓上
消された15番
死面
防疫
玉川上死
殺人休暇
永遠の契り
In the lap of the mother
尊厳、死


~感想~
タイトル通りにバッドエンドの作品を集めた短編集。……その時点で深刻なネタバレを起こしているのは気のせいだろうか。
長い期間にわたって作品を集めたため、作風の変化が垣間見られて興味深い。中には個人的に大駄作と思うあの作品の匂いを色濃く放つものも多い。簡単にいえば「そこで終わらずにそこから始めろ!」と言いたくなる作品である。
とはいえバッドエンドも、もはやお家芸の感もあるあのトリックも予想させながら、それでも裏をかき意表をつく作品も多々あり、ファンの期待は裏切らないだろう。

それにしても出版社の宣伝文句の「著者初の短編作品集」とはいったい何事だろうかと頭を抱えたくなる。


07.9.3
評価:★★☆ 5



名探偵、初心者ですが
舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵 改題
 


~あらすじ~
刑事の舞田歳三は仕事帰りに兄の家に寄って、11歳になる姪のひとみのゲーム相手をし、ビールを飲むのを楽しみにしている。
難事件の捜査の合間を縫ってひとみをかわいがる歳三だが、彼女のふとした言動が事件解決のヒントにも……。

~収録作品~
黒こげおばあさん、殺したのはだあれ?
金、銀、ダイヤモンド、ザックザク
いいおじさん、わるいおじさん
いいおじさん?わるいおじさん?
トカゲは見ていた知っていた
そのひとみに映るもの


~感想~
11歳の探偵少女が血なまぐさい殺人現場で踊りまわり「えへへ、犯人わかりましたのん」と鋭い推理を見せる作品ではないので安心してほしい。
作者は「ゆるミス」「やわらか本格」とのたまうが、やわらかいのは読みやすい文体とひとみのキャラだけ。ガチガチの本格ミステリを楽しませてくれる。
これぞミステリの醍醐味と叫びたくなるような、不可解な謎と明快な解決。作者ならではのブラックな味わいもスパイスに利かせ、すばらしい短編集である。
全編負けず劣らずの良作ぞろいだが、タイトルからして照応を見せる『いいおじさん、わるいおじさん』『いいおじさん?わるいおじさん?』の2編は特に傑作。
抜群のリーダビリティから本格初心者にもおすすめ。歌野晶午ファンは臆せず読むべし。続編が待ち遠しい。


08.5.22
評価:★★★★ 8



絶望ノート
   


~あらすじ~
中学2年の太刀川照音は、「絶望ノート」と名づけた日記帳に、いじめの苦しさと両親への不満を書き連ねていた。
そんな彼はある日、校庭で奇怪な石を見つけて持ち帰り、それを自分にとっての“神”だと信じた。神の名はオイネプギプト。自らの血をもって祈りを捧げ、いじめグループの中心人物の死を神に願った。はたしていじめっ子はあっけなく死んでしまい……。


~感想~
これなんてデスノ?
それはおいとくとしても、効果的ではない後出しジャンケンといった印象の、不満ばかり後に残る作品である。

どんでん返しが連続するミステリでは、「実は●●は●●でした」をくり返すだけの安易な手法に陥ることがあるが、これはその典型例の一つと言えるかもしれない。
また、全体の2/3を占める手記が、たとえば『眩暈』や『黒猫館の殺人』とは異なり、リアルタイムで記されていることもあり、現実の流れに沿って記述がゆらいでしまい、内容のどこからどこまでが真実で、どこからどこまでが嘘なのか、あまりにも縛りがなさすぎるのがネック。
ましてや種明かしで「ここからここまでは本当で、ここからここまでは嘘でした!」と言われても驚くことはできない。また、手記を離れた部分でも「実は●●は●●でした」の連発で、伏線も少なく、受ける衝撃は非常に薄い。
とどめに結末では悪癖を再発させてしまい、全編にわたって煙に巻かれただけのような気にさえなってしまう。
駄作ではないが、こういった趣向で、ここまで長大にするならば、もっと他にやり口はいくらでもあったのではなかろうか、と思えてならない。


09.6.4
評価:★★☆ 5



密室殺人ゲーム2.0
   


~あらすじ~
あの「頭狂人」「044APD」「aXe」「ザンギャ君」「伴道全教授」が帰ってきた!
日夜チャット上で「とびきりのトリック」を出題しあう推理合戦。ただし、このゲームが特殊なのは各々の参加者がトリックを披露するため、殺人を実行するということ。究極の推理ゲームが行き着く衝撃の結末とは。

2009年本格ミステリ大賞、このミス18位、本ミス1位

~感想~
密室殺人「ゲーム」でしかなしえない驚天動地のトリックを放った前作がまさかのシリーズ化。
前作で続編の作りようがない結末を迎えたにもかかわらず、しれっとくり返されるおなじみの展開にまずは驚かされるが、それでいて正統な続編として成立しているのだから二度びっくり。
今回も期待に違わないはっちゃけたトリックと、殺人鬼の集まりとは思えない軽妙なやりとりが楽しめるのは当然として、前作では個人的に大いに不満だった歌野晶午の悪癖が発動せず、やりすぎ感すらただよう「ゲーム」的な展開で、最後まで突っ走ってくれたのがうれしい。
さらには前作をふまえた、この設定では仕掛けるのは不可能と思われたアレやコレらのトリックまで炸裂するのだからたまらない。
「人間が描けているミステリ」に真正面から挑む奇想天外なトリックの祭典、堪能させてもらいました。


09.8.21
評価:★★★★ 8



名探偵は反抗期
舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵 改題
 


~収録作品~
白+赤=シロ
警備員は見た!
幽霊は先生
電卓男
誘拐ポリリズム



~感想~
「やわらか本格」とうたいながらも、やわらかいのは文体だけで、骨太のミステリを楽しめる好シリーズ、待望の第二弾。
が、今回は成長した舞田ひとみが探偵役を務め、さらに友人たちともども14歳らしい悩みにさいなまれるため、描写はそちらに裂かれ、前作と比べて本格味はほんのり薄味。
とはいえそこは歌野晶午、伏線の妙や思わぬトリックで驚かせ、物語とミステリ要素の両面で楽しませてくれる。
それにしても、ひとみの探偵としてのスペックは、歌野作品のかつてのシリーズ探偵・信濃譲二をはるかに上回っているのではなかろうか?


10.11.11
評価:★★★ 6



密室殺人ゲーム・マニアックス
   


~あらすじ~
頭狂人、044APD、aXe、ザンギャ君、伴道全教授。奇妙なハンドルネームを持つ5人がネット上で日夜行う推理バトル。出題者は自ら殺人を犯しそのトリックを解いてみろ、とチャット上で挑発を繰り返す。ゲームに勝つため、凄惨な手段で人を殺しまくる奴らの命運はいつ尽きる!?

2011年本ミス8位

~感想~
作者曰く「外伝的エピソード」で、たしかに内容的にも分量的にも物足りない。
4つの事件が描かれるが、うち1つはまるでメルカトル鮎の短編のようなトンデモトリックで、さらに1つは……と、ここまで高打率を残してきたシリーズ作品としてはいま一つ、といったところ。
とはいえ開始当初は(それどころか第一作の完結後でさえも)思いもよらなかった展開を見せている密室殺人ゲームが、さらなる広がりを見せているのは良いことである。
本編はもとより、次なる外伝も楽しみ。


11.9.15
評価:★★★ 6



春から夏、やがて冬
   


~あらすじ~
スーパーの保安責任者の男と、万引き犯の女。偶然の出会いは神の思し召しか、悪魔の罠か?これは“絶望”と“救済”のミステリーだ。
※コピペ


~感想~
表の帯に「ラスト5ページで世界が反転する! 『葉桜の季節に君を想うということ』を超える衝撃がいま」と作者の代表作を引き合いに出す大胆発言をしておきながら、裏の帯では一転して「「葉桜」も「本格」も「どんでん返し」もひとまず忘れて、歌野晶午が到達したすばらしい小説世界を堪能してください」と完全に逆のことをのたまう、相反した惹句がまず目を引く。
『葉桜の季節に君を想うということ』といえば、本格ファンならばご存知の通りアレ系トリックの大傑作であり、その名を持ち出すということは、当然ながら今作もアレ系であると思われるのに、それを「残り5ページで」などとネタバレをかますのは大問題である。……が、今作については、たしかに残り5ページで何事かは起こるものの、決してそれが主眼ではなく、裏の帯にあるとおり「歌野晶午が到達したすばらしい小説世界を堪能」すべき話なので、実はさほど問題にはならない。

前置きが長くなったが、私見を述べるならばこれは『葉桜の季節に君を想うということ』の再来というよりも、『世界の終わり、そして始まり』のリベンジ作品である。
『世界の終わり、そして始まり』は歌野ファンの間でも賛否両論、かく言う僕は歌野作品の中では最低の大駄作だと断じているが、ああいった手合いの物語の見せ方をうまいこと整えた、というのが今作『春から夏、やがて冬』だと思えてならない。

裏の帯でフォローしたとおり、今作は決して優れた本格ミステリではない。
最後に探偵役が出てきて意外な真相を語る、という典型的なスタイルを取りながら、その真相はあくまでも探偵役による想像、ひとつの推論にすぎないのだ。ネタバレしないよう気を配りながら例を上げると、(↓それでもいちおう文字反転します↓)
探偵役は犯人にアリバイがあることを明かしながら、そのアリバイはただ「ある」というだけで、伏線もなければ、具体的な裏付けも全くないのだ。
作者はあの歌野晶午なのだから、当然これは手落ちではない。意図的に推理に欠陥を生じさせ、単なる想像に留めたのだろう。
となるとこれは、本格ミステリとして評価するのではなく、残り5ページにどんでん返しのあるミステリとして読むべきだ。「本格」でないのならば、意図的に真相をぼやけさせたのは、読者に想像の余地を残したと捉えるべきだろう。探偵の想像をそのまま受け入れるもよし、別の解釈をもって、悪夢的な結末に救いをもたらすもよし、物語の後は読む人に委ねられている。

長々と無駄口を叩いてしまったので、簡潔に述べよう。
残り5ページのどんでん返しは、それなりに意外性があって満足した。これならば個人的にはミステリとして十分受け入れられる。登場人物をいったん持ち上げておいて(あれを「持ち上げて」と表現するのは異論があるだろうが)どん底に叩き落す手管も物語としてすばらしい。ラストシーンも余韻が残る。
が、やはりあの才人・歌野晶午の新作としては不完全燃焼の感もあり、これも賛否両論だろうなあ。


11.11.14
評価:★★★☆ 7



誘拐リフレイン
コモリと子守り 改題
   


~あらすじ~
殺人事件の犯人と疑われた兄が非行に走って以来、家庭崩壊から引きこもりになった馬場由宇。
隣家の若夫婦が子供を虐待していることに気づきやきもきする中、パチンコ店の駐車場に放置された子供を発見し、反射的に家に連れ帰ってしまう。
対処に困り旧友の舞田ひとみを頼った矢先、その子が家から姿を消した――。

2013年このミス18位、本ミス8位

~感想~
舞田ひとみシリーズの初長編。あるシリーズ短編の続編的な作品でもあり、そちらも読んでいるとより楽しめる。
↓以下プロット等にネタバレあるため注意↓

いくつもの誘拐事件が重なっていく事件の構図やそこに潜む真犯人の巧緻なトリックは確かに面白いが、すでに「さらわれたい女」や「ガラス張りの誘拐」など誘拐ミステリ(というジャンルが本格ミステリにはあると断言して構うまい)の佳作をいくつもものしている作者だけに、あの歌野晶午があの舞田ひとみシリーズであの誘拐ミステリを!と期待したほどの出来ではなかった。
トリック自体は見事である。犯人が頭脳明晰すぎるとか、細かすぎて「こうしてこうすれば論理的には実現できる」系の、真相の前に推理されがちな、実は真相ではない推理がそのまま正解だったりとか、誘拐ミステリとしてずば抜けた何かを持っていない、とかケチは付けられるが、それは歌野晶午という作家への期待値が高すぎるための贅沢な望みだろう。それよりも問題は本格ミステリとしての物語の構成にある。
事件の真相が明らかとなり、トリックも犯人も暴かれた後に「かなり長めのエピローグ」と題する最終章が実に99ページも残されている。そうなればあの歌野晶午だけに、ここから思いもよらないどんでん返しが、とか逆転の構図が、とか期待してしまうではないか。
しかしエピローグはあくまでエピローグに過ぎず、真相解明のくだりで放置されていた、もう一つの事件の結末が描かれるだけで、そこにはトリックも逆転も何もないどころか、ある種ベッタベタの(しかもそれだけページを割いておきながら物語にしっかりと結末をつけられたわけではなく、その先に待つ結末を暗示したに留まっているのも不満なのだが)顛末が待ち受けている。
ほとんどの本格ミステリ作家ならば、このエピローグに99ページも割くことはないだろうし、全く省略してしまうことも多いだろう。だが作者は真摯に、あるいは余分に物語にエピローグを付け加えた。
歌野晶午ならば、エピローグを数ページで終わらせることができたろう。またはエピローグにも鋭いトリックを潜ませられたろう。結末もきちんと付けられたろう。ひとみが何をどうしたのかも描けたろう。語り手の未来も描けたろう。
だが作者はできたはずのそれらをせず丹念にベッタベタなエピローグを描くだけだった。
こうした優れたミステリで終えられたはずの物語を、台無しにとまでは言わないものの、普通に終わらせないのが凡百の作家に留まらない歌野晶午の特長ではあるものの、それがいつも(たとえば「密室殺人ゲーム王手飛車取り」のように。「世界の終わり、あるいは始まり」のように。「絶望ノート」や「春から夏、やがて冬」や……と枚挙にいとまがない)作品の魅力に、質的向上にはつながっていないのは確かだ。僕はそこに作者の、自身の物語や登場人物に対する真摯さと同時に、限界を感じてしまった。
それは森博嗣の「今はもうない」から借りれば「まったく余分なエピローグ」であった。


13.9.15
評価:★★★ 6



ずっとあなたが好きでした
   


~あらすじ~
数々の恋と別れが描かれる13編の恋愛短編集。
恋なんて、うまくいく時もあれば、うまくいかない時もある。
うまくいかなかったからといって、嘆くことも涙にくれることもない。
新しい恋を見つければ、はじまりの時の格別さをまた味わえる。


~感想~
これはなんと呼ぶべきか。「葉桜の季節に君を想うということ」にも比肩する作者の新たな代表作と呼ぶべきか、歌野晶午が叩きつけた「イニシエーション・ラブ」への挑戦状と呼ぶべきか。
いずれにしろ今年度を代表する傑作である。

一見ただのミステリ風味ただよう恋愛小説集だ。
だがまずその一編一編の平均点が高い。歌野晶午にこれだけ様々な形の恋愛を描く腕があったのか(失礼)と思うくらい、多彩な物語に驚かされる。
多岐にわたるシチュエーションと、連城三紀彦や泡坂妻夫ばりと言っては褒めすぎだが、それなりに意外性を持ったストーリー展開で、恋愛物などアニメの「タッチ」を母や姉の横でなんとなく眺めていたくらいの自分でもわりと普通に楽しめてしまえる。
そして終盤、そんな小学生並の感想など一気に吹き飛ばす、すさまじい真相が現れるや目を剥いた。
やはり真っ先に思い出したのは「葉桜」よりも「イニシエーション・ラブ」で、思わず(完全にネタバレ→)
「どいつもこいつもお前だったんかい!!」と絶叫したくなった。

正直さほど興味の持てない恋愛短編を13編も付き合わされるのは苦痛になりかけていたのだが、終わってみればこの一発ネタは13編そろってはじめて威力を発揮するものであり、また大ネタが明かされた後に、作者の悪癖として例によって蛇足的に数編続いてしまうのだが、そのラスト数編が本作に限っては素晴らしい余韻と後味を残すもので、これまで着地に失敗し続けてきた(と個人的に思う)作者がついに完璧な着地を決めてくれたといったところ。
恋愛(?)本格ミステリ四天王を挙げるなら、乾くるみ「イニシエーション・ラブ」、麻耶雄嵩「隻眼の少女」、牧薩次(辻真先)「完全恋愛」、そして本作を推薦したい。

私的2014年ランキングを作るにはまだ7冊読まなければいけないが、もうこれで1位は確定でいいんじゃないだろうか。


14.11.17
評価:★★★★★ 10



Dの殺人事件、まことに恐ろしきは
   


~収録作品とあらすじ~
公私ともにパートナーだった男から5年ぶりに届いたメールは、作家の私に限界を知らせ、恐怖をもたらす…「椅子?人間!」
スマホに映る女性と旅する男と知り合う。しかし有名アイドルの彼女は確か…「スマホと旅する男」
偶然出会った生意気な少年とともに事件に遭遇。現場は二人の監視下による密室状態にあり…「Dの殺人事件、まことに恐ろしきは」
認知症の義父に悩まされる男は「お勢登場」をなぞるような事態に出くわす…「「お勢登場」を読んだ男」
「赤い部屋」をアレンジした舞台の最後に本物の銃弾が発射された?…「赤い部屋はいかにリフォームされたか」
女性を欲望の対象としか見られないが本心を隠し教職にある男。歪んだ欲望は雑貨屋の美しい店主に向かい…「陰獣幻戯」
服役を終えた女は第二の人生のため老齢の男と結婚。獄中で聞いたという奇妙なおまじないに彼は興味を抱き…「人でなしの恋からはじまる物語」


~感想~
江戸川乱歩の傑作短編を題材に採った、乱歩リスペクトあふれる短編集。
原作の予備知識があればより楽しめ、若干のネタバレも含むためやはり元ネタを先に読んでおくべきだが、通り一遍の知識があればさほど問題ない。
しかし内容は乱歩リスペクトとアレンジに注力しすぎて、個人的にはあまり楽しめなかった。

というのも「椅子?人間!」にしろ「赤い部屋はいかにリフォームされたか」や「陰獣幻戯」にしろ、トリック自体はきわめてありきたりなもので、ただ乱歩短編に別解を付けただけに思えてならず、急にガチ暗号を放り込んでくる「人でなしの恋からはじまる物語」は笑ったが、表題作や「スマホと旅する男」は悪い意味での21世紀本格で、「「お勢登場」を読んだ男」は計画があまりに杜撰すぎる。と、欠点ばかりが目に付いてしまう。
いずれも一定の質は保っているものの、歌野晶午と乱歩を組み合わせた相乗効果はほとんど無く、1×1=1.2になったくらいの(あくまで個人的には)見るべきものの少ない短編集であった。


16.11.12
評価:★★☆ 5



明日なき暴走
ディレクターズ・カット 改題
   


~あらすじ~
TV局ディレクターの長谷見潤也は、無免許運転の罪をかぶってやった学生らを使い、やらせでスクープ映像を作り名を上げていた。
だがそれも下火になった頃合いに、学生の一人が通り魔に襲われる。長谷見は一発逆転を狙い、通り魔の行方を追う。


~感想~
つくづく器用な作者で、無軌道な若者や、暴走する通り魔の描写は実に達者。相当詳しくないと誰が書いても不自然になるネットの反応も違和感なく、キャラ立ちした面々が動き回る物語もわかりやすくテンポよく進み、結末まで一息に読ませる。
よく考えるとそれなりに複雑な話なのだが、歌野晶午の手に掛かると極めて単純かつぶっちゃけ想像通りの筋立てに展開されるのがお見事。
厳しいことを言えば作者ほどの実力者がわざわざ書くような内容ではない気もするが、それは難癖というものだろう。
器用になんでもそつなく書く才人の作者だが、ノンシリーズ作品は当たり外れが大きい。
本作はどちらかといえば外れの部類だが、それでもあっさり読めてあっさり楽しめる、まさにバラエティ番組のような一冊である。


17.12.9
評価:★★★ 6



間宵の母
   


~あらすじ~
小学三年生の西崎詩穂と間宵紗江子は親友同士。紗江子の父は人気者で誰からも慕われていたが、詩穂の母と失踪してしまい、残された紗江子の母は狂乱し、詩穂と紗江子の運命も大きく狂わされる。


~感想~
中盤から後半にかけて大きくジャンルが変わり、最終的にどこへ着地するのかはネタバレになるので伏せるが、とりあえずミステリ要素は大きいので、作者のファンは安心して欲しい。
が、理由が付けばいいというものではなく、むしろ無茶でもなんでも理由さえ付けられれば、どこまでミステリとして成立させられるのかに挑戦するかのように、無茶に次ぐ無茶が次々と行列をなして押し寄せる。
結末も実にここ最近の作者らしいもので、ファンでも評価は大きく分かれることだろう。
個人的には全く好みではなく、楽しく読める部分もあったが、良い評価はできない。無茶だし。
近年は作品によって当たり外れの振り幅が大きくなってきたが、歌野晶午には正直あんまりこういう方面の作風は期待してない、というか普通に面白い本格ミステリが書けるのに、なかなか普通に書いてくれないので困る。


20.8.26
評価:★☆ 3



首切り島の一夜
     


未作成



それは令和のことでした、
     


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中にいる、おまえの中にいる。
     


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