戸板 康二


團十郎切腹事件
     


59年直木賞、東西ベスト(1985版)77位


~感想~
歌舞伎界の老優・中村雅楽が殺人事件から日常の謎まで、ある時は居ながらにして、またある時は自ら実地調査に赴き、快刀乱麻を断つがごとくに謎を解くシリーズ。

昭和30年代の作品で、馴染みのない歌舞伎界を舞台にしながらも、筆致は簡潔で読みやすく、歌舞伎用語や固有名詞はすっぱり無視してもあまり問題ない。
いわゆる古き良きミステリで、現代の読者からすれば地味であったりアンフェアであったり、伏線がまるわかりだったり、時代背景からトリックや手掛かりがすんなりと理解できないこともあるものの、中村雅楽というまさに老紳士や老優という呼称のふさわしい稀有なキャラと、彼の繰り出すホームズばりの名推理が楽しめ、全編なにかしらの見どころがあり、全集ならではの作者による自作解説や後書き、江戸川乱歩らそうそうたる名前の並ぶ解説を一挙に収録しているのも貴重。

各編に少し触れると、直木賞を受賞(ただし単品ではなくシリーズ全体で受賞したとのこと)した表題作「團十郎切腹事件」は、大仕掛け過ぎてすれっからしの読者からすれば真相はノーガード状態だが、当時にこれだけのトリックを出してきたことは素直に驚ける。
その他に好みを挙げれば「不当な解雇」は泡坂妻夫ばりの逆転の発想が楽しく、雅楽の名探偵ぶりが半端ない「死んでもCM」と「滝に誘う女」、真相は読みやすいが最も本格ミステリ然とした「加納座実説」、ミステリというか単なる巧い物語だが素晴らしい着地を決める本作の白眉「文士劇と蠅の話」などなど、後年の作品になるにつれ明らかに腕を上げており、密室こそ無かったと思うが誘拐、暗号、操り、見立てからアリバイトリックまで、幅広く手掛けているのもすごい。

また「等々力座殺人事件」は探偵と同じ情報を得ているのにワトソンだけが気づかない無茶なパターンの極北みたいな内容で、真相そのものがズバリ書かれた本を読んでるのにさっぱり気づかないボンクラぶりに、いくらなんでも無茶すぎると苦笑した。

これを手放しで絶賛できる人はまず間違いなく重度のマニアなので彼らの感想は置いとくとして、一般層には厳しいがミステリファンならばとりあえず読んで損はない全集である。
でもさすがに2巻以降は読まなくてもいいかな……。


16.4.14
評価:★★☆ 5



グリーン車の子供
       


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