桐野 夏生


顔に降りかかる雨
   


~あらすじ~
親友のノンフィクションライター宇佐川耀子が、一億円を持って消えた。
あらぬ疑いを受けた私・村野ミロは、燿子の恋人・成瀬と協力して彼女を追う。二転三転する事件の真相は?

1993年文春2位、江戸川乱歩賞

~感想~
乱歩賞を受賞したデビュー作。
失踪した女の謎が主眼だが、物語はハードボイルドにもミステリにもサスペンスにも偏らないどっちつかずで、乾いた語り口とあいまって非常に平板。デビュー作らしい手広さでネオナチ、SM、死体愛好と刺激的なテーマを多数扱いながらも、単なるつまみ食いに終わった。
ヒロインの思考はおそらく大半の男性読者には理解が及ばず、相手役となる成瀬の人物造形もまた「男が描けていない」有様であり、ストーリー展開もあっちへ行きこっちへ行きとばたばたしており、とにかく何もかもが未熟。
そういえば作者の代表作である「OUT」も登場人物たちの思考の過程が全く想像できず何もかもが「なんとなくやった」としか思えないものの、高い筆力で強引に読ませてしまうものだが、デビュー作ではまだそこまでの筆力は持っていないのが欠点だろう。
物語も事件の決着だけはつくものの、それ以外の全てが置き去りで物足りない。作者のよほどのファンか、乱歩賞マニアでもなければ手出しは無用か。


11.5.9
評価:★★ 4



OUT


~あらすじ~
深夜の弁当工場で働く主婦たちは、なぜパート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?

1997年日本推理作家協会賞、このミス1位、文春2位、直木賞候補、吉川英治文学新人賞候補、東西ベスト(2012)43位

~感想~
簡単に言うと
↓超ネタバレ↓
動機のないままバラバラ殺人に加担した主婦が、動機のない殺人鬼に動機もなく調教され、動機のないまま自分探しの旅に出る。
という「……だから?」としか感想を言えない物語なのだが、主題となっているはずのそれを除いた部分は、一級の読み物になっているという不思議な小説である。
そういえば事件に関わるありとあらゆることが一つも決着しておらず、投げっぱなしもいいところなのだが、物語としてはきちんと「OUT」というタイトルに収斂して結末を迎えるので、納得がいってしまうのだ。
この雰囲気だけでゴリ押しして、雰囲気だけで腑に落ちさせる手腕はただごとではない。このミス1位・文春2位を獲得したのはなにかの間違いであろう、すこしもミステリじゃない純文学だが、普通に面白い小説である。


上巻 09.3.27
下巻 09.4.2
評価:★★☆ 5



柔らかな頬
       


1999年直木賞、このミス5位、文春4位



グロテスク
       


2003年泉鏡花文学賞、このミス5位、文春3位



残虐記
     


~あらすじ~
作家の小海鳴海は10歳の時、男に1年にわたり監禁された。
その経験を糧に作家となったが、忌まわしい記憶は封印していたものの、仮釈放となった犯人の男から手紙が届く。男は言う。「先生、ほんとにすいませんでした。でも、私のことはゆるしてくれなくてもいいです。私も先生をゆるさないと思います」
彼女は手記を残して失踪し……。

2004年柴田錬三郎賞、文春6位

~感想~
あらすじで記したように、冒頭12ページで「なぜ彼女は失踪し今どこにいるのか」「なぜ生涯未婚を誓いながら結婚したか」「なぜ墓場まで持って行くと決めた秘密を明かす手記を残したか」「彼女をかつて監禁した男の謎の言葉の意味は」と列挙された謎が、全て「不明」のまま終わる話の何をどう楽しめばいいのか?
男の謎めいた「先生、ほんとに~」に至っては作者自身が「なぜかわからないけど思わず書いてしまったもので、自分でも意味がよくわからなかった」とのたもうているらしい。
え? 物語の真相・結末のほぼ全てが読者に丸投げされ、一切の解決が描かれない話が文春6位や柴田錬三郎賞に?(出来らあっ!)

多重解決といえば聞こえはいいが、読者に想像を委ねられるのはあくまで一定の結論が出ているか作者の中で確固たる結論がある場合にのみ認められる話で、投げっぱなしジャーマンはただ真相と結論をぶん投げただけの無責任に過ぎない。
素朴な疑問なのだが純文学ファンはこの話のどこをどう楽しんでいるのか不思議でならない。「想像力を働かせるのが楽しい」以外の理由で教えて欲しいし、そんなに想像だけで楽しめるなら本能寺の変の黒幕とか邪馬台国の場所の考察のほうが絶対楽しいだろ…。


22.7.7
評価:なし 0



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