



〇四一 北へ
并州(へいしゅう)
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「逆賊め! この馬超の正義に熱く燃える槍を受け止められると思ったか!」 |
| 馬超 (ばちょう) |
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「ぐおわああああっ!!」 |
| 郭援 (かくえん) |
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「若、お見事だ」 |
| 龐徳 (ほうとく) |
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「フン、呂布の再来などと言うからどれほどの物か楽しみにしていたが、ただの雑魚であったぞ。 これでは呂布も噂ほどではないな!」 |
| 馬超 (ばちょう) |
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(郭援が噂ほどではなかっただけだろうな) |
| 杜畿 (とき) |
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「この勢いをかって袁煕、袁尚の首を挙げる! ついて参れ!」 |
| 馬超 (ばちょう) |
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「いいえ若、それは曹操の役目だ。我らの働きは郭援を討つだけで十分。 そうだろう杜畿殿?」 |
| 龐徳 (ほうとく) |
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「んー。まあ、そりゃそうだな」 |
| 杜畿 (とき) |
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「なんと歯がゆいことだ! 中途半端にしか戦えず馬超の槍は哭いているぞ!」 |
| 馬超 (ばちょう) |
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(あれだけ出陣を渋っていたのに、それにしてもこの男ノリノリですね。 ――馬騰が退き、馬超の代になった時、彼が我々に従うのか、今から不安ですね……) |
| 張既 (ちょうき) |
青州(せいしゅう)
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「ま、待て! 見逃してくれれば褒美を与えるぞ。悪い話じゃないだろう? なあ?」 |
| 袁譚 (えんたん) |
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「見苦しいなアンタ。死んどけよ」 |
| 曹純 (そうじゅん) |
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「ぎゃあああああっ!!!」 |
| 袁譚 (えんたん) |
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「袁譚は討ち取った! 命が惜しい奴は降伏しな!」 |
| 曹純 (そうじゅん) |
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「こ、こ、こ、降伏しよう! 私は今すぐ降伏するぞ! 降伏するとも!」 |
| 郭図 (かくと) |
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「アンタはもっと見苦しいな。殺してえとこだけど、降伏する奴を斬るのも――」 |
| 曹純 (そうじゅん) |
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「うぎぇぇぇぇぇっ!!」 |
| 郭図 (かくと) |
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「なんと見苦しい男だ! 地獄に落ちるがいい!!」 |
| 臧覇 (ぞうは) |
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「………………」 |
| 曹純 (そうじゅん) |
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「ん? どうかしたか曹純?」 |
| 臧覇 (ぞうは) |
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「いや。手間が省けた」 |
| 曹純 (そうじゅん) |
幽州(ゆうしゅう)
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焦触
|
沮鵠
|
袁熙の家臣 |
沮授の息子 |
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「………………」 |
| 袁煕 (えんき) |
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「兄ちゃんしっかりしろ! 郭援も袁譚のバカ兄貴も殺されて、曹操軍が迫ってるんだ!」 |
| 袁尚 (えんしょう) |
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「わ、私の、必勝の策が、あっさりと……」 |
| 袁煕 (えんき) |
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「兄ちゃん! 次の策は!? なんもないの!? マジで!?」 |
| 袁尚 (えんしょう) |
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「……どうやらここらが潮時だな。俺は曹操に降るから、後はよろしく」 |
焦触
|
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「な!? こ、この薄情者め! お前なんかこっちから願い下げだバーカバーカ! ええい、呂曠(りょこう)! 呂翔(りょしょう)! 兄ちゃんをつれてオレたちも逃げるぞ!」 |
| 袁尚 (えんしょう) |
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「………………」 |
| 袁煕 (えんき) |
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「…………あ、あれ? 呂曠? 呂翔? ま、まさかあいつらも寝返ったのか!? くそう! どうすりゃいいんだ!?」 |
| 袁尚 (えんしょう) |
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「閣下! 曹操軍はもはや目の前です。一刻も早くお逃げください!」 |
沮鵠
|
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「に、逃げたいのはやまやまだけど、兄ちゃんがこんな状態でどうすりゃ――」」 |
| 袁尚 (えんしょう) |
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「………………蹋頓(とうとん)」 |
| 袁煕 (えんき) |
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「え?」 |
| 袁尚 (えんしょう) |
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「蹋頓。キット、守ッテ、クレル」 |
| 袁煕 (えんき) |
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「烏丸(うがん)族の王の蹋頓を頼ればいいんだね? わかった、蹋頓の所へ逃げよう。 まさか曹操も万里の長城を越えてまで追ってこないもんね……」 |
| 袁尚 (えんしょう) |
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「ヒャッハー! 袁尚ちゃん、年貢の納め時でちゅよーwwwww」 |
| 許攸 (きょゆう) |
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「許攸か! 裏切り者がよくもおめおめと顔を出せたものだな!」 |
沮鵠
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「裏切り者? なにそれおいしい? そーら、ぼくがかんがえた超人たちよ! 袁尚たちを皆殺しにしちゃいなちゃ~~いwwwww」 |
| 許攸 (きょゆう) |
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「………………」 |
沮鵠
|
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「………………あ、あれ? み、みんなどこに行ったのかな? かな?」 |
| 許攸 (きょゆう) |
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「……どうやらその性格のおかげで、曹操軍の中でも嫌われていたようだな。 年貢の納め時はお前のほうだ!」 |
沮鵠
|
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「なん……だ……と? ち、ちょっと待って! タンマ! ちょwwww 痛いwwww 死ぬこれwwwww つか死んだwwwww」 |
| 許攸 (きょゆう) |
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「七三バカの始末は済んだか? ご苦労だったな。お礼に皆殺しにしてやろう!」 |
| 許褚 (きょちょ) |
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「閣下! ここは俺が引き受けます!」 |
沮鵠
|
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「……お前の閣下とやらはとうの昔に逃げ去ったようだぞ」 |
| 許褚 (きょちょ) |
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「そうか。それはよかった。ならば後は、父と同じように主君に殉じるだけだ。行くぞ!」 |
沮鵠
|
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「いい覚悟だ! 来い!」 |
| 許褚 (きょちょ) |
幽州
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『袁煕、袁尚は万里の長城を越え、烏丸(うがん)族のもとへ落ち延びたようです』 |
呂曠
|
呂翔
|
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「袁熙は烏丸王の蹋頓とは以前から交流を結んでいた。 追い詰められてなりふり構わず異民族を頼ったのだろう」 |
焦触
|
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「長城の向こう側か。それはまた随分と遠くまで逃げたものだね」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「ひっひっひっ。それだけ殿が怖いんじゃろう」 |
| 程昱 (ていいく) |
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「もう中華の大地へ戻ってくることはないだろう。我々も引き上げようぞ」 |
| 王朗 (おうろう) |
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「うん? 王朗君は一足先に帰りたいのかい? それじゃあ誰かに送らせてあげるよ」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「え? と、殿は引き上げないのですか?」 |
| 王朗 (おうろう) |
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「もちろん。ここまで来て袁煕君たちの顔も見ないで帰れるもんか。 それに烏丸族にも挨拶しておかないとね」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「し、秦の始皇帝でさえ万里の長城を築き、それより北へと行こうとはしなかった……。 そ、それなのに殿は……」 |
| 王朗 (おうろう) |
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「簡単な話だ。我が殿は始皇帝よりも上だということだ。 万里の長城など越えるべき壁にすぎぬ」 |
| 賈詡 (かく) |
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「さすが、始皇帝より上らしい僕を殺そうとした賈詡君は良いことを言うね」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「ぐ」 |
| 賈詡 (かく) |
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「おっ。聞いたか諸君? 賈詡君が絶句したよ。これは珍しい。 これだけでもはるばる北までやって来た甲斐があったね」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「烏丸族と戦うならば、情報が必要です。 黒山賊が交流を結んでいたはずですから、つれて参りましょう」 |
| 荀攸 (じゅんゆう) |
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「――ああ、蹋頓なら知っている。敵に回したら手強い相手だ」 |
| 張燕 (ちょうえん) |
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「勝算はあるのか?」 |
| 劉曄 (りゅうよう) |
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「奴らは険しい山岳地帯を、まるで平地のように騎馬で疾走できる。 まずは足止めすることが肝心だ。その役目は我々に任せてもらおう。 なに、交流があったといっても経済的な理由でだ。遠慮をするつもりはない」 |
| 張燕 (ちょうえん) |
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「あの蹋頓が相手とはヒゲが鳴るわ!」 |
左髭丈八
|
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「ガオォォォーーーーン!!」 |
| 張雷公 (ちょうらいこう) |
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「み、耳が……」 |
| 張繍 (ちょうしゅう) |
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「ふむ、頼もしい限りだね。それじゃあ先陣は張燕君たちにお願いするとしよう」 |
| 曹操 (そうそう) |
烏丸
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| 蹋頓 (とうとん) |
閻柔 (えんじゅう) |
烏丸族の王 |
北の放浪者 |
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「むうううん!!」 |
| 蹋頓 (とうとん) |
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「ぐああああっ!」 |
左髭丈八
|
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「うおおりゃああああ!!」 |
| 蹋頓 (とうとん) |
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「うおおおおおおぉぉぉん!」 |
| 張雷公 (ちょうらいこう) |
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「な、なんという男だ! あ、あの二人をあっさり片付けてしまうとは……ッ!?」 |
| 張燕 (ちょうえん) |
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「次はお前か!」 |
| 蹋頓 (とうとん) |
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「ここで死ぬわけにはいかん! 退け! 退けーい!」 |
| 張燕 (ちょうえん) |
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「逃がすかあッ!!」 |
| 蹋頓 (とうとん) |
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「待てい!」 |
| ?? (??) |
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「!?」 |
| 蹋頓 (とうとん) |
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「文化の光届かぬ北の果て、恐れを知らぬ男あり。 人それを野蛮と言う」 |
| ?? (??) |
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「何者だてめえ!」 |
| 蹋頓 (とうとん) |
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「お前たちに名乗る名はない! サンライズボンバー!」 |
| 張郃 (ちょうこう) |
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「一人で突っ走るな張郃!」 |
| 高覧 (こうらん) |
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「俺様の鉄鎖を喰らえ仮面野郎!」 |
| 蹋頓 (とうとん) |
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「ぐっ! なんという重い一撃だ……」 |
| 張郃 (ちょうこう) |
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「敵はそいつだけではない、囲まれるぞ!」 |
| 高覧 (こうらん) |
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「もう遅い。包囲は成ったぞ。行け!」 |
| 蹋頓 (とうとん) |
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「張郃君たちを殺させはしないよ。合図を送りたまえ」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「突撃の合図だ! ヤローども蹋頓の背後を襲え!」 |
| 張遼 (ちょうりょう) |
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「ほほう。包囲されたのは俺様の方だったか。 ならばこれ以上の戦いは無用。退くぞ!」 |
| 蹋頓 (とうとん) |
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「チッ! マジで丘をものともせずに騎馬で駆け上がりやがる。とても追いつけねーぞ」 |
| 張遼 (ちょうりょう) |
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「話には聞いていたが、見ると聞くとでは大違いだね。あれでは張遼君でも追いつけはしない。 しかたない、策を練り直して――」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「殿! あ、あれを!」 |
| 荀攸 (じゅんゆう) |
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「…………」 |
| 郭嘉 (かくか) |
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「あ、あいつ蹋頓の真ん前に立ちふさがって何をする気だ?」 |
| 王朗 (おうろう) |
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「やめるんだ郭嘉君!」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「なんだこのヒョロヒョロした男は? 死にたいのか!」 |
| 蹋頓 (とうとん) |
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「…………」 |
| 郭嘉 (かくか) |
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「こ、こいつ丸腰のくせに全く動じていない。何か罠があるのか? ええい、矢を放て!」 |
| 蹋頓 (とうとん) |
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「…………」 |
| 郭嘉 (かくか) |
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(! 矢を何発か浴びても一歩も動かんだと? こ、こいつは人か魔か……。このまま正面から突っ込んでもいいものか……) |
| 蹋頓 (とうとん) |
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「止まったな」 |
| 于禁 (うきん) |
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「ぐわあっ!? こ、この一瞬の迷いが……命取りか……」 |
| 蹋頓 (とうとん) |
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「郭嘉のダンナ! た、たしかに一歩でも動きを止めてくれりゃ、討ち取ってみせるって言ったけどよ。 こんな無茶するとは思ってなかったぜ!」 |
| 于禁 (うきん) |
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「御苦労……」 |
| 郭嘉 (かくか) |
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「お、おいしっかりしろダンナ!」 |
| 于禁 (うきん) |
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「郭嘉君……。早く手当てをするんだ!」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「む。曹操殿、周囲を見られよ。これは……」 |
| 賈詡 (かく) |
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「馬鹿な! 蹋頓の部下は逃げ散ったのにどこからこんな大軍が……」 |
| 曹洪 (そうこう) |
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「これは烏丸の軍だけじゃねえ! 北方の異民族の連合軍だ! こんな混成軍を率いられるヤツといえば、一人しかいねえ……」 |
| 張燕 (ちょうえん) |
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「ご名答。張燕。久しぶり」 |
| 閻柔 (えんじゅう) |
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「やはりお前か! 曹操、この男は閻柔といい、各地の異民族と深いつながりを持つ男だ」 |
| 張燕 (ちょうえん) |
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「君が閻柔君か。名前は常々うかがっているよ。 こんな物騒な大軍をつれていったい何の用かな」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「蹋頓。遺言。預かった。代わり。伝える」 |
| 閻柔 (えんじゅう) |
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「蹋頓の遺言だと? なんだそれは。さっさとしゃべれ!」 |
| 夏侯淵 (かこうえん) |
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「蹋頓。自分の死。予測。だから。自分の首。手土産。曹操。帰れ」 |
| 閻柔 (えんじゅう) |
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「ふむ。烏丸の王である自分の首を差し出すから、それで満足して引き上げろと言うんだね。 しかし僕たちは袁煕君たちを追って、はるばる訪ねてきたんだ。蹋頓君の首をもらっただけでは帰れないよ」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「袁煕。袁尚。いない。追い返した。公孫康(こうそんこう)。逃げた」 |
| 閻柔 (えんじゅう) |
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「袁煕たちは公孫康のもとへと逃げたのじゃな?」 |
| 程昱 (ていいく) |
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「そうか。それならこれ以上の戦いは無意味だね」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「帰れ。早く。さもなくば。包囲。殲滅」 |
| 閻柔 (えんじゅう) |
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「お前、俺たちを脅すつもりか!?」 |
| 曹仁 (そうじん) |
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「逆。包囲。される。我々。殲滅。される。我々。曹操。伏兵。用意」 |
| 閻柔 (えんじゅう) |
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「そう、よく気づいたね。すでに君たちは僕の伏兵に包囲されている。 帰れ、さもなくば我々を殺しそれを手土産に帰れ、というわけか。 気に入ったよ閻柔君。君のその覚悟に免じて、ここは兵を引くとしよう」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「感謝」 |
| 閻柔 (えんじゅう) |
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「ただし、君たちが今後もし、僕やその眷属に弓引くことがあれば――。 僕は何度でもここに舞い戻ってくる。それだけは覚えておいてくれたまえ」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「承知。曹操。恐ろしい。知っている。我々。逆らわない」 |
| 閻柔 (えんじゅう) |
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「なに、敵対さえしなければ、よき隣人でありたいと思っているよ。 それじゃあ閻柔君、他の諸君にもよろしく頼む」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「さらば」 |
| 閻柔 (えんじゅう) |
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「――引き上げましたな。まったく、一時はどうなることかと思いました」 |
| 荀攸 (じゅんゆう) |
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「そ、それにしても、いつの間に伏兵を用意していたのですか。さすがは殿だ!」 |
| 王朗 (おうろう) |
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「伏兵だって? そんなものが用意してあれば、郭嘉君を負傷させたものか!」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「へ?」 |
| 王朗 (おうろう) |
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「閻柔君は僕を買いかぶってくれたのさ。いもしない伏兵を恐れて兵を引いたのか、 それとも、僕たちを殺して報復を受けることを恐れ、伏兵が怖いという逃げる口実を作ったのか、 そこまではわからないけどね」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「郭嘉は都に帰す手はずを整えた。我々は袁煕を追おう」 |
| 劉曄 (りゅうよう) |
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「いや、それには及ばない。公孫康君は目端の利く人だからね。 きっと、僕たちの代わりに手を下してくれることだろう」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「どういうことだそりゃ?」 |
| 夏侯惇 (かこうとん) |
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「僕たちも郭嘉君といっしょに都に帰ろう、という話さ。 諸君、長旅ご苦労さん」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「?? お、おう……」 |
| 夏侯惇 (かこうとん) |
遼東(りょうとう)
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「お、おいお前! 公孫康! 俺たちをこんな目にあわせてどうなるかわかってるのか?」 |
| 袁尚 (えんしょう) |
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「どうなるのですか?」 |
| 公孫康 (こうそんこう) |
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「お、俺は名族の後継者だぞ! パパの、袁紹の息子なんだぞ!」 |
| 袁尚 (えんしょう) |
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「ははは。それはすごい。ではではそういうわけで、そろそろ覚悟はよろしいでしょうか?」 |
| 公孫康 (こうそんこう) |
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「や、やめろ! 殺してやる! 殺してやるぞ!」 |
| 袁尚 (えんしょう) |
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「どうぞどうぞ。両手両足縛られたその状態から殺せるのでしたら、どうぞご自由に」 |
| 公孫康 (こうそんこう) |
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「くそ! 殺せ! 誰かこいつを殺せ! 兄ちゃん! 助けて兄ちゃん!」 |
| 袁尚 (えんしょう) |
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「アハハハハハハハハ。アハハハハハハハハ」 |
| 袁煕 (えんき) |
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「ははは。兄上は一足先に旅立たれたようですな」 |
| 公孫康 (こうそんこう) |
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(息子め、あの鬼畜っぷりはいったい誰に似たのやら……) |
| 公孫度 (こうそんど) |
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「わーんわーん。怖いよ! やだよ! この部屋寒いよ! 毛布が欲しいよ!」 |
| 袁尚 (えんしょう) |
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「よしよし。首と胴が離れたらもう寒くありませんからね」 |
| 公孫康 (こうそんこう) |
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(それにしても晩飯はまだだろうか……) |
| 公孫度 (こうそんど) |
許都(きょと)
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「…………」 |
| 荀彧 (じゅんいく) |
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「…………」 |
| 荀攸 (じゅんゆう) |
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「…………」 |
| 賈詡 (かく) |
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「諸君はみな、僕と同年輩か、それとも年上だ。 そんななかで郭嘉は、飛び抜けて若かった」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「…………」 |
| 程昱 (ていいく) |
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「品行方正な男ではなかった。人の模範になる男でもなかった。でも、とても頼りになる男だった。 中華統一がなった暁には、僕は郭嘉に後を任せるつもりだったんだ」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「…………」 |
| 劉曄 (りゅうよう) |
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「郭嘉は不治の病に侵され、烏丸の討伐が最期の戦いになるとわかっていた。 だから一命を賭して、蹋頓(とうとん)を討ってくれたんだ。 無理をしなければ、戦いには出られなくてももう少し長生きできたものを、僕のために命を投げ出してくれたのさ。 そんな彼のことを忘れられるものか!」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「…………」 |
| 于禁 (うきん) |
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「惜しいよ。痛ましいよ。悲しいよ、郭嘉……。 また忘れられない人が増えてしまった。でも僕らは前に進まなくてはいけない。 去っていったみんなも、それを望んでいるだろうからね」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「おう、その通りだ!」 |
| 夏侯惇 (かこうとん) |
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「では報告を聞こう。 公孫康(こうそんこう)君は読み通り、袁煕(えんき)君たちの首を送ってきてくれたね」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「はい。恭順の証として、大量の貢物とともに袁煕、袁尚(えんしょう)兄弟の首が届けられました」 |
| 董昭 (とうしょう) |
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「公孫康君の目の黒いうちは、僕らに逆らおうとは考えないだろう。 じゃあ次に、孫策君が急死して跡を継いだ孫権君はどうしているかな」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「江夏(こうか)の黄祖(こうそ)を攻めているぞ。 父と兄の仇だからはりきっておるぞ」 |
| 張紘 (ちょうこう) |
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「それは好機じゃ。手薄になった孫権の本拠地を襲ってしまおう」 |
| 程昱 (ていいく) |
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「たったいま郭嘉の葬儀が終わったばかりなのに、他人の不幸に乗じるなんてさすが程昱君だね」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「それはあまり賢い選択ではないぞ。孫権にはむしろ恩を売るべきだぞ」 |
| 張紘 (ちょうこう) |
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「フン、孫権の間諜の言葉に耳を貸す必要はないぞ。 程昱殿の言うとおり、この隙を見逃す手はない!」 |
| 王朗 (おうろう) |
![]() |
「あはは。そう結論を急がれるな。 我々は――といっても私は従軍してませんが。あはは――大規模な遠征を終えたばかりです。 今すぐに長江を攻め下る余裕はありませんよ」 |
| 荀彧 (じゅんいく) |
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「ああ。兵糧も十分じゃない。 袁紹との戦いで、烏巣(うそう)を焼き払わなければ飢え死にしていたのを忘れたか」 |
| 韓浩 (かんこう) |
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「それに大河を渡るなら軍船も必要です、はい。もちろん水軍もですね、はい」 |
| 李典 (りてん) |
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「大きな溜め池を作り、そこで軍船の建造と水軍の鍛錬をしている。 もうすこし時間が欲しいところだな」 |
| 劉曄 (りゅうよう) |
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「それ以前に、孫権の背後を襲うには揚州(ようしゅう)を渡らなくてはいかぬ。 袁術(えんじゅつ)の残党が跋扈していたはずだが、今はどうなっているのかな」 |
| 賈詡 (かく) |
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「揚州の平定に向かわせた劉馥(りゅうふく)殿は、空き城に目をつけ、そこを拠点にしようとしています。 次第に人が集まり始め、袁術の残党たちも警戒して何度か攻め寄せたのですが、 そのたびに撃退されて、今では劉馥殿に従う素振りを見せているとか」 |
| 荀攸 (じゅんゆう) |
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「あ、あれっぽっちの兵で残党を撃退しているのか」 |
| 満寵 (まんちょう) |
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「それなら下手に手出しはせず、劉馥君に任せきりにしたほうが良さそうだね」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「ならばどこを攻めればいい? 漢中(かんちゅう)か? それとも北に戻って公孫康を討つか?」 |
| 夏侯淵 (かこうえん) |
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「あはは。わざわざ遠出してまで敵を作りに行くことはないでしょう。そんなに焦らないでください」 |
| 荀彧 (じゅんいく) |
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「荀彧、さっきからお前は遠征に反対してばかりだな! なにか他に考えがあるのか!」 |
| 曹仁 (そうじん) |
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「それはもちろんです。私はみなさんと違って都に残っていましたから、策を練る時間はたくさんありましたからね。 我が軍のとるべき最良の道をお教えしてあげますよ」 |
| 荀彧 (じゅんいく) |
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「それは大きく出たね。軍師様の案をうかがおうじゃないか」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「はい! 我が軍は――荊州(けいしゅう)を攻めましょう!」 |
| 荀彧 (じゅんいく) |
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「荊州!」 |
| 曹洪 (そうこう) |
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「荊州はいいですよ。船があります。操舵に長けた水軍もいます。 これをそっくりいただいてしまえば、わざわざ我々が新しく水軍をこしらえる必要はありません。 戦に慣れていない彼らは、大軍で攻め寄せれば、すぐに降伏するでしょう。 荊州の人馬と兵糧をそっくりいただいてしまい、それを使って孫権を攻めるのです」 |
| 荀彧 (じゅんいく) |
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「なるほど。自前の水軍を持つ荊州をおさえれば、孫権君とも互角以上に戦えるだろうね。 遠征続きで疲れている兵士たちも温存できるし、いいことずくめだ。 それになんといっても、荊州は人材の宝庫だ。いずれは荊州を手にしたいと僕もかねがね思っていたよ」 |
| 曹操 (そうそう) |
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「それでは殿!」 |
| 荀彧 (じゅんいく) |
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「うん、僕たちは荊州を攻める。そのための準備を整えてくれたまえ」 |
| 曹操 (そうそう) |
かくして名族の血脈は北の大地で果てた。 北方の統一を成し遂げた曹操の次なる目標は荊州。 荊州の命運は? そして日の出の勢いの曹操を止める者は現れるのか? |
| 〇四二 髀肉の嘆 | へ |