海堂 尊


チーム・バチスタの栄光
 


~あらすじ~
東城大学医学部付属病院の"チーム・バチスタ"は、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術専門の天才外科チーム。
ところが原因不明の術中死が連続で発生。高階病院長は万年講師で通称「愚痴外来」の田口医師に内部調査を依頼する。
医療ミスかそれとも殺人か。聞き取り調査の先に待つものとは。

2006年このミス大賞、文春3位

~感想~
ベストセラーを量産し話題をさらっただけはある、新人離れした筆力で長文をぐいぐい読ませてくれる。
というか新人でこれだけ読ませる作家がかつて何人いただろうか?
とにかく人物が魅力的。静の田口に動の白鳥の探偵コンビはもちろんのこと、脇を固める面々もかたっぱしからキャラが立っている。
物語は専門用語のオンパレードだがまったく問題なく読み進められ、正直トリックとかわけわかんねーし密室とかどうでもいいが、そんなことは瑣末事になってしまうくらい面白い。
展開も考え抜かれており、前半は田口の静の調査で事件の状況と人間関係をまとめ、後半は白鳥の動の調査で一気に物語が動きだす。この展開の緩急もまた魅力だが、前半の地味な静の調査を、まったく飽かせることなく読ませてしまう手腕はやはり驚異。
ミステリではなく医療を題材にしたエンタテインメント小説ととらえるべきだろうが、とにかく楽しい小説。ベストセラーだからと甘く見るなかれ。


上巻 08.7.2
下巻 08.7.7
評価:★★★★ 8



ナイチンゲールの沈黙
 


~あらすじ~
病棟一の歌唱力を持つ看護師・浜田小夜の担当患者は、眼の癌・網膜芽腫の子供たち。眼球摘出をせざるをえない彼らに心を痛めた小夜は、患児のメンタルケアを不定愁訴外来担当の田口に依頼し、小児愚痴外来が始まった時同じくして、小児科病棟の問題児・瑞人の父親が殺され、警察庁から出向中の加納警視正が病院内で捜査を開始する。緊急入院してきた伝説の歌姫と、厚生労働省の変人役人・白鳥圭輔も加わり、物語は事件解決に向け動き出す。


~感想~
白鳥を筆頭とする登場人物たちのキャラ立ち以外はきわめてリアルだった前作『チーム・バチスタの栄光』から一転、シリーズ第二弾はSF要素の濃い作品となった。
物語の鍵を握るある人物の才能が、もはや特殊能力としか呼べない、兵器として軍事利用さえ可能かもしれない突飛さで、解決シーンにいたっては冷静に考えるとギャグにしか思えない情景なのだが、それを納得させてしまう実力が作者にはある。
映画化の話も上がっているそうだが、解決シーンはどう描くのか、どう描いたらバカ映画にならないのか、今から興味がわいてくる。
そういえば解決の一歩手前のシーンも、よく考えてみると相当にアレなので(ヒントは水着)そのあたりもどうするのだろう。

脇道にそれすぎたが、田口と白鳥のかけ合いや、新キャラたちの造型など、前作ファンが期待するとおりのものは、今回も十二分にそろっているので、ファンは黙って買い。


上08.12.29
下08.12.30
評価:★★★☆ 7



螺鈿迷宮
 


~あらすじ~
医療界を震撼させたバチスタ・スキャンダルから1年半。東城大学の劣等医学生・天馬大吉はある日、幼なじみの記者・別宮葉子から「碧翠院桜宮病院に潜入してほしい」という依頼を受けた。
桜宮病院は、終末医療の先端施設として注目を集めていたが、経営者一族には黒い噂が絶えない。
やがて、看護ボランティアとして潜入した天馬の前で、患者が次々と不自然な死を遂げた。彼らは本当に病死か、それとも……。


~感想~
いままで名前だけが出ていた氷姫がいよいよ登場、というだけで宣伝になるのだからこのシリーズのキャラ立ちの強さはすばらしい。
そして氷姫のキャラと、白鳥の突飛な登場だけで読ませてしまう手腕もあいかわらず。
終末医療という題材ながら妙に明るく、ご都合主義といえばそれまでだが、もはやミステリでもなんでもないやりすぎ感ただよう陰謀譚もエンタメとしてみれば非常に楽しい。
結末にいたってはやはりこのシリーズはミステリというよりも「桜宮サーガ」という一種のファンタジィ小説なのだろうと思えてくる。

それにしても異名をつけられたキャラや、彼らの特殊能力のような才能、東城大学という組織、壮大な陰謀とそろうと清涼院流水を思い出してしまうのだがどうか。


08.12.31
評価:★★★☆ 7



ジェネラル・ルージュの凱旋
 


~あらすじ~
歌姫が東城大学医学部付属病院に緊急入院した頃、不定愁訴外来担当の田口公平の元には匿名の告発文書が届いていた。
“将軍(ジェネラル)”の異名をとる、救命救急センター部長の速水晃一が特定業者と癒着しているという。高階病院長から依頼を受けた田口は調査に乗り出すが……。


~感想~
いちおうミステリの範疇に属していたシリーズが大きくエンタメの方向に舵を切った。
それは失敗ではなく、明らかに良い方向に向かっている。
そういえばデビュー作の『チーム・バチスタの栄光』からしてトリック自体はどうでもよいものだったのだし、この桜宮サーガからトリックなんて不純物(?)を撤廃したところでマイナス要素になるわけがないのだ。
さらにこの作品のすごいところは、元々『ナイチンゲールの沈黙』と一体になった長編だったのを、長すぎるので二つに分割したにも関わらず、それぞれが単体として十分な魅力を備えているというところ。
しかも『ナイチンゲールの沈黙』と本作は同じ時間軸を共有しており、物語は同時進行で起きているので、読み比べればもっと楽しめるのだ。
しかもしかも、こちらでは探偵役(?)の白鳥はほとんど本筋に絡まず、脇役に徹しているのだから、このシリーズが白鳥という稀有のキャラクター抜きでさえ余裕で成立するという事実まで示しているのは本当に驚くべき点である。
ぱっとしない作家ばかり輩出していたこのミス大賞は、つくづくジャックポットを引き当てたものだと思い知らされた。


上巻10.4.7
下巻10.4.11
評価:★★★☆ 7



ブラックペアン1988


未作成



夢見る黄金地球儀
   


未作成



医学のたまご
     


未作成



ジーン・ワルツ
   


未作成



ひかりの剣
   


未作成



イノセント・ゲリラの祝祭 上
   


~あらすじ~
東城大学医学部付属病院。万年講師の田口公平は、いつものように高階病院長に呼ばれ、無理難題を押しつけられようとしていた。
今回の依頼人はあの火喰い鳥・白鳥圭輔。厚生労働省で行われる会議への出席依頼だった。


~感想~
巻を重ねるごとにミステリからエンタメへと大きく舵を切っているシリーズだが、この上巻での「何も起きなさっぷり」はただごとではない。
大袈裟な異名を持つ個性豊かな人物たちが、思わせぶりで意味ありげな、大半の読者には雰囲気程度しかつかめない会話を交わす、ある種、厨二病な作風は相変わらず。そこに来てここまで事件らしい事件は一つも起きず、核となる人物が誰かも読めず、そもそも今回の主要なテーマが何かさえわからないのだが、それでも前作「ジェネラル・ルージュの凱旋」ではほとんど出番のなかった白鳥が動き回っているというだけで楽しめてしまう豪腕は流石である。
下巻ではストーリーがどう動くのか、それとも動かないのか、動いたとしてそれが読者に理解できるのか。とりあえず楽しみである。


11.6.22
評価:保留



イノセント・ゲリラの祝祭 下
     


~あらすじ~
不定愁訴外来担当の田口と、厚生労働省の変人官僚・白鳥が乗り込んだ「医療事故調査委員会」。
官僚、医師、法医学者、弁護士、被害者の会など、さまざまな思惑がからむ会議。そこに医療界に革命を起こそうと暗躍する男の登場で、議論は一気に加熱する。


~感想~
これは酷い。
デビュー作の頃から「AI導入のために筆を執った」と公言している作者だが、それでも作品はエンタメ性にあふれ、読者を楽しませることは心がけていたのだが、ここにいたってそんな気持ちはどこかへ消えてなくなったようだ。
上巻はまだおなじみのメンツが厨二病気味の思わせぶりな会話を交わし、それなりに読みどころはあった。
だが下巻では、話こそ具体的に進められるものの、作者の代弁者が登場し、おそらくは作者の主張・理想論を思いのままにぶちまけ、しかも圧倒的に論破してみせるだけの「俺つえー」な無双状態、ただし話の内容は一般的な読者にはさっぱり理解できず、終始空回りしっぱなしという惨状。
白鳥も田口も置き去りなのはもちろん、期待のニューカマーだったはずのある人物は姿すら見せない噛ませ扱い、代弁者は自らをイノセント・ゲリラ(笑)と称し、最後には「理想論だとわかっているさ」とシニカルに微笑む自己陶酔ぶりで、読者も地平の彼方に置いてけぼり。
僕の個人的な職業柄、医療・福祉の現場の崖っぷちに追い込まれた危うさは、それなりに知っているつもりだ。
だが思いのたけをぶちまけたければ、他の舞台でやって欲しかったと、一ファンとしては思う。
一言で言えば、論文かブログか医学情報誌でやっとれという内容で、これをシリーズ第四弾として提出した作者は、多くのファンを失ったことであろう。


11.6.27
評価:問題外



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