鳥飼 否宇


中空
   


~あらすじ~
老荘思想を規範に暮らすひなびた七世帯の村に、幻の竹の花が咲き乱れていた。村に影を落とす二十年前の連続殺人事件。そして、恐れていた忌まわしい事件が再来する。


~感想~
かつての横溝賞優秀賞。それなのに今年の受賞作を完膚なきまでに上回っているとは時代の流れを嘆くべきなのか。
それはともかく、さる書評サイトで絶賛されていたため手にしたのだが、まったくもっておっしゃるとおりの傑作だった。
ラストに示される三つの真相がそれぞれに説得力を持ち、しかも後につづく真相のほうが強度に優れかつ魅力的なのだからすばらしい。多重解決をうりとしたミステリは、ひっくり返される前の真相や、嘘の解決のほうが面白いことも多いのだから、実に満足できた。
全編にわたって張り巡らされていた綱渡りのような伏線と仕掛け、どうして忘れてしまったんだろうと呆気にとられるほどあからさまな手がかり。バカミスだけではない作者の実力をまざまざと見せつけてくれた。


07.12.1
評価:★★★★ 8



非在
   


未作成



昆虫探偵
シロコパκ氏の華麗なる推理
   


~収録作品~
蝶々殺蛾事件
哲学虫の密室
昼のセミ
吸血の池
生けるアカハネの死
ジョロウグモの拘
ハチの悲劇


~感想~
昆虫の世界の昆虫の事件を昆虫の論理で昆虫が解く昆虫づくしの異色ミステリ。
各編は有名ミステリのパロディという側面も持ち、ことに『吸血の池』は原作を知っていると、真相になおさらニヤリとさせられる。
登場人物(虫)は数も種類も膨大で、名前も非常に覚えにくいが、それぞれの特徴を的確に捉えており、把握は難しくない。正統派ミステリの仕掛けを昆虫の生態にからめて描かれるため、トリックは単純ながら、一般層にはなじみの薄い、昆虫の生態を知ることもでき、一粒で二度おいしい小品である。
普通のミステリとくらべてなにより際だっているのが、その動機の特異さ。なにせ昆虫の世界。怨恨やら金銭やら恋愛のもつれなどというものはない。生きるか死ぬか、食うか食われるか、子孫を残せるか滅びるか、まさに弱肉強食の世界。昆虫ならではの動機は殺伐としてもおかしくないが、描写はあくまでも軽快。ダジャレめいた名前や、前頭部(あたま)、前脚(て)などの当て字が物語をやわらかくしてくれる。
文庫版には昆虫ならではの論理が冴える「ジョロウグモの拘」を書き下ろし。昆虫マニアは必読?


06.4.25
評価:★★☆ 5



桃源郷の惨劇
     


~あらすじ~
桃源郷に住むというミカヅキキジを追い求めて、テレビ局のクルーたちがヒマラヤの山間に乗り込んだ。
だがトクル村の人々は神の領域に住むとされるミカヅキキジのことを口にしない。滞在期間内になんとしても撮影しなければならない一行の前に、ビックフットが現れ……。


~感想~
もともと137ページというごく短い分量だけに、詰め込める容量はたいしたことないのだが、それにしても短編と比べても物足りない内容になっている。
とはいえただでは転ばないのがこの作者、事件とほとんど関係ないところにバカトリックを仕掛け、なんとか体裁は保った。
ワンコインで鳥飼否宇を味わえると思えば安いものか。


08.12.31
評価:★☆ 3



本格的
死人と狂人たち
     


未作成



密林
     


未作成



太陽と戦慄
     


未作成



痙攣的
モンド氏の逆説
   


~収録作品~
廃墟と青空
闇の舞踏会
神の鞭
電子美学
人間解体

2005年このミス12位

~感想~
むっちゃくちゃな作品である。
冒頭の一編からして連作短編として成立するのか心配になるような破壊的な結末を迎え、驚く間もなくその後も次々と定石をぶち壊していく。
しかし本格ミステリとしての要素は(本書の中盤までは)硬質で、巧みな論理や特異な動機などで楽しませてくれる。ラスト2編でなにもかも破壊し尽くされてしまうため、それを許容できれば、本書を楽しめることだろう。
前衛芸術さながらに、新たなる地平を求めるあまりとんでもない方向へ暴走してしまったような彼岸のミステリ。バカミステリと呼ぶには惜しいデタラメさは一見の価値ありです。


07.5.26
評価:★★★ 6



逆説探偵
十三人の申し分なき重罪人
   


未作成



激走
激走福岡国際マラソン 42.195キロの謎 改題
   


未作成



樹霊
   


~あらすじ~
植物写真家の猫田夏海は北海道での撮影旅行中、「神の木が数十メートル移動した」という話を聞き、古冠村へ向かう。
役場の青年の案内で夏海が目にしたのは、テーマパークのために乱開発された森だった。
その建設に反対していたアイヌ代表の議員は失踪。村では、ナナカマドが謎の移動をするという怪事が多発していた。
"観察者"鳶山の眼は全ての謎を見抜けるのか。


~感想~
大木移動の謎、失踪の謎、足跡の謎、墜落の謎、謎は多種多彩にそろっている。が、それぞれのトリックは非常に小粒。メインであろう移動の謎は、ある有名なトリックの応用で、うまくさばいてはいるが目新しさは足りない。
小粒なトリックたちが連携して、ひとつの大きなトリックを形作っているわけではなく、謎が分散してしまった印象。ひとつひとつ取りだしてみれば細かいトリックが個々に散らばっており、衝撃は薄い。
濃いキャラたちや、アイヌという特異な素材は、物語を退屈させないが、トリックやプロットへの貢献度は低い。動機も弱いなあ。全体として、これまた未完成な作品といったところ。
自然派作家の面目は保ったが、あの鳥飼否宇の新作長編にしては地味に小さくまとまりすぎ、名前が足を引っぱったのかもしれない。


06.9.6
評価:★★☆ 5



異界
     


未作成



官能的
     


2008年本ミス10位



爆発的
   


未作成



人事系シンジケート T-REX失踪
     


未作成



このどしゃぶりに日向小町は
     


未作成



物の怪
     


未作成



妄想女刑事
   


~あらすじ~
警視庁捜査一課の女刑事・宮藤希美には所構わず妄想に入り浸る奇癖があった。
その妄想は推理力にも発揮されるが当たり外れも大きく…。


~感想~
バカミスの伝道師らしいひねくれた連作短編集。
事件も「電車内で次々と見つかるバラバラ死体」や「ナース服姿で車に轢かれた観光客の男」といったひねくれたものも多いが、内容はもっとひねくれねじくれている。
宮藤希美の妄想をもとにした突飛な推理や、ちゃんとした描写は無いが最低限張られている伏線で成り立つ事件は実のところ存外まとも。
事件や推理外のある要素がものすごくひねくれており、作中で希美も自らメタ的に言及しだすようなバカミス的仕掛けで、読了後には誰かと語り合いたくなってしまう。しかも5話目でその趣向がやや崩れるのが意味不明で、きちんとしている方が綺麗に落ちるのに、なぜ崩してしまったのか? 作者のひねくれ具合を表しているのだろうか。
最後に明かされるある真相こそ見え見えながら、ただ創作のハードルを上げただけのような謎すぎる横溝正史の有名作品の要素縛りなどなど、考えついても誰も書かない、いやそもそも考えつかない突拍子もない変な作品だった。


22.9.17
評価:★★★ 6



憑き物
     


未作成



迷走女刑事
     


未作成



死と砂時計
   


~収録作品とあらすじ~
凶器のない独房内で発見された2人の死体…魔王シャヴォ・ドルマヤンの密室
脱獄に唯一成功した囚人は、なぜ満月の夜に屈強な看守を狙ったのか…英雄チェン・ウェイツの失踪
厳格な定年間近の監察官が、監察対象の横暴な看守に殺された?…監察官ジェマイヤ・カーレッドの韜晦
墓を暴き遺体を食べると噂される墓守が、遺体を切り刻み確定囚に下った…墓守ラクパ・ギャルポの誉れ
女囚と女看守しかいない監獄で、収監から2年後に女囚が身籠った…女囚マリア・スコフィールドの懐胎
義父と実母を殺した罪で収監された確定囚が真実を語る…確定囚アラン・イシダの真実

死刑囚ばかりが集められた終末監獄で起こる逆説的な謎の数々を描いた連作短編集。

2015年本格ミステリ大賞、このミス13位、本ミス9位

~感想~
栄えある本格ミステリ大賞に輝いたが、鮮やかなトリックやガチガチな論理よりも逆説的な謎とその解決に注力された印象。
というのも各編は丁寧に描かれた反面、トリック自体は見抜きやすく、真相を聞かされても驚くことはまずない。
だが後ろから2編目の「女囚マリア・スコフィールドの懐胎」は作者お得意の(?)連作短編集ラスト直前の超展開が待受け、掉尾を飾る「確定囚アラン・イシダの真実」は連作形式の総仕上げとして、各編をつなぐある真実が明かされる。
それは正直言って予想の範疇で驚きは少なく、ラストの急展開も漫画チックといったら漫画に怒られるだろうほどのお粗末なものなのだが、本当の趣向は正真正銘ラスト1ページに秘められていた。それだけでもう評価を1段階上げざるを得ない、これこそ驚愕の真実で、これが無ければ(多少相手に恵まれた感もあるが)本格ミステリ大賞を射止めることはできなかっただろう。

作者の代表作とまでは行かないが、鳥飼否宇といえばこれと一作挙げるなら多くの人が賛同するだろう作品である。


17.5.23
評価:★★★ 6



絶望的 寄生クラブ
     


未作成



生け贄
     


未作成



とり研の空とぶ事件簿
ブッポウソウは忘れない 改題
   


未作成



紅城奇譚
     


~あらすじ~
戦国時代、九州にその名を轟かせた大名・龍生信政。
勇猛さと暴虐非道で知られた彼の居城・紅城で起こるいくつもの奇怪な事件。

2017年本ミス9位

~感想~
架空の戦国大名家を舞台にした連作短編集。
作者は日本史に詳しくなく歴史小説のファンでもないと言うが、読んでいて不自然な描写は特になく心配無用。
4編とも水準以上の質を持ち、特に毒殺事件を描いた2編目「暴君の毒死」は「意外な真犯人と意外すぎる犯行方法に腐心しました」という作者のコメント通りの傑作で、短編としては年間ベスト級の代物。
その他も変形の密室あり、豪快なアレ系トリックありと粒ぞろい。連作としての仕掛けこそ正直なところ予想の範疇というか、予想通りすぎて拍子抜けしてしまうほどだったが、「戦国時代の本格ミステリ」に期待するものには十全に応えており、今年度の意外な収穫の一つとして挙げられるだろう。


17.11.12
評価:★★★☆ 7



隠蔽人類
   


未作成



天災は忘れる前にやってくる
     


未作成



パンダ探偵
     


未作成



指切りパズル
     


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


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未作成



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未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成

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