門前 典之


屍の命題
死の命題 改題
   


~あらすじ~
とある湖畔の別荘に招かれた6人の男女。数年前に遭難して行方不明となった教授の遺志を受け継ぎ、夫人の手で落成されたその館で、一人また一人と殺されて行き、そして誰もいなくなった。


~感想~
超面白かった! と小学生並みの感想を書いて終わりにしたくなる快作、いや怪作。
冒頭には読者への挑戦状が付されヒントとして「そして、誰もいなくなった」「バラバラな殺人方法」「蘇る死者?」等々のネタバレが過ぎるようなことが書かれているが、このくらいは手の内を明かしても一切問題ないという作者の自信の表れで、さらには本文中にも大きな伏線には丁寧にも傍点が付けられ否が応でも目を引かれるが、読者はどれだけ身構えてもこの強烈な真相にたどり着くのは容易ではあるまい。

内容は「やべえ教授が建てた洋館が雪の山荘で連続殺人のギロチンは足跡のない密室」といったコード型本格に、バカトリックの連打が詰め込まれたエンタテインメント性あふれるもので、特に読者への挑戦状の次に挟まれた「巨大なカブトムシの亡霊」と「遭難した男?と湖に現れる天女」を描いた断章は、その真相が明かされるや度肝を抜かれるとともに爆笑必至。
読んだ人はみんな一様に「カブトムシは笑った」と絶賛しているがこんなの笑うに決まってるわ!

その他にも二人の人物に手記を書かせて、後発の名探偵の捜査を助けさせる趣向、冒頭の挑戦状で上げに上げたハードルを飛び越えつつ貫くフェアプレイ精神、被害者たちをつなぐ豪快なミッシングリンクに、最後の最後に現れる悪魔的真相と、かの小島正樹をも凌駕するやりすぎなほどのトリックとアイデアが満載。

「ガタッ、ガタッ!」「ガシャーン!!」「グゥワシャーン!!」とか擬音をそのまま書いてしまったり、「シュッーン!」「ギジッ、ギッキュー」といった凝りすぎててなんの擬音だかわからない謎の音(※ギロチンの音)や「ヒューゥ」「ハ、ハ、ハ」「オーケー!」とかの脱力する感嘆符に、全てが解決した後にすげえどうでもいいコズミック的仕掛けが現れるあたりはダメミス感を漂わせるが、これだけやってくれればそんな些細な瑕疵など少しも気にならず、読み終えたミステリファンを童心に帰らせ、超面白かった! と言わせずにはいられない本格ミステリの娯楽大作である。


17.10.30
評価:★★★★☆ 9



建築屍材
     


~あらすじ~
建設途中のビル内でホームレスが発見したバラバラ死体。3人が21個のパーツに分解され、しかも大きさを揃えラベリングまでされていた。しかし通報を受けた警察の捜査では死体は見つからず……。

2001年鮎川哲也賞


~感想~
作者が受賞の言葉で「乱暴な言い方ですが、奇想の世界を構築するためなら、他の要素を犠牲にしても構わないとさえ考えています。その考えの善し悪しは別にして、限られた時間をそれだけに固執した作家がひとりぐらいいてもいいのではないか、とも考えています」と述べている通り、他のいろいろなものを犠牲にして召喚された悪魔的発想の映える作品。

建築会社勤務の経験を活かし、ビル建設のいろはからセメントの加工工程まで、専門用語が飛び交う会話は、理解できないことはないが煩雑で、うんざりしてくることは否めない。
後半に起こる足跡のない殺人に至っては、こちらの読解力にも問題があるにしろ、平面図付きで解説されてもほとんど理解できず、トリックも真相もどうでもよくなってしまった。

だがメインとなる人間消失と死体消失の謎は、建設途中のビルならではの、この作者にしか書き得ないトリックで、理解しやすくインパクトのある真相でもあり、大きく評価できる。最後にまたもひょっこり出てくる清涼院流水にもさすがに笑った。
また古式ゆかしく( )内で描かれる心理描写を除けば、不思議なことに数年後に刊行した「浮遊封館」や「屍の命題」よりも文章がおかしくなく、読みやすいのも良いところ。

強烈な真相といい動機といいカイジばりに悪魔的発想……ッ! と讃えたくなる、一読の価値はあるだろう作品である。


18.1.20
評価:★★☆ 5



浮遊封館
     


~あらすじ~
全国で死体が消える不可解な事件が続発していた。
犠牲者の数が130人分足りない飛行機墜落事故。
監視者の目前で次々人が減っていく宗教団体。
火葬されずに消える身元不明死体。
さまざまな謎がやがて一本に繋がるとき、底知れぬ異形の論理が浮かび上がる。


~感想~
うわあバレバレじゃん。

読者の9割が気づくくらいトリックがバレバレ。
一発ネタと言えばそれまでだが、おぞましい真相はインパクト抜群。しかしその肝心なトリックがあまりにわかりやすい。あからさまなヒントまで出されており、作者には隠す気もないのだろうか。
また鮎川賞から7年越しの受賞後第一作だが、一部は日本語になってないくらい文章が酷いのも珠にきず。
流水大説みたいな大風呂敷と展開、全く必要なさそうな密室にミステリ史上屈指の凶悪トリックと三拍子そろって(?)いるのに、筆力とバレバレのトリックが足をひっぱった。
前評判から期待しすぎたかなあ……。


08.9.1
評価:★★☆ 5



灰王家の怪人
       


未作成



首なし男と踊る生首
       


未作成



エンデンジャード・トリック
     


~あらすじ~
人気旅館の脇に建てられた不釣り合いなキューブハウス。
その周辺で多発する様々な密室事件と、人喰い熊の噂。
迷宮入りした事件の謎に建築探偵・蜘蛛手が挑む。

2020年本ミス10位

~感想~
プロローグからいったい何人の少女が会話しているのかわからない(※たぶん2人)不安定な描写で笑った。
その後もセリフに鼻をすする音が入ったりと別の意味で不安を煽りながら、島田荘司なら雰囲気たっぷりに伝奇的に仕上げるだろう密室事件が概要だけであっさり語られ、あっさり迷宮入りし、あっさり5年後へ。
蜘蛛手と宮村コンビの捜査が始まり、冒頭の目次に書いてあるから言っても構わないだろうが、新キャラ全員が殺される胸熱の展開が待ち構える。
リアルタイムで詳しく書いてるだけで、前半パートと同じくとんとん拍子にテンポ良く人が殺されまくり、あっという間に解決編へ。
読者への挑戦状もあるが、その書きぶりと、途中であからさまに不自然だったパートから逆に犯人がわかる大ヒントになっており、そっちのトリックはいささか残念だったものの、この作者に期待する方のトリックは抜群で、一読の価値はあるだろう。
とはいえすごく良く出来てるところとものすごく雑なところが混在しており、ネタバレにはならないと思うが終盤に出てくる「闇医師界ではよくあること」というパワーワードが、この作品の強引な力業さ加減と良い意味悪い意味両面での適当さを象徴していると思う。
「闇医師界ではよくあること」で本格ミステリの顛末を済ませるな。というか闇医師界を現実のものとして出すなw

作者は2001年に鮎川哲也賞を受賞した際に「乱暴な言い方ですが、奇想の世界を構築するためなら、他の要素を犠牲にしても構わないとさえ考えています。その考えの善し悪しは別にして、限られた時間をそれだけに固執した作家がひとりぐらいいてもいいのではないか、とも考えています」と述べているが、その姿勢に1ミリたりともブレはなく、この心意気と時に垣間見せる思わず笑ってしまうような大仕掛けこそが魅力であり、今後も応援していきたくなる。

また意味深だが本編には一切出てこないタイトルだが、多くの人が指摘する通り、やはり2020年に今さらアレやコレをメインに引っ張ってきたことこそが「エンデンジャード(絶滅危惧)トリック」なのだろうと思うし、その意気や良しと大いに買いたい。


21.1.13
評価:★★★ 6



卵の中の刺殺体
世界最小の密室
       


未作成



友が消えた夏
終わらない探偵物語
     


~あらすじ~
大学演劇部の強化合宿で起こった連続殺人事件。その詳細な記録が連続窃盗犯オクトパスマンの所持品から見つかった。
事件は現場の状況からいちおうの決着を見ており、オクトパスマンも犯行を否定していた。
記録を入手した宮村は一級建築士にして名探偵の相棒・蜘蛛手に推理を持ちかける。


~感想~
帯に「三冊分のトリックが詰めこまれた」とある通り盛りだくさんの意欲作。
この作者に期待する豪快なバカトリック…奇想こそ控えめなものの、門前作品で最も凝った構成で、過去の強化合宿中の連続殺人とタクシー誘拐事件、現在の蜘蛛手・宮村の推理が同時進行で描かれ、期待通りにそれらが交錯する。
ある大トリックこそ(門前作品を読むような読者なら)早い段階で見抜けてしまうだろうが、それも作者は織り込み済みで、その先に何重もの仕掛けが施されているので心配無用。
わりと強引なところや流石に無茶な点は多々あるものの、これまでの門前作品の無茶さと比べれば十分に許容範囲であり、伏線の豊富さと丁寧さも格段に上。
さらに意味深なタイトルに(これもすさまじく強引だが)繋がる展開も面白く、門前典之ファンなら迷うことなく読むべきなのはもちろん、今回はお求めやすい文庫版で、シリーズ作品だがこれから読んでもさほど問題ないし、本格ミステリファンには気軽に触れて欲しい良作である。


23.2.24
評価:★★★☆ 7



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