月村 了衛


機龍警察
 


~あらすじ~
凶悪化する犯罪に対処すべく警察が導入した機甲兵装。
新設された警視庁特捜部は龍機兵(ドラグーン)と呼ばれる最新型の機甲兵装のパイロットに傭兵、元警官、元テロリストを配した。


~感想~
傭兵で接近戦主体の日本人、射撃戦が得意な外人男性、ミサイル装備の外人女性の三人組パイロットが小型の人型兵器を駆るという、あと女子高生艦長がいればそれなんてフルメタル・パニック? な設定だが、冒頭から無辜の民が容赦なく肉塊に変えられていくハードな世界観で、新作を出すたびに各種ランキングの上位をにぎわせるシリーズの第一弾。
驚くべきことに処女作ながら、いちいち暗い過去を持つ若干厨ニ気味(褒め言葉)の登場人物たちの群像劇、近未来SF、ミリタリーにアクション小説に警察物という様々なジャンルをごった煮にした、作者は「冒険小説」と称しているそうだが多方面からの支持を得られるだろう、多様な楽しみ方を受け入れる作品である。
まだまだ他作品と比べて目を見張る個性や突き抜けた面白味は感じないが、次作以降はのきなみランクイン作品で、巻を重ねれば筆もますますこなれてくるのだろう。
次作を読むのも、いつか訪れるだろう小説ジャンルでは初の(?)スパロボ参戦する未来も楽しみ。


15.11.10
評価:★★★ 6



機忍兵零牙
   


未作成



機龍警察 自爆条項
 
 


~あらすじ~
IRFのカリスマ指導者キリアン・クインは3人の幹部を引き連れ、かつての同志であるライザ・ガードナー警部を訪ね警告を発する。
港で起きた無差別射殺事件が示唆する大規模テロとの関わりは? 裏切り者と罵られ続けたライザの秘められた過去が今明かされる。

2011年このミス9位、日本SF大賞

~感想~
警察に人型ロボットが配備され日本中でテロが起こる世界観。未知の技術を誇る3機の最新鋭機を擁する特捜部と他部署の対立。その最新鋭機を駆る3人の外人部隊。それを整備する暗い過去を抱えた美少女もとい童顔美女スーパーハカー。特捜部を率いるは一癖も二癖もある飄然とした指揮官……等々、一つ一つを取り出せば臆面も無くベッタベタな要素だらけなのだが、それらが渾然一体となって織り出した作品世界はたまらなく魅力的。
お約束かつ期待通りにとにかくロボットバトルで決着を付ける展開も痛快で、本作はさほどバトルは描かれないし、ライザの過去も実のところベタにベタを重ねたような話なのだが、ベタも究めれば王道となり、王道は常に正しくも面白いものである。

またこれはごく個人的な感想ながら、作中一の美女で元テロリストのライザの暗い過去を描いておきながら、濡れ場はおろかサービスシーンすら皆無という作者の心意気には喝采を送りたい。この設定なら凡百の作家なら安易に初体験だのレ●プだの描きがちなところで、ほのめかす描写すら皆無という潔さはただごとではない。濡れ場が書きたきゃ官能小説を書けばいいだけなのだ。(今後のシリーズや完全版で普通に描いてたらすまん)

第一作「機龍警察」に続き、警察小説、刑事物、ロボットバトル、謀略戦と幅広い読み方を受け入れる、前作からの期待感にそれ以上の形で応えて見せた素晴らしい第二作である。


17.9.5
評価:★★★★ 8



機龍警察 暗黒市場
 


~あらすじ~
警視庁との契約を解除されたユーリ・オズノフ元警部は、幼馴染のロシアン・マフィアと組んで武器密売に手を染める。
一方、市場に流出した新型機甲兵装が龍機兵の同型機ではないかと疑念を抱く沖津特捜部長は、ブラックマーケット壊滅作戦に着手した。

2012年このミス3位、文春9位、吉川英治文学新人賞

~感想~
シリーズ第三弾にして最高傑作。というか超絶傑作。
完璧と言って良いほど、空恐ろしくなるほどに良く出来た、計算され尽くしたストーリー展開。
ほとんど全てのシーンにまるで鏡写しのような二重の意味があり、無駄な描写の一つとて無い。
これまで龍機兵の搭乗員である3人のうち姿とライザの過去が描かれ、今回は期待通りにユーリの過去編なのだが、まさに息つく暇もない緊張感が最初から最後まで続き、徹頭徹尾盛り上がり続ける。
完成度の高さでは前ニ作を圧倒的に上回っており、せっかく過去編が描かれた姿とライザがちょっと気の毒になるほどで、そりゃ完全版で補完したくもなるだろうと納得する。(完全版は前ニ作だけの意向だそうで「暗黒市場」と比べてはどうしても見劣りするから補完したという見立ては間違っていないはず)
完全版商法には興味はなかったのだがこの「暗黒市場」を念頭に置いての加筆修正ということならば読まなくてはなるまい。

驚くべきは、このシリーズの特徴でもあるのだが、話の流れ自体は極めてベタなのだ。
描写も比喩や回想の類が少なく、余計なものを削ぎ落として物語の筋だけを追っており、ともすれば人工的な、あまりに作者にとって都合の良い方向に話が転がりすぎているきらいもあるのだ。
だが圧倒的な、いっそ支配的なストーリーテリング能力でそれらの欠点を読者に一切感じさせないのは、本当にすごい。
またちょっと心配になるほど誤植が多いのだが、これは俗に言う「校正者が読むのに夢中になって見逃してしまうほど面白い」という奴ではなかろうか。

警察、ミステリ、ハードボイルド、ロボットバトル、腹黒い政治的駆け引きに、あふれ出る厨二要素と、元から個人的に大好物ではあったが、まさかここまでの高みに到達するとは。
このシリーズが今後どこまで高く上り詰めていってしまうのかちょっと見当が付かなくなってしまった。


18.5.14
評価:★★★★★ 10



黒警
   


未作成



機龍警察 未亡旅団
   


~あらすじ~
機龍警察シリーズ第四弾。
家族を奪われた妻や母、娘ら女性ばかりで構成されたチェチェンのテロ組織「黒い未亡人」が日本に潜入。
砂の妻・剣の妻・風の妻と呼ばれる三人のリーダーの駆る機甲兵装と、自爆を駆使した巧緻な采配だけではなく、未成年のテロリストと対峙する困難に特捜部はさらされる。

2014年このミス5位、文春9位

~感想~
主役級のパイロット3人の過去編が終わり、本作では由起谷や城木ら脇を固める面々の過去が描かれる。
シリーズ最高傑作の前作にはさすがに及ばないが安定感は変わらず、過酷なテロの現実や張り巡らされた陰謀、刑事たちの調査にお待ちかねのロボットバトルと、この作品に期待するものは全て揃っている。
多くを語る必要はなく、シリーズファンなら黙って読めばいい、いつもながらの良作である。


18.7.31
評価:★★★☆ 7



土漠の花
   


~あらすじ~
ソマリアでPKO活動中の自衛隊は、消息不明のヘリを捜索に向かい、墜落地点のそばで野営を張る。
そこへゲリラに追われる現地の小氏族の女性が駆け込み、保護した自衛隊にゲリラは躊躇なく銃を向けた。

2014年日本推理作家協会賞、このミス6位、本屋大賞候補

~感想~
自衛隊が!! ソマリアで!! ゲリラと!! 戦う!!
以上!!!!!

本当にただそれだけの話で、高野和明「ジェノサイド」のような大風呂敷も広げずただただ自衛隊とゲリラがガチで殺し合うだけなのに「ジェノサイド」以来のサバイバルドンパチ傑作である。
この舞台とこのキャラ設定から想像し、期待するそのほとんど全てが入っており、少しでも興味があれば迷わず読んでいただきたい。
月村了衛はロボットから降りても超面白かった。

ただし文庫版の井家上隆幸氏の解説はネタバレ三昧なので要注意。
三浦明博「滅びのモノクローム」では的外れな読者批判をしていたが、ネタバレも(しかも機龍警察シリーズもネタバレしている)かますのかよとドン引きしたものの、作者たっての希望だったそうで、作者がいいなら別にいいのだが。


18.9.11
評価:★★★★★ 10



機龍警察 火宅
   


~あらすじ~
機龍警察シリーズ初の短編集。
由起谷主任が死の床にある元上司の秘密に迫る表題作、特捜部入りする前のライザを描く「済度」、最新作「狼眼殺手」の前日譚「化生」など8編を収録。


~感想~
一部の手掛かりが伏せられているが短編ミステリとしても成立した表題作を皮切りに、これまでに作中でさわりだけ書かれた逸話や、その背景が詳しく語られる作品も多く、機龍警察シリーズの世界観をさらに広げる良短編集。
過去編や外伝はもちろんのこと、特捜部の日常業務というか、長編ほどの規模ではない小事件もいくつか描かれ、そのどれもが面白く、タイトルに仏教用語の二字熟語を配し、各編のテーマに据えているのも秀逸。
特に気に入ったのはどちらかというと憎まれ役だった宮近を主人公に描く「勤行」で、シリアスな本作の中では珍しくコメディタッチの一編で、次から次へと災難に遭いながらも必死に苦闘する姿に好感度はうなぎ登り。

なぜか前2作を差し置いて文庫化され、短編集で手頃だからと最初に読もうと考える人もいるだろうが、これまでのシリーズを読んでいること前提の作品集のため要注意。ファン必読とまでは言わないものの、ファンなら絶対確実に楽しめる一冊である。


18.8.16
評価:★★★☆ 7



槐(エンジュ)
   


未作成



影の中の影
   


~あらすじ~
ジャーナリストの仁科曜子は中国政府がウイグル地区にもたらした恐るべき陰謀を追い亡命者たちに接触するが、暗殺部隊に襲われる。
だが曜子に目を掛ける暴力団組長から派遣されたヤクザと、伝説の傭兵カーガーが救出に現れ、死闘の幕が開く。

2015年このミス12位

~感想~
ヤクザと!! 伝説の傭兵が!! 暗殺部隊と!! 戦う!!
以上!!!!!

「土漠の花」・「欺す衆生」と全く同じ出だしになったが感想もだいたい同じで他に言うべきことはほとんどない。
多少ミステリ的な仕掛けも無いではないが、すぐにわかる代物で、読者を驚かせるよりも物語を盛り上げるための仕掛けである。
ウイグルその他の国際情勢も、現代日本でガチの殺し合いを起こすための舞台設定であり、そんな小難しいことよりヤクザ(というか侠客)たちの華々しい死に様と、ほぼ全員が暗器使いの中国暗殺部隊と伝説の傭兵の死闘を楽しむべきだろう。
あらすじから想像するままの話なので、興味のある方はどうぞ。


20.3.8
評価:★★★★ 8



ガンルージュ
   


未作成



黒涙
   


未作成



追想の探偵
   


未作成



機龍警察 狼眼殺手
     


~あらすじ~
政府が推進する次世代通信システム「クイアコン」の関係者が次々と殺される。犠牲者にはカトリックの護符が届けられており、もともと7枚一組で売られていたことから特捜部長の沖津は連続殺人を危惧する。
そして捜査線上に浮かんだ容疑者は、ライザ・ラードナー警部と因縁深い「狼眼殺手」と呼ばれる暗殺者だった。
機龍警察シリーズ第五弾。

2017年このミス3位、文春4位

~感想~
まず本作の前日譚である「化生」が短編集「機龍警察 火宅」に収録されており、先に読んでおけばより楽しめるだろう。
「火宅」はいち早く文庫化されているので強く勧めたい。

肝心の内容は期待通りに謀略が渦巻き、まるで本格ミステリのような殺人予告状が飛び出し、白兵戦も盛り上がりと、陳腐な言葉で表現すれば最初から最後までクライマックスの良作である。
だが、画竜点睛を欠いたことに、まさかのロボットバトル皆無には絶望した。
このシリーズの魅力はロボットバトルだけではないし、皆無でも十分に面白かったが、やはり期待しているのはロボット同士の激突なわけで、これまでのシリーズでは多少強引にでも乗り込んでバトルで決着をつけていただけに、今回もバトッて欲しかったと思わずにはいられない。

ミステリ的には「敬虔なカトリックではなく、それまで一度も予告殺人などしたこともない暗殺者がなぜ殺す相手にカトリックの護符を送りつけるのか?」の謎と、中盤で一瞬だけ出てきてあっさり解かれてしまうが、暗殺者の不可解過ぎるとある行動の動機は、なかなか斬新な真相だった。特に後者には目を見張った。
あと殺し屋株式会社みたいなのが出てきて、役職が偉いほど強いのには笑った。
敵組織の一番偉い奴がなぜか一番強いラスボスでありがちな、ジャッキー・チェンのカンフー映画じゃないんだからww

シリーズファンなら絶対確実に楽しめることは保証するが、ロボットバトルが無いことは事前に知っておいたほうが期待を裏切られずに済むので、注意喚起しておく次第である。


18.10.9
評価:★★★★ 8



東京輪舞
   


~あらすじ~
新人刑事の砂田修作は、かつて田中角栄宅の警備を務め、闖入者を阻止し直接ねぎらわれた。だが角栄の名声はロッキード事件で地に落ちる。
東芝COCOM違反、ソ連崩壊、地下鉄サリン、長官狙撃……首都東京で巻き起こる数々の事件に砂田の運命も翻弄される。

2018年このミス8位

~感想~
昭和~平成の世相や数々の事件を一人の公安刑事の生涯とともに描く意欲作。いまいち乗り切れなかったがラストシーンは最高だった。よく考えてみると完全にインド映画の手法なんだけども。
乗り切れなかった理由は某サイト(※あまり有名になって欲しくないので匿名としておく)の丸眼鏡の女とネタがかなり被り、しかもあっちの方が面白かったからだろうか。
本作はなんせ実在の事件、それも未解決含むを扱う上で、不透明な煮え切らない決着ばかりだが、あっちは個人サイトの強みで真相を用意できるのだから分が悪い。
また主人公は「平成など無かった」と振り返るが、その翌年に葉真中顕が逆に平成しか無い「BLUE」を書いたのは興味深い。個人的な好みでは完全に「BLUE」に軍配を上げるものの、月村了衛の刑事物にハズレがあるわけないので、読めば普通に面白いことは保証する。


20.2.1
評価:★★☆ 5



悪の五輪
   


未作成



欺す衆生
   


~あらすじ~
詐欺グループ横田商事の社長が殺害された。会社も潰れるが末端の社員だった隠岐は、横田商事残党の因幡に誘われ、再び詐欺に加担する。
やがて話を聞きつけた残党達が集まり、横田商事をもしのぐ詐欺グループが結成される。

2019年このミス7位

~感想~
詐欺師が!! 人を!! 騙す!!
以上!!!!!

同作者の「土漠の花」と同じ感想(自衛隊が!!ソマリアで!!ゲリラと!!戦う!! 以上!!!!!)にしてしまったが本当にそれしか言うこと無い。
並の作品ならここまでたどり着くのにどれだけのページを費やすのだろうと思う地点でも全体の半分にすら到達しておらず、並の作品ならここで終わるだろう展開が訪れても全然終わらない、濃密な物語が延々と描かれる。
「機龍警察シリーズ」でも垣間見せていた、駆け引きや謀略の妙だけで最後まで駆け抜け、詐欺の手法も素人にもわかりやすい。月村了衛はロボットに乗らなくても、ゲリラとガチで撃ち合わなくても、超面白かった。

ただ冒頭で史上最悪の放送事故と呼ばれる豊田商事事件をモデルにしているのだが、これだけの力作に現実のモデルなんて必要だったのだろうかと少々疑問には思ったが、別にマイナス材料にはならない。
私的このミス1位は変わらず「medium」ながら、今年一番面白かった本はこれである。


19.12.22
評価:★★★★★ 10



暗鬼夜行
   


未作成



奈落で踊れ
   


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白日
   


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非弁護人
   


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機龍警察 白骨街道
     


~あらすじ~
軍事機密を盗み、ミャンマー政府に逮捕された日本人男性の引き取りに、姿ら突入班の3人が指名される。
それは事実上、3人の死を目的とする「敵」の陰謀だった。
インパール作戦の犠牲となった日本兵が眠る「白骨街道」へ突入班は向かう。
機龍警察シリーズ第6弾。

2021年このミス3位、文春7位

~感想~
前作「狼眼殺手」はシリーズ初のロボットバトル無しという異例の展開だったが、本作も早々に突入班が龍騎兵から離され遠くミャンマーへと出向させられてしまうが、心配は無用。前作で休んだ分、二作分の激しいロボットバトルが繰り広げられる。
もっと熱いのは白兵戦で、突入班の3人がパーティーを組み同じ戦場でサバイバルするのだからたまらない。特に死神の異名を取るライザの無双ぶりは期待以上のものとなるだろう。
当然このシリーズがそれだけで留まるはずはなく、日本国内では「敵」の正体を探るべく警察の地道な調査が行われ、大きな陰謀へと巻き込まれていく。それに加えてあるミステリ的な展開や仕掛けがいくつも絡んでくるのだからすさまじい。
いつもながらの、と言ってしまえるのが本当に空恐ろしい、いつもながらのSF・ロボットバトル・警察捜査にさらに白兵戦・サバイバル・陰謀を上乗せした贅沢な最新作だった。

ところで特に具体的な年代を示す描写が無かった(と思う)ため舞台を近未来と思っていたが、年代自体は現実世界と同じで、科学技術だけが数十年先を行っている、ちょっと珍しい趣向だと今さらながらに気づいた。(※長いこと読んでるので今さら思い出しただけかもしれない)


21.9.7
評価:★★★★ 8



ビタートラップ
   


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脱北航路
   


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香港警察東京分室
   


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半暮刻
     


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対決
     


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虚の伽藍
     


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おぼろ迷宮
     


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普通の底
     


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地上の楽園
     


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