山本 巧次


大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう
     


~あらすじ~
長屋に住む謎めいた美女おゆう。その正体は現代の東京に住まう関口優佳。
彼女はタイムスリップして江戸と現代を行き来し、現代テクノロジーで事件捜査に当たっていた。

2015年このミス大賞隠し玉


~感想~
作者のデビュー作だが、新人賞の応募時点でこのまますぐ出版できると太鼓判を押され、しかも容易にシリーズ化できるからあえて大賞ではなく隠し玉(次点)で出されたという破格の経緯で、目論見通りにシリーズは11作を数えドラマ化も果たした。
読めば納得の面白さで、タイムスリップは制約なしに自由、肝の科学捜査も「何も詮索しない分析オタクの知り合いがいる」という一点突破で強引に突き進める。
江戸の事件を指紋や盗聴器や成分分析で捜査するのが単純に面白く、異世界転生・チート物の要素も強くこのアイデアを思いついた時点で勝利確定である。
さらに事件自体も二転三転して裏の裏があり、脇を八丁堀のイケメン岡っ引きとの恋愛要素で固め、いくらなんでも都合の良すぎる分析オタクも早々に…と徹底して盤石の布陣を敷いており、作者の筆の上手さが光る。

唯一、講評で「最後に明かされる真相が蛇足」と言われていたが、ミステリにおいてサービス精神等でやりすぎることはあっても蛇足はそうそう無いはずと思っていたら、仰る通り完全に蛇足なのは笑った。
今後のシリーズ展開で必要にはなるのだろうが本作の時点ではマジでいらなかったよね…。


24.11.5
評価:★★★ 6



開化鐵道探偵
     


~あらすじ~
明治12年。鉄道局長の井上勝は、初めて日本人の独力で工事に挑む逢坂山トンネルで相次ぐ、妨害工作とも取れる不審な事件に頭を悩ませ、元八丁堀同心の草壁賢吾に調査を依頼。
草壁は技手見習の小野寺乙松を助手に付けられ、現場に到着した早々に、工事関係者が電車から転落死したと聞かされる。

2017年このミス10位


~感想~
面白かったしすごく良くできているが、いかんせん地味。超地味。どのくらい地味かと言うと話の筋を明日には忘れそうなレベルで、正直これがこのミス10位にランクインしたのはものすごい奇蹟だと思う。
え。マジで10位なの? なんで? 2017年だよね? このミスにいったい何があったんだ……。

改めて言うが完成度は高い。八丁堀同心を主人公にした時代ミステリでデビューした著者が、現在も鉄道会社に勤務しているという経験を活かし、元同心を探偵役に日本の鉄道黎明期を描いたのだから、面白くなるに決まっているではないか。
が、地味なのだ。超地味なのだ。
探偵は典型的なもったいつけで、初めからわかっていた真相を最後の最後まで明かそうとしない。捜査の過程も地道に地味に描かれ、探偵が天啓を得るような目を見張る伏線も少ない。
犯人も地味。超地味。地味な犯人ランキングを作成したらベスト5に入ることは疑いなく、もし1年後に再読したらこいつが犯人だと指摘できる自信が全く無いレベル。
井上勝や藤田伝三郎といった実在の偉人を配し、史実を下敷きにしておきながら物語がかつてないほどに地味なのも珍しい。

再三言うが話自体はすごく良く出来ているのだ。明治期のトンネル工事の実態はだいぶ想像が入っているそうだが、時代背景や情勢も興味深い。
キャラも魅力的で、悪人サイドを除くとほぼ全員が水滸伝か何かに出てきそうな一癖ある好漢ぞろいで、もったいつけ探偵とぼんくら助手のコンビも悪くない。
これだけ物語を読ませる力があれば、ミステリ的に見どころのあるトリックやプロットさえ付いてくれば、いつかとんでもない傑作を書き上げる可能性は非常に高いと思う。

そうした期待値込みで10位に上げられたのかとも思うが、ここ4年のこのミス10位といえば「異次元の館の殺人」、「オルゴーリェンヌ」、「ジェリーフィッシュは凍らない」とインパクトのある作品が続いており、そこに本作が並ぶとなると、いくら「ルビンの壺が割れナントカ」がランクイン候補に挙げられたほど不作の年とはいえ、やはり首を傾げたくなるばかりである。我々は一つの奇蹟を目にしたのかも知れない。


18.3.23
評価:★★☆ 5



開化鐵道探偵 第一〇二列車の謎
     


~あらすじ~
明治18年、大宮駅で脱線事故が起こり、車内から千両箱が発見される。
小判は小栗上野介の隠し財宝なのか? 脱線事故の下手人は?
井上勝鉄道局長は、元八丁堀同心の草壁と鉄道局員の小野寺に再び捜査を命じる。
開化鐡道探偵シリーズ第二弾。


~感想~
前作も良く出来てはいたもののこれがなぜ2017年にこのミス10位にという驚異的な地味さだったが、本作はそれに輪を掛けて地味。超地味。正直言ってミステリ的には自分には何をどう楽しめばいいのか見当もつかない。
扶桑社の昭和ミステリ秘宝でももう少し派手だと思うくらい地味で、ワトスン妻の綾子の活躍も某月輪龍太郎夫人と比べては余りに地味でキャラも薄い。それはまだしも真相も「ドキッ!丸ごと脇役!モブだらけのオリエント急行」みたいな真相ではっきり言ってどうでもいい。

まかり間違っても今回こそはこのミスにランクインすることはないだろうが、ちょっと真剣にミステリとしてどこをどう楽しめばいいのか識者に伺いたいくらいである。鉄道とか時代背景とかはまあそれなりに楽しめたが、たとえば読んで一週間後に読者へ犯人が誰だったか聞いたら、正解できるのは半数に満たないだろうと思えるほどで、まさか第二作でミステリとして前作を大幅に下回って来るとは思わなんだ。
作者の鉄道愛はもう十分に伝わったので、次回はもうちょっと事件と解決の方にも注力してもらいたいものである。


19.4.9
評価:★ 2



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