山口 雅也


生ける屍の死
     


~あらすじ~
ニューイングランドの片田舎で死者が相次いで蘇った!
この怪現象の中、霊園経営者一族に殺人者の魔の手が伸びる。
死んだはずの人間が生き返ってくる状況下で展開される殺人に必然性はあるのか?
自らも死者となったことを隠しつつ事件を追うパンク探偵グリンは、
肉体が崩壊するまでに真相を手に入れることができるのか。

本格ミステリ・ベスト100 1位、このミス8位


~感想~
とにかく贅沢。トリック・論理・プロット・心理・会話・テンポ・比喩・ダブルミーニング……すべてが超一流の結実。
スラップスティックさながらの展開・描写はミステリとしてだけではなく、小説としてもとにかく面白い。
『本格ミステリベスト100』や『このミス』の十年間のベストワンに選ばれていることも実に納得させられる、大傑作。
“死者”がよみがえる世界でなされる、あまりにも無意味な“殺人”の真意とは?


99.2.28
評価:★★★★★ 10



キッド・ピストルズの冒瀆
   


~収録作品~
「むしゃむしゃ、ごくごく」殺人事件
カバは忘れない
曲がった犯罪
パンキー・レゲエ殺人
なぜ駒鳥を殺したのか?

本格ミステリ・ベスト100 24位、このミス8位


~感想~
『「むしゃむしゃ、ごくごく」殺人事件』
周到な伏線、軽妙な展開。正統派の快作。

『カバは忘れない』
倒錯したダイイングメッセージに拍手。

『曲がった犯罪』
巧緻にして精緻。張りめぐらされた伏線が、軽快なスラップスティックに乗せられ踊る。

『パンキー・レゲエ殺人(マーダー)』
トリックはちょっとベタぎみも、軽妙な語り口とあふれる奇想で読ませる。

『なぜ駒鳥を殺したのか?』
ミステリへの愛情がにじみ出る好エッセイ。


~総括~
序文まで改訂するプロ意識、というかサービス精神がさすが。
世界初のマザー・グースミステリは絶好のスタートを切った。


99.7.12
評価:★★★☆ 7



13人目の探偵士


~あらすじ~
舞台は、フィクションの名探偵たちが実在する“パラレル英国”。
名探偵ばかりを狙う殺人鬼“猫”が人々を恐怖に陥れていた。
密室・ダイイング・メッセージ・アリバイ破り・ハードボイルド・サスペンス・パロディなどなど
ミステリのあらゆる要素が大集結!
とどめにパンクス刑事まで登場して事件は混迷を極め……。

このミス11位


~感想~
史上初(?)空前絶後(?)のゲームブック型本格ミステリ。
ゲームブックとしての特性を余すところなく活かしきった、3つの解決と3つの破綻。
トリックの巧みさと展開のうまさ。なにより、それほど長くはない物語をここまで豪勢に飾りたてた手腕に脱帽。
これまた傑作。


99.6.29
評価:★★★★☆ 9



キッド・ピストルズの妄想
   


~収録作品~
神なき塔
ノアの最後の航海
永劫の庭

本格ミステリ・ベスト100 32位、日本推理作家協会賞候補、このミス2位、文春8位


~感想~
『神なき塔』
思考は狂気すれすれに突飛。だからこその“妄想”。短編ミステリ史上最高峰の大傑作!

『ノアの最後の航海』
↑の次に並ぶとどうしても見劣りしてしまう。並ばなくてもいまいちか。

『永劫の庭』
宝探し譚の楽しさ、手がかりの巧みな配置、ともに見事。講釈が長すぎるのが難。


~総括~
あまりに恣意的、形而上学的な内容ながら、プロットの妙とストーリーテリングのうまさで読ませる。
のだが、面白味には少々欠け、読み終わるとどっと疲れる。いかにも笠井潔氏が褒めそうな作品w


00.6.12
評価:★★★ 6



日本殺人事件
 


~収録作品~
微笑と死と
侘の密室
不思議の国のアリンス

本格ミステリ・ベスト100 50位、日本推理作家協会賞、このミス15位


~感想~
日本推理作家協会賞受賞作。だが、「これで受賞作?」と首をかしげた。
“この世界でしか起こりえない犯罪をこの世界でしかありえない論理で解く”ことを評価されたのなら、本作よりも同氏の『マザーグース・ミステリ』や『生ける屍の死』、西澤保彦氏の諸作には全くおよばないのに。
雰囲気、ユーモアは良好で、読んで損はしないのだが、受賞作という肩書きがあまりに余分。


99.8.30
評価:★★☆ 5



ミステリーズ
 


~収録作品~
密室症候群
禍なるかな、いま笑う死者よ
いいニュース、悪いニュース
音のかたち
解決ドミノ倒し
「あなたが目撃者です」
「私が犯人だ」
蒐集の鬼
《世界劇場》の鼓動
不在のお茶会

本格ミステリ・ベスト100 43位、このミス1位、文春4位


~感想~
まるで実験的にものされたような、不敵にして大胆な試みがなされまくっている。
ふぞろいでいながら、しかし“完璧なる短編集”の名に恥じない。
私見だが、なにからなにまで実に、実に山口雅也らしい作品ばかり。オススメはできないが、ぜひご一読を。


99.4.14
評価:★★★★ 8



キッド・ピストルズの慢心
 


~収録作品~
キッド・ピストルズの慢心
靴の中の死体
さらわれた幽霊
執事の血
ピンク・ベラドンナの改心

このミス14位


~感想~
『キッド・ピストルズの慢心』
なんだこの結末は。なさけない真相にげんなり。

『靴の中の死体』
細部にわたって練られた細工はいいのに……。(ネタバレ→)
この手の足跡トリックはやめてほしい。向きなんて当然調査されているものとして考えるっての。

『さらわれた幽霊』
見事な逆転が冴える良作。たしかに解説の言うとおり、ちょっと味気ないが……。(やはり解説は作品のマイナス面を述べるべきではないとの個人的信念を新たに)

『執事の血』
メイントリックは見抜きやすいが、それだけで終わらせず逆転を仕込むのがさすが。

『ピンク・ベラドンナの改心』
堅牢な構造は氏の本領発揮か。資料を参照していないのがそら恐ろしい。


~総括~
全体の印象が悪いのに、一編ずつ見ると実に良作ぞろい。巻頭の一編が(僕には)あまりにも合わなすぎた。
いまさらだが(ネタバレ→)
ピンク=チェシャ?


01.3.13
評価:★★★☆ 7



垂里冴子のお見合いと推理
 


~収録作品~
十三回目の不吉なお見合い
海に消ゆ
空美の改心
冴子の運命


~感想~
各作品とも、短編よりも中編で読みたかった。
せっかく謎も解決も見事なのに、あっさりしすぎて「え? もう終わり?」と物足りなく思うことがしばしば。


00.10.11
評価:★★★ 6



續・日本殺人事件
 


~あらすじ~
憧れの日本で、念願の探偵事務所を開業したトウキョー・サム。
記念すべき最初の依頼人は、死霊におびえるリキシ。サムは調査に乗り出したが、事態は予想もしない展開を見せ……。
スモウ・レスラー連続殺人事件「巨人の国のガリヴァー」と、ウンスイの怪死を契機に勃発する極限の論理対決「実在の船」を収録。


~感想~
パラレルワールドでの異様な論理を得意とする作者だが、収録作はどちらも論理を飛ばしすぎてしまい、ついていけない部分が多い。
特に「実在の船」は冒頭からして京極夏彦「鉄鼠の檻」のパロディだが、それにしても公案やその解釈など「鉄鼠の檻」とかぶりすぎで、これでは「鉄鼠」を読めば本作は読まなくてもいいのでは、と思わせる有様。結末にいたっては論理のための論理をこねくり回して読者置いてけぼりで、勝手にやっとれと本を投げ出したくなる。
きっと頭のおよろしい人には面白く読めるんじゃないでしょうか。


10.8.4
評価:☆ 1



マニアックス
 


~収録作品~
孤独の島の島
モルグ氏の素晴らしきクリスマス・イヴ
《次号につづく》
女優志願
エド・ウッドの主題による変奏曲
割れた卵のような
人形の館の館


~感想~
『ミステリーズ』の続編的作品集に位置づけられながら、しかし前作には全くおよばない。
消化不良な結末と華麗な着地が約半々。十二分に楽しめはするのだが……。


01.2.19
評価:★★★ 6



続・垂里冴子のお見合いと推理
 


~収録作品~
湯煙のごとき事件
薫は香を以て
動く七福神
靴男と象の靴


~感想~
暴言吐きます。
えっと……こんなに寒かったっけ? ギャグの数々に「無理してる感」がただよい、鳥肌が立つこともたびたび。
会話や比喩が面白かった覚えの濃い前作を怖くて読み返せなくなるほど、寒い。
作品自体も専門知識のオンパレードなどアンフェアに過ぎ、楽しめなかった。


03.11.11
評価:★ 2



奇偶


~あらすじ~
アメリカを襲った同時多発テロ発生の夜、推理作家の火渡雅は、
取材のため訪れたカジノで、福助と名乗る異様なまでの強運に恵まれた男を目撃した。
翌日、火渡はダイスのかたちをした巨大な電飾看板が落下し、通行人が圧死する現場に遭遇する。
犠牲者は前夜、福助との勝負で負けつづけていた男だった。
それをきっかけに火渡の周辺で、ありえないような偶然が頻発する。

このミス3位、文春4位、本ミス8位


~感想~
(ネタバレぎみ→)
「神の名は……」に収束する展開はとにかく見事。衒学づくしを退屈させないのは氏の面目躍如といったところ。しかし……。サイコロすなわち箱の物語を『匣』で締められては食い足りない。あまりにも無意味な叙述トリック。不定の結末。こんな物語は望んでいなかった。 「まさかあれかなあ」と危ぶんでいたトリックがずばり的中で物悲しい。引っぱるだけ引っぱった分量に見合う真相・結末とはとても思えない。はっきり言って期待はずれ。


02.11.30
評価:★★★ 6



PLAY プレイ
 


~収録作品~
ぬいのファミリー
蛇と梯子
黄昏時に鬼たちは
ゲームの終わり/始まり


~感想~
山口雅也による世にも奇妙な物語といったところ。
冒頭の「ぬいのファミリー」からしてなんらひねりのない作品で、がっかりしたところでつづく「蛇と梯子」も映画「ジュマンジ」を思わせる新味のない小品。
本格ミステリとして出色の「黄昏時に鬼たちは」はアンソロジーで読了済み、ラストの「ゲームの終わり/始まり」もこれまた「世にきも」テイストの話にありきたりの結末をつけただけ。
15分ドラマならともかく、あの山口雅也の短編でこれでは……。


08.10.17
評価:★☆ 3



チャット隠れ鬼
   


チャットルームを舞台に山口雅也が描く21世紀ミステリ。
異例の横組み。

~あらすじ~
ネット上の自警団「サイバー・エンジェル」の候補に選ばれた国語教師の祭戸は、チャットで知り合ったJezebel-Pと名乗る主婦との会話に夢中になる。
しかし祭戸は次第に彼女に疑念を抱きだし……。


~感想~
設定だけで展開・オチに予想が付いてしまうのはしかたないか。
伏線の張り方はそつないが、山口雅也ならではの味はほとんど感じられない。
いつか誰かが書いただろうという、予想の範疇を越えられなかった。
肝心の(?)チャットでの会話も、伏線と関係ない部分の会話はあまりに内容がなく、顔文字の多用、無軌道な展開など、いかにもチャットを知らない人間が書いた感じになってしまっている。
もうちょっと会話に目的あるって。
まあ読んで退屈も損もしないが、コストパフォーマンスはいまいち。薄いし。


評価:★★☆ 5



古城駅の奥の奥
ステーションの奥の奥 改題
 


~あらすじ~
小学六年生の陽太と、変わり者の叔父・夜之介。大改築される東京駅を夏休みの自由研究のテーマに選んだ二人は、駅構内にある幻の霊安室で、血まみれの切断死体を発見してしまう。さらに宿泊していたステーション・ホテルの一室でも、奇妙な密室事件が起こる。迷宮のごとき東京駅に潜んでいるものはいったいなんなのか……。


~感想~
密室事件が起きた時点で「こういう方向に飛んだら嫌だなあ」と思った方向に飛んでいった。
トンデモ要素と硬質な推理が同居した作品で、ジュヴナイルながら本格ミステリとして妥協しないのはさすが山口雅也といったところ。
トリック自体は子供向けとあって簡易に済ませ、突飛な方向に飛ぶ物語や、事件やトリックよりもむしろその物語の飛躍のほうに伏線を凝らし、驚きは少ないが豊富かつさりげない伏線の数々には感心させられるだろう。
ジュヴナイルとしていたって正しい少年の成長と自立も描き、きっちりとまとめ上げた、このレーベルの理念(かつて子どもだったあなた(大人)と少年少女のための本)にふさわしい佳作である。


10.1.31
評価:★★☆ 5



山口雅也の本格ミステリ・アンソロジー
     


未作成



モンスターズ
   


未作成



キッド・ピストルズの最低の帰還
     


未作成



垂里冴子のお見合いと推理 vol.3
新・垂里冴子のお見合いと推理 改題
     


未作成



キツド・ピストルズの醜態
     


未作成



狩場最悪の航海記
     


未作成



謎の謎その他の謎
     


未作成



落語魅捨理全集 坊主の愉しみ
       


未作成



ミッドナイツ 《狂騒の八〇年代》作品集成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成



未作成
       


未作成

目次へ